ALESSI|建築家 伊東豊雄によるカトラリーシリーズ「MU(ムー)」
ALESSI|アレッシィ
建築家 伊東豊雄がデザインした最新作
カトラリーシリーズ「MU(ムー)」の魅力
5月17日に六本木で開催されたアレッシィ主催の昼食会。テーブウェアが2006年に発表された伊東豊雄氏デザインの「KU(クー)」で、カトラリーは今回新作として登場した「MU(ムー)」。美しい料理をよりスタイリッシュに演出してくれるカトラリーである。
Text by KAJII Makoto (OPENERS)
日本語の“六”をあらわす
モダンでラグジュアリーなデザインのプロダクトを世に送り出す「アレッシィ」と、2010年に世界文化賞を受賞した建築家 伊東豊雄氏との関係は、2005年に遡る。22組の世界の建築家がティー&コーヒーセットをデザインするプロジェクト「ティー&コーヒータワーズ」で、カップに1匹のカエルがつかまっている「KAERU」のモカカップ&ソーサーを発表したのが最初の取り組み。2006年には、日本人の建築家がデザインした初めてのテーブルウェアセットプロジェクト「KU(クー)」シリーズを発表。今回のカトラリーシリーズ「MU(ムー)」は、「KU」シリーズにあわせてデザインされた。
薄い質感とシャープなシルエットをもち、縁が反り上がったようなフォルムと真っ白な本体が美しい器「KU」にマッチするカトラリーは、持ち手の断面が六角形になっているのが特徴。シリーズ名「ムー」は日本語の“六”に由来しているのだ。持ち手はスリムに仕上げられ、バランスの良さを感じさせる。
伊東豊雄氏が語る、建築とリンクしたカタチ
アレッシィ主催の昼食会で伊東豊雄氏は、「建築とちがって、こういうプロダクトのデザインは、使いやすいかどうかで決まってしまいます。が、最初に『ティー&コーヒータワーズ』に取り組んだときには、私のデザインのコンセプトの基になっている“波紋”から『KAERU』をデザインしました。
つぎにアルベルト氏から皿のシリーズの声がかかり、テーブルウェアセット『KU』では上に広がっていくようなデザインに着目しました。
そして今度のカトラリーは、日本の箸とちがう西洋のものなので一番苦労しました。展示しているスタディモデルを見ていただくとわかりますが、最初の試作品は完成品より有機的な柔らかなデザインでした。デザインを重ねるうちに次第にソリッドな形になっていき、持ち手の断面の少し扁平になった六角形は、建築ともリンクしています」と語った。
愛媛県今治市にある伊東豊雄建築ミュージアム(http://www.tima-imabari.jp/)のカタチとも相似する、カトラリーシリーズ「ムー」。今までにない六角形の形状は、この先のカトラリーのデザインを、より豊かにするための先鞭といえる。