more trees|モア・トゥリーズの森から生まれた美しい器「かさね重」
DESIGN / INTERIOR
2015年4月23日

more trees|モア・トゥリーズの森から生まれた美しい器「かさね重」

more trees|モア・トゥリーズ

~「森づくり」に繋がる「モノづくり」のはなし~

鳥取県・智頭町の森から生まれた「かさね重」

森林保全団体「more trees(モア・トゥリーズ)」が育んできた森林リソースと、都市や企業をつなぐ兄弟法人「more trees design(モア・トゥリーズ・デザイン)」は、2012年11月に、オリジナルプロダクト「かさね重」を発売した。モア・トゥリーズの森が所在する、鳥取県・智頭町(ちづちょう)の上質な木材「智頭杉」から生まれた、サイズの異なる5種類の重箱――桜色の木肌と均等な木目が鮮やかなこの器は、シンプルでありながらも多機能なデザインで、暮らしに彩りを添える逸品だ。

Photographs by ONO KeisukeFood Styling by OZAWA TomokoText by HIKITA Sachiyo(Fukairi)


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智頭杉の器がつくりだす美しい食卓

鳥取県の智頭町は奈良県の吉野、京都府の北山に並び称される林業地域で、「杉のまち」として全国的にも名高い。2012年7月には、12番目の「モア・トゥリーズの森」が誕生し、森の恵みを製品に変え、都市へと届ける活動がスタートした。「かさね重」は、この取り組みの第1弾として発売されたプロダクトである。

「智頭杉」は、樹齢300年以上の杉が生育する巨木の森から切り出される銘木で、桜色の心材と緊密で美しい年輪が特徴だ。デザイナー緒方慎一郎の手によってデザインされた「かさね重」は、そんな智頭杉の特性を活かした美しいたたずまいとなっている。蓋は裏返すと皿になり、Mサイズの器は注水に用いる片口として、SとXSサイズは升のように酒器としても使えるという斬新なしつらえで、料理の盛り付けはもちろん、使い方次第でさまざまな楽しみ方が可能だ。

more trees|モア・トゥリーズの森から生まれた「かさね重」02

more trees|モア・トゥリーズの森から生まれた「かさね重」03

今回のプロダクト開発における課題は、木材の特徴を活かしながら「いかに身近に使ってもらえる製品を作るか」ということだった。それは、高度な職人技と現代のデザインをうまく融合させ、あらたな木工品を開発するという挑戦でもあった。そもそも、杉で日用品を作ることは、木の性質上とても難しい。柔らかく、割れやすいといった杉材のデメリットを、乾燥や塗装、接合などにおける試行錯誤の末に克服し、ようやく完成したという。

「かさね重」は、木材の特性による製品開発上の困難を、技術とデザインの力によってブレイクスルーした好例といえる。このようなチャレンジは、国産材製品の価値を高め、林業再生を活性化し、持続的な森林保全へと繋がる。これからの森づくり、モノづくりに大きな示唆をあたえたプロダクトといえるだろう。

more trees|モア・トゥリーズの森から生まれた「かさね重」04

かさね重
価格|10万5000円
素材|智頭杉
付属品|杉の化粧箱
デザイナー|緒方 慎一郎(SIMPLICITY
サイズ(mm)|XL:外径220角 内径190角、L:外径175角 内径150角、M:外径140角 内径120角、S:外径110角 内径93角、XS:外径87角 内径70角
※「角」は正方形における一辺の長さ

more trees design
Tel. 03-5770-3969

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