ALESSI|深澤直人デザイン「The“Shiba”Series」
DESIGN / INTERIOR
2015年3月13日

ALESSI|深澤直人デザイン「The“Shiba”Series」

ALESSI|アレッシィ

深澤直人が鍋と釜をデザインした!

普段づかいが楽しい「The“Shiba”Series」

「ALESSIと聞いて最初に思い浮かんだのは鍋でした」というプロダクトデザイナーの深澤直人氏。「デザイナーの作品的なものではなく古くから生活のなかで、とくにカフェやレストランで見慣れているような定番化しているものが好きでした」という氏がデザインしたのは、9つの製品からなる「The“Shiba”Series」の鍋と釜。異なるサイズの鍋、ソースパン、フライパンを中心に、それぞれ木製もしくは合成樹脂製のハンドル、そして蓋やアクセサリー類によって構成される。

Text by OPENERSPhoto by ALESSI

日本的アプローチから生まれた“シンプリシティと謙虚さ”

「ALESSI」にとって、SANAA、伊東豊雄氏につづいて日本人3人目のコラボレーションパートナーとなる深澤直人氏について、「ナオトはこれまで仕事をした日本人建築家と共通してデザイナーとしてのもっとも重要な要素を兼ね備えています。それは全員がすばらしい詩人だということです!」とアルベルト・アレッシィ氏は語る。

深澤氏は、鍋のアイデアをアルベルト氏に見せるまえに柴犬とゴールデンリトリバーの写真を探したという。「両方ともかわいくて賢そうで、和と洋のちがいをはっきりと表せる象徴的な存在だと思い、“この鍋はこういうイメージでつくったんだよ”っていうことを端的に伝えたくて見せたのですが、彼はすぐにその意味を汲みとってくれました。音の響きもよいので、そのまま名前もShibaに決定しました」とエピソードを語る。

深澤直人|ALESSI 03

深澤直人|ALESSI 06

把手の素材選びは“あったかい感じ、おいしそうな感じ、取り替えが可能”がポイント

「The“Shiba”Series」は9つの製品からなるが、特徴的なのは雪平鍋。以前から片手鍋の把手が木でできていることに興味があったという深澤氏。「なにか手になじんでいく感じがいいし、取り替えることもできる。和包丁やまな板みたいな飾り気のないそっけなさが日本的で、そして使い込んでよくなっていくようなものをALESSIでやれたらいいなと思いました。片手鍋は「手の道具」という感じがして、とくに雪平を意識したのではなく日本的な機能美と素っ気なさがいいなと思いました」と語る。

一見普通の鍋に見えるが、実際に持ってみるとずっしりと重く、存在感は十分。本体はアルミをステンレスのあいだにはさんだ三層で、火のとおりがよく、とくに厚みのある三層構造の外側に反り返った縁(ふち)は、見た目に心地よさを生むと同時に鍋の特徴にもなっている。把手は、木と樹脂の2種類が揃い、さらに蓋は熱くなりにくい中空構造で、そのぶん持ち手(つまみ)をシンプルにしている。

深澤氏は、「和洋関係なくなんの料理にでも使ってほしいと思います。IHや電熱線のストーブは平らな厚底で重いので、あまり鍋を頻繁に動かしたりしません。“手の道具”と私が言ったのは、もっと動かしながら使う鍋にしたかったということで、そのために底も丸みを帯びた角になっています。それは鍋にかわいらしさとフレンドリーな印象をもたらしています」と特徴を語る。

深澤氏の「The“Shiba”Series」のデザインについてアルベルト氏は、「ほかのALESSIの製品に比べ、ナオトのデザインに対するアプローチは質素です。しかし、これこそが我われが彼と仕事をしたかった理由なのです! 私は、あたらしい思想や言語を柔軟に商品ラインに取り入れることができるALESSIの社風は重要なことだと思っています。さらに言うと、Shibaのようなデザインはユーザーを異なる文化に触れることができる、どこか遠くの地へと誘うことができると信じています。このように、欧州のお客さまはナオトのモノに対する日本的なアプローチからなにかを学びとることができると思っています」と期待を寄せる。

ALESSI
http://www.alessi.com/en/

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