TRAM|トラム
Design
2015年4月22日

TRAM|トラム

TRAM|トラム
北欧の暮らしのなかから生まれた道具

北欧生まれのクラフト感あふれる飾り気のない日用品。日本の手仕事の伝統が育んだ日々使うための道具たち。今回は福岡にある北欧雑貨を中心にあつかう店「トラム」を紹介。

写真と文=加藤孝司

時の流れに左右されないものとの関わりに気づかせてくれる店

福岡市内の中心地にある閑静な住宅街。その一角にひっそりとたたずむ鶴翠荘という名前の小さなアパート。2階に上がる階段の手すりの、長年使いこまれたあたたかな手触りが心地よい、歴史を重ねてきた建物だ。

どこの町にもあるどこにでもある見馴れた風景。このアパートはそんな一見どこにでもありそうな日常を映し出していながら、この店を訪れる人に特別な一日を感じさせてくれる雰囲気にみちている。

店主自ら足を運び、北欧の小さな町から持ちかえられた日常使われていた道具たち。
人びとの生活をより良く改善しよう、というデザイナーの強い意志から生まれた器や道具、名もなき職人の丁寧な手仕事から生まれた日用使いのための道具など、いますぐ連れて帰りたいそんなあたたかな道具たちが店内には並べられている。

薄い硝子を通して店内にやわらかくこぼれる太陽の光。窓の外の、生活とともにある緑の美しさ。そのすべてが見事に調和して、この店は生きているかのようだ。

日常に使う道具を身ぎれいにしょうという心がけひとつで、日々の生活はがらりと変化する。北欧の暮らしのなかから生まれた道具には、自然環境が厳しい土地だからこそ生まれえた、物としてのたしかさが感じられる。それらの日常の道具がもっている美しさは、きをてらうきらびやかさではない、質素だからこそ輝きだす、慎ましいものである。そこには人間が道具から見習わなければならない、存在自体の美しさがある。

トラムというお店には、そんなけなげに日々を生きようという、店主の日常を反映したようなあたたかな心もちにみちた道具がそろっている。ものとの丁寧な関わりから生まれてくるやさしさにみちた日常。時の流れに左右されないものとの関わりに気づかせてくれる店だ。

TRAM|トラム
福岡県福岡市中央区御所ヶ谷128 鶴翠荘2F
営業時間|12:00~20:00
定休日|月曜
Tel. 092-526-3477
http://tram.eco.to/

           
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