燕子花|KAKITSUBATA
Design
2015年5月15日

燕子花|KAKITSUBATA

燕子花|KAKITSUBATA

今と古(いにしえ)、東と西の道具や伝承を、現代に

暮らしのなかで長いときを経て培ってきた生活の知恵や風習、人びとが日常使うことで研ぎ澄まされてきた道具がもつ豊かさ──そんな道具を取りそろえる中目黒の燕子花(かきつばた)を紹介。
燕子花のプランナー白水由紀子さんにお話をうかがいながら、描きだされていくその世界観を紹介する。

文と写真=加藤孝司

本物という普遍性に真摯に向き合うショップ

古くは河港や水路としてさかえ、現在では春になると鮮やかに咲き誇る桜並木のある、都心を流れながら風光明媚な一帯として知られる目黒川周辺。
なかでも中目黒と呼ばれるエリアには、若者が集うブティックや、大人がゆったりとしたときを過ごすバーやビストロが川沿いに軒を連ね、しっとりと落ち着いた賑わいをみせている。

2006年春にオープンした「燕子花」はそんな目黒川沿いに店を構える、暮らしのなかから生まれてきた特別な道具を扱うショップだ。
人の手技を介して古くから伝わる道具や、「ふるまい」や「たしなみ」といったかたちがなくても、人の心やしきたりのなかで伝えられてきたもの。今と古(いにしえ)、東と西。

生活のなかで使用されることで美しく研ぎ澄まされてきた日常の使いの道具たち。特別な日にこそ大切に使いたい手技から生まれた道具。
燕子花が考える工芸、日常使いの道具とは何だろうか?

「燕子花では実際に使えるということをテーマに素材を集めています。日常で使えるもの、使いたいと思えるもののことだと思います。工芸の美、とひとくちに言っても実際に自分たちが手にとって使ってみないことにはその良さは判断できないと思います」 と語る白水さん。

そんな、昔からあって現在でも私たちの暮らしの身近にある道具がもつ魅力とは?
それは時代の移り変わりとともに変化していくものなのだろうか?

「昔からあるカタチのものを今も使えるものであればわざわざ変える必要はないと思っています。ただ今という生活スタイルに合うように、こういう風に使いたいなと思ったときに、今の私たちの生活のなかから生まれてきたアイデアを、作家さんなり、デザイナーさんなり、職人さんたちと話をしながらこういうのをつくろうよ、ということはあると思います。そんな活動のなかから生まれてきたのが、漆にまつわる私たちと皆さんとのプロジェクト、WAJIMA x KAKITSUBATAです」

世界で「japan」と呼ばれ親しまれる、日本が誇る漆の道具。
もともとが庶民の道具というものではないが、日本で極めて高度に洗練された漆の道具は、燕子花が今こそ日常使って欲しいと考えるもののひとつだ。

「結局人が使うものですので、人の手を介してつくりあげられている、気持ちとぬくもりはモノから伝わってくるんですよね。つくられた方の思いを、使ってくれる方へ伝えていくのも私たちの努めだと思っています」

移りかわる時代と価値観の多様化のなかでも、けっして失われることのない本物のみが放つ魅力ある世界。そんな普遍性に真摯に向き合うショップだ。

燕子花|KAKITSUBATA今と古(いにしえ)、東と西の道具や伝承を、現代に

燕子花(KAKITSUBATA)
東京都目黒区青葉台1-13-11
Tel. 03-3770-3400
12:00~19:00
火曜閉館
http://www.kakitsubataweb.jp/

           
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