アウディが長距離の車道走行で自動運転技術をデモンストレーション|Audi
Audi A7 Sportback piloted driving concept
アウディ A7 スポーツバック 自動運転コンセプトカー
激化する自動走行の主導権争い
アウディが長距離の車道走行で自動運転技術をデモンストレーション
アウディは、1月6日から米国ネバダ州ラスベガスで開催されているCES(コンシューマー エレクトロニクス ショー)2015の会場でアウディ「A7 スポーツバック 自動運転コンセプトカー」と、次期アウディ「Q7」を公開した。アウディ A7 スポーツバック 自動運転コンセプトカーは、シリコンバレーからラスベガスの会場まで550マイル(約885km)を自動走行し、会場入りしている。
Text by SAKURAI Kenichi
量産モデルの技術を活用
アウディは、「A7 スポーツバック自動運転コンセプトカー」を用い、アリゾナのテストコースでおこなわれた100マイルの自動運転走行につづき、カリフォルニア州サンフランシスコ近郊のスタンフォードからネバダ州ラスベガスで開催されるCES(コンシューマー エレクトロニクス ショー)2015会場までの550マイル(約885km)以上を自動走行する長距離走行テストを実施。無事にゴールを果たし、その会場でアウディの自動化運転にたいする技術力を披露した。
「A7 スポーツバック」をベースにした自動運転コンセプトカーは、開発チームから「ジャック」という愛称で呼ばれている。このテストは、フォルクスワーゲン エレクトロニクス リサーチ ラボラトリー(ERL)やフォルクスワーゲン グループ技術開発部門の協力のもとおこなわれ、いわばフォルクスワーゲン グループの総力を結集した実証実験となった。
A7 スポーツバック自動運転コンセプトカーには、アダプティブ クルーズコントロール(ACC)やアウディ サイドアシスト(ASA)の長距離レーダーセンサー、フロントとリアに360度ビューを可能にする中距離レーダーセンサーなどを装備。グリルとリアバンパースカートには、障害物に関する情報を自動運転中に提供するためのレーザースキャナーも搭載した。
つまり「ジャック」は、全方位に対応する完全な“目”をもっており、それによって加速、減速はもちろんのこと、なんと車線変更や追い越しまでを「ジャック」が独自に判断し実行するのである。車線変更や追い越しをおこなうさいは、周囲の車両にあわせて車速を調整し、距離や速度により安全だと判断すれば、「ジャック」が正確に車線を変更、追い越しまでを完了させる。結果ドライバーは0-70mph(約110km/h)付近までの運転操作をしなくてすむようになっているのである。
Audi A7 Sportback piloted driving concept
アウディ A7 スポーツバック 自動運転コンセプトカー
激化する自動走行の主導権争い
アウディが長距離の車道走行で自動運転技術をデモンストレーション (2)
人間と協調する自動運転
また、都市部など交通量や歩行者などが多い場面で自動運転システムの限界に達したと判断した場合は、「ジャック」がみずから安全確保のためにフロントウィンドウのLEDやドライバーインフォメーション ディスプレイのシグナル、そして音声による警告音でドライバーが運転するように促す。それでもドライバーがこうした警告を無視した場合には、「ジャック」はハザードライトを点灯させ車両を停止させる。
メルセデス・ベンツが2013年にドイツの公道でおこなった自動化運転の実証テストは約100kmであったが、今回の北米でのテストはその距離を大きく凌ぐもので、この分野における自動車メーカー間の覇権争いが早くもスタートしていることを実感させる。楽しくない「渋滞中」の運転やスマホ操作をしたいときのほか、面倒な「駐車」などはクルマに任せ、楽しむ運転をドライバーが選択する時代がそこまでちかづいているともいえそうだ。
自動運転以外も最新技術を展示
またアウディは、CES 2015の会場で、この自動運転技術のほか、マルチメディア コントロールパネルにもなる「アウディ タブレット」に代表されるあたらしいインフォテイメントシステムや、ユーザーのモバイル機器と車両を簡単につなぐワイヤレスコミュニケーション、コンサートホールの臨場感を味わえる3Dサウンドシステムのほか、自動パーキングやワイヤレスチャージ技術、数十メートル先を安全に照らすレーザーマトリックス ライトテクノロジーなどの発表をおこなった。
さらに、今年発表予定となっている新型アウディ「Q7」のインテリアデザインも、ひとあし先にCES2015でワールドプレミア。新型Q7では、行きたい場所、たとえば「一番近いイタリアンレストラン」と言うだけでナビゲーションシステムがただちにそのルートを表示する、スマホ感覚のスクロールやズームがおこなえるオールインタッチMMIのほか、Apple CarplayおよびAndroid autoも搭載し、先進性をアピール。ドライバーをサポートするハイテクの実装を世界に向けて発信した。