NISSAN JUKE| 日産ジューク世界戦略を担う小型クロスオーバーがデビュー
NISSAN JUKE|日産ジューク
世界戦略を担う小型クロスオーバーがデビュー
日産自動車はデュアリスの下に位置するコンパクトな新型クロスオーバー「ジューク」のワールドプレミアをパリで果たした。
文=ジラフ
コンセプトカーを思わせるエクステリア
このニューモデルは、昨年のジュネーブモーターショーで発表されたコンセプトカー「カザーナ」の市販モデルで、存在感溢れるエクステリアデザインが特徴だ。
小型のボディでありながら、ワイドにふくらんだフェンダー、そこに収まる大径のタイヤは、このクルマがもつSUVの力強さを表現。またAピラーからルーフラインにかけてのラインは、スポーツカーを彷彿とさせる仕上がりとなっている。
日本での発売は初夏を予定
搭載されるエンジンは、欧州モデルでは1.5リッター直4ディーゼル、1.6リッター直4ガソリン、そして新開発となる直噴1.6リッター直4ガソリン+ターボの3種類。1.4リッター直4ガソリンエンジンには、新世代の副変速機付きエクストロニックCVTが組み合わされ、燃費の向上がはかられた。
駆動方式はガソリンNAとディーゼルが2WD、ガソリン+ターボには2WDと4WDが設定される。また4WDは新開発「オールモード4x4-i」(トルクベクトル付き)が採用されるが、これは走行状況によって前後輪と後輪左右のトルクを最適に配分してくれるという優れモノだ。
この新型「ジューク」の名前は、アメリカンフットボールなどで“軽快にディフェンスをかわす”を意味する言葉に由来する。日本、ヨーロッパ、アメリカで販売が予定され、日本での発売は初夏とアナウンスされている。
BRAND HISTORY
本格的に日産自動車の名前でセドリックを作り出したのが1960年。母体の創業は1937年。太平洋戦争を経て、英オースチンのノックダウン製造を手がけた歴史をもつ。
1966年にはプリンス自動車を合併。1983年から87年にかけて伊アルファロメオと合弁会社を設立し、イタリアで乗用車生産するなどした。一時期はトヨタとシェア争いをするまでになったが、90年代に経営危機に陥り、1999年に仏ルノーの資本参加を受け、現在にいたる。
日産の特徴は、日本人の身の丈にあったクルマづくりにあったといえるかもしれない。自家用車をもつ夢、高性能のクルマを楽しみたいという憧れ、世界で通用する価値をもつ日本車へのプライド、高級車志向……。日本人がモータリゼーションの発達とともに時代ごとにもっていたクルマへの思いを上手に製品化してきたのが日産だ。
モータリゼーション黎明期である1966年にはスモールカーのサニーで「マイカー」所持の夢を与え、1967年には高性能を前面に押し出したブルーバード、モータースポーツが若者の関心の的になっていることを背景に1968年にスカイライン、くわえて「米国で認められた」スポーツカーとして1969年にフェアレディZを、それぞれ矢継ぎ早に発表した。
さらにいわゆるバブル経済の時期は、市場の高級車志向を背景に1988年のシーマで大きなヒットをとばした。同時に日本車の高性能化を具現したスカイラインGT-Rを1989年を発表。(スカイライン)GT-R神話を不動のものとした。それは現在のNISSAN GT-Rにまでつづいている。
開発者を宣伝の前面に立てるなど、顔の見えるメーカーとして消費者との距離を縮めようとする、いい意味での人間くささは今も健在。走りや技術を喧伝した時代の、生身の人間のように目的をもって先へと邁進していく人格化された企業のイメージが、日産の持ち味だ。
新世代の技術開発ではトヨタなど他社に遅れをとってきたのも事実だ。1999年のルノーとの資本提携のさいにクローズされた多くの事業のなかに、当時他社より進んでいたハイブリッド技術もふくまれていたとか。2010年秋にはリーフという4ドアの電気自動車が発売されるが、環境技術の面で日産はどこへ向かおうとしているのか、いまひとつ、コミットメントがあきらかでないように思える。
(2010年8月更新)