TOYOTA FT-CH|プリウス ファミリーのエントリーモデル
CAR / NEWS
2015年4月9日

TOYOTA FT-CH|プリウス ファミリーのエントリーモデル

TOYOTA FT-CH|トヨタ FT-CH

プリウス ファミリーのエントリーモデル

トヨタはデトロイトモーターショーにおいて、コンセプトカー「FT-CH」を公開した。このモデルは、5ドアのコンパクトなハッチバックボディをもつハイブリッド専用車だ。

文=ジラフ

全長4メートルを切るボディサイズ

FT-CHのサイズは、全長3900mm、全幅1720mm。プリウスに比べ560mm短く、25mmスリムというから、そのコンパクトさを想像することができるだろう。それでいながら、大人が4人乗りこむのに十分な広さを確保しているというから、使い勝手の良さにも注目が集まるところ。

エクステリアはトヨタの欧州デザイン部門「ED2」が担当。革新的でカラフルなデザインは若年層をターゲットとする狙いが見てとれる。

プリウス シリーズの一員として

エンジン、ハイブリッドシステムの詳細は明らかにされていないが、2次電池は「プリウス・プラグインハイブリッド」と同様、パナソニックEVエナジー製のリチウムイオンバッテリーが採用される予定だという。

トヨタは今後アメリカにおいて、「プリウス」をひとつのブランドとして独立させる計画を進めている。このFT-CHは、そのプリウスブランドからの派生車種として、市販が予定されているという。当然、その価格はプリウスよりも安価であることは明らか。

トヨタのハイブリッド車攻勢は、まだはじまったばかりだ。

BRAND HISTORY

自動車メーカーとしてのトヨタの創業は1936年。当時流行していたストリームライン(流線型)ボディをまとった6気筒モデルと、上級市場を狙ったモデルがスタートだった。50年代後半に1リッターのコロナと1.5リッターのクラウンをラインナップに。60年代には、米国市場での拡販を目指す企業戦略を採用するにあたって、コンパクトなモデルから8気筒搭載車まで開発。フルラインメーカーの道を歩み出した。

トヨタの成長のカギは、徹底したマーケット中心主義にある。60年代は米国市場において、イギリスやイタリア製の小型車をターゲットにした車種を投入して成功。その後も、適度な性能を適切な価格で提供する商品戦略は、大型セダンからスポーツカーまで幅広く採用された。そののち米国に工場を建設するなどして、大型ピックアップトラックなど米国専用の車両を多く手がけるようになる。

国内では1960年代の高度成長期をひとつの頂点に、営業販売面の貢献もあり、多彩な製品展開で盤石のポジションを獲得。また主市場の米国では、1970年代に起きた2回のオイルショックをむしろ追い風とし、小型・省燃費を武器に急成長した。近年の大きなジャンプは1980年代後半。高級車志向が強くなった米国においてトヨタでなくレクサスという独立したブランドを立ちあげた。小さな部品1点1点から徹底した品質管理をおこなうという源流主義を採用し、高いクオリティ感を売り物とした。

もうひとつのジャンプが1997年のプリウスの発売だ。ハイブリッド駆動方式は一般にはなじみのない一方、当時の自動車業界からは「内燃機(ガソリンやディーゼルのエンジンなど)から燃料電池へと向かう技術の流れのなかで無意味」と批判されたが、先見の明があったことは現在の成功をみればわかる。世界中のメーカーが形式に多少のちがいこそあれ、ハイブリッド化を推進している。また、ハイブリッド車に必要不可欠なバッテリー技術は、電気自動車でも、その先にある燃料電池車でも必要となることは、ほかの自動車メーカーも認めざるを得なかった。

2008年9月に米国で起きた、いわゆるリーマンショック以降は高級車の販売が鈍化したり、ほぼ時期をおなじくして製品のリコールをめぐって米国議会で大きく取り上げられたりと、現在のトヨタは逆風にさらされているともいえる。2002年に参戦したF1から2009年に早々と撤退したのもファンのあいだに失望を生んだ。しかしあらたに世界ラリー選手権も視野にいれた国際的なレース活動を再開すると表明。今後に期待だ。(2010年8月更新)

           
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