新型XC90がいよいよデビュー間近|Volvo
Volvo XC90|ボルボ XC90
ボルボが誇る先進の安全装備をさらに充実
新型XC90がいよいよデビュー間近
ボルボのフラッグシップSUV「XC90」の新型が、欧州でまもなく公開される。フルモデルチェンジを受けて2世代目となるXC90には、世界初となる2つの安全技術が投入されているという。
Text by OHTO Yasuhiro
独特なラグジュアリーの美意識
発表を目前に控えたボルボのフラッグシップSUV「XC90」だが、そのエクステリアデザインはいまだベールに包まれたまま。しかしながら、現行モデルとおなじく全輪駆動を採用した7シーターであること、フラッグシップにふさわしいクォリティ感のあるインテリア、そしてボルボの誇る高い安全性能が明らかにされている。
ボルボでは、昨年のフランクフルトモーターショーで発表された「クーペ コンセプト」、デトロイトモーターショーでお披露目された「コンセプト XC クーペ」、そして今年3月のジュネーブモーターショーで登場した「コンセプト エステート」をボルボの新世代モデルを象徴するコンセプトとして発表してきた。
それらの集大成として、はじめてプロダクションモデルに昇華したのが、この新型「XC90」だ。そのため、デザインコンセプトや最先端装備などに、これまでコンセプトで採用されてきたものを見て取ることができる。
3列シートのゆったりしたキャビンのインテリアは、ボルボの特徴であるスカンジナビアンテイストをそのままに、よりラグジュアリーな雰囲気を演出。ウッドとレザーのコンビネーションは、これまでのボルボのもつ温かみを強調する。
オプションとはなるが、これまでにないデザインをもつ特徴的なシフトレバーは、スウェーデンの有名なガラスメーカーであるオレフェス社製のクリスタルガラス製。ボルボがもつ、ドイツ車などとはことなるラグジュアリーへの美意識を垣間見せる装備といえよう。このほか、エンジンスタートボタンやドライブコントロールボタンも、ちょっとしたアクセサリーのような繊細な加工が施される。
ダッシュボード中央に備わる、大型のスクリーンはタッチスクリーン式で、iPhoneを車両のインターフェイスで活用できる「CarPlay」も利用が可能だ。音声認識システムである「Siri」に対応しているため、ハンズフリーで操作することができる。
ドライバーの眼前に広がるインパネも液晶モニタータイプへとなり、各種アラートやナビゲーションの表示など、状況にあわせて最適な表示が可能となっている。
オーディオには、トップモデルとしてイギリスのハイエンドブランド「Bowers & Wilkins」のシステムを用意。このシステムは、19のスピーカーで構成されており、最大出力は1,400Wを誇る。
このほかにも、224Wのアンプに12スピーカーとフレッシュ エアー サブウーファーを備えた「ハイパフォーマンス システム」、52Wのアンプと6スピーカーを組み合わせた「スタンダードシステム」の合計3システムから選ぶことができる。どのシステムにもも最新の高度な音響処理ソフトを採用しており、ドライブと音楽鑑賞を同時に楽しめるようになっている。
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「ビジョン2020」を支える最先端のテクノロジー
ボルボが「ビジョン2020」として掲げるのが、2020年までに新型ボルボ車が関与する交通事故の死亡者や重傷者をゼロにするという安全目標だ。新型XC90も、もちろんこれに沿った設計がなされている。
そのために、あらたに採用されたひとつが「セーフティケージ」。衝突時に乗員を守るため、車体に使用される鋼材としてはもっとも強度が高い、熱間鍛造のボロン鋼が広範囲に使用されている。いっぽうで、熱間圧延鋼を車体総重量の40パーセント以上に使用することで、重量増加を抑えつつも、強度は大幅に高められている。この使用比率は、先代XC90の5倍以上に相当するものだという。
もちろん強化されたのはボディだけではない。ボルボが得意とする先進の安全技術も新たなものが投入されている。そのひとつが「ランオフ ロード プロテクション」だ。これは路外逸脱事故を想定したセーフティ機能で、車両が道路外に飛び出したと検知すると、車両が停止するまで運転席と助手席のシートベルトを自動的に強く巻き上げ、乗員を適切な位置に固定して保護する。
またシートには、路上から逸脱した車両が勢いよく地面に着地したときに発生する、縦方向の衝撃力を最大で1/3まで低減させる機構を備えており、路外逸脱事故で起こりうる重大な脊椎損傷の危険を低減させるという。
もちろん、それ以前に事故の発生を未然に防ぐことも抜かりはない。車線逸脱しそうな状況になった場合、車線内に留まるようにステアリングに修正舵をくわえて進路を修正する「レーン キーピング エイド」や、ドライバーの疲労や不注意を感知して警告する「ドライバー アラート コントロール」などの機能が備わる。これは、事故調査でさまざまな要因により道路逸脱により事故が多数発生していることをボルボが重く受け止めて開発した技術であり、アメリカでは交通事故死の半数が道路逸脱によるものという報告がある。
もうひとつは自動ブレーキシステムで、追突回避や衝突衝撃軽減の機能にくわえ、交差点を左折(日本でいう右折時)しようとした際に、対向車線の直進車両との衝突(いわゆる右直事故)の危険を検知して作動するという画期的な機能が備わった。とくに交通量の多い都市部の交差点などで、その効果が期待される機能だ。
ここであげた2つの安全技術は、世界初のものであり、XC90から実用化される。現行モデルに採用されている先進の安全装備は、さらにアップデートをうけて搭載されており、自動車、歩行者、そして自転車にも対応する自動ブレーキシステムをはじめ、ドライバーの死角に入っているクルマなどを知らせてくれる「BLIS」、渋滞時に前走車を自動追従してくれる「渋滞アシスト機能」などより充実した内容となっている。
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トップモデルには「T8 ツインエンジン」を搭載
環境への影響を減らすため、エンジンはダウンサイズ化がはかられた。特徴的なのはトップモデルの「T8“ツインエンジン”」で、これは、エンジンが2機という意味ではなく、エンジン+モーターのプラグインハイブリッドモデルである。2.0リッター直列4気筒ガソリンエンジンをスーパーチャージャーとターボチャージャーのツインチャージャーで過給しフロントを駆動。そして出力80ps(60kW)の電気モーターは、車体後部に配置し後輪を駆動する。
“ツイン”システム全体では最高出力400ps、最大トルク640Nmを誇るという。もちろん、電気モーターのみで駆動するEVモードも設定されており、満充電からおよそ40kmの走行を可能とする。
このほかには、「D5」ツインターボディーゼルエンジンが、最高出力225ps、最大トルク470Nmを発揮。シングルターボの「D4」は、最高出力190ps、最大トルク400Nmを発生させる。ガソリンモデルは、最高出力320ps、最大トルク400Nmを誇る「T6」と、最高出力254ps、最大トルク350Nmの「T5」の2タイプが設定される。
インテリアやエンジン、安全装備と少しずつその姿をあらわし、お披露目も目前とみられる新型XC90。エクステリアも、これまでのPSAアーキテクチャを用いた3つのコンセプトモデルに準じたものと予想される。
そのワールドプレミアの日はまだ未定であり、もちろん、現時点での日本導入のタイミングもまだ決まってはいない。