Audi|アウディ TT RS プロトタイプを発表
Audi|アウディ TT RS Prototype
レース参戦を目論むニューマシン
アウディは、市販車両とおなじエンジンを積む「TT RS」のレーシング仕様を公開し、ニュルブルクリンクでおこなわれる耐久レースにテスト参戦することを発表した。
文=ジラフ
レーシングカーとしての迫力あるデザイン
「TT RS」のレーシングモデルは、市販車とおなじ2.5リッターの直列5気筒TFSIターボが搭載され、ブレーキやサスペンションなどの足まわりには「R8LMS」のパーツが流用されているという。
マシンの開発は、アウディとレーダーモータースポーツ社が共同でおこない、大型のリアウイングやワイドフェンダーを採用することで、迫力のあるレーシングカーとして仕上がっている。
アウディは同車で、ドイツのニュルブルクリンクで開催される耐久レースに10月16日テスト参戦し、30日にも出ることが予定されている。正式には公表されていないが、おそらく現在「A4」で出場しているDTM(ドイツ ツーリングカー選手権)に、2011年シーズンから参戦するのでは?というウワサがメディア関係者のなかで囁かれている。
以前にも2000から2003年シーズンにDTMで活躍したTT、そして先日パリサロンにて公開されたS1を彷彿とさせるクワトロ コンセプト。それらの復活を望む声は少なくない。
BRAND HISTORY
Audi(アウディ)のエンブレムは“フォーリングス”。その輪ひとつひとつが自動車メーカーのアウディ、DKW(デーカーヴェー)、ホルヒ、ヴァンダラーをあらわしているのはご存知だろう。いずれもザクセン州に本拠を置き、20世紀のはじめ、ドイツの自動車産業を牽引したブランドである。しかし、第一次世界大戦後に起きた世界恐慌の煽りをくらった4社は、生き残りをかけて、1932年にアウトウニオンを結成。DKWがモーターサイクルと小型車、ヴァンダラーが中型車、アウディが高級中型車、そして、ホルヒがラグジュアリーカーに特化する戦略をとることになった。
しかし、第二次世界大戦の敗戦により旧東ドイツのザクセンはロシアの占領下となり、アウトウニオンは消滅。これを見越して、旧西ドイツのバイエルン州インゴルシュタットに新生アウトウニオンが設立される。BMWやメルセデス・ベンツとちがい、工場のない状況からの苦しいスタートをしいられたアウトウニオンであったが、DKWデリバリーバンなどの生産により徐々に体力をつけていった。
1964年末にフォルクスワーゲン傘下におさまったアウトウニオンは、ほどなくしてアウディの名を冠した新型車を世に送りだす。そして1969年には、ネッカースウルムに本拠を置くNSU(“ヴァンケルエンジン”の開発で知られる)を合併し、アウディNSUアウトウニオンとなり、1985年からはアウディとして現在にいたる。クワトロをはじめとするテクノロジーと、モータースポーツ活動に裏づけられたダイナミック性能、エレガントなデザイン、そして、質感の高い仕上がりが、アウディの人気を牽引している。