VOLVO|ボルボ Rデザイン採用
VOLVO|ボルボ
S60、V60にRデザイン採用
ボルボは、スポーティな内外装を装備するためのコンセプト「Rデザイン」を、S60とV60にあらたに設定することを発表した。
文=ジラフ
内外装ともに変更され、よりスポーティに
Rデザインとは、エアロパーツを取りつけたエクステリアや、デコラティブパネルをつかったインテリアを採用することで、スポーティなデザインを具現するためのコンセプトである。今年のジュネーブショーでお披露目されたS60、そして7月に写真が公開されたばかりのV60にこのRデザインが設定されることとなった。
具体的なRデザインの仕様は、エクステリアにピアノブラックで塗装されたフロントグリルや、左右2本だしのマフラー、5スポークのダイアモンドカット18インチホイールなどを採用することで、スポーティ感を演出。全8色のボディカラーが設定されるという。インテリアでは、ブラックをベースに身体を縁取るかのようなラインでホワイトがあしらわれた厚めのシートが目を引く。この厚さによって、さまざまな体型をすっぽりとホールドしてくれるというから、走行時の効果にも期待がもてそうだ。
このコンセプトが採用されたS60、V60は、今年の秋ごろに、ヨーロッパ全土にデリバリーが開始される予定。
BRAND HISTORY
スウェーデンのボルボは、1927年にアッサー・ガブリエルソンが、ボールベアリング会社SKFの出資を引き出して設立した自動車会社。社名のVOLVOはラテン語で「私は転がる」からとられたもの。
ボルボは戦前は米国車のテイストを備えたファミリーカーを得意とした。戦後はやはりファミリーカーだが、シンプルで機能的、かつモダニズムのテイストをいれたデザインを採用した。1960年代には米国市場に足がかりをつくり、世界中で市場を開拓する。
日本でも人気の高い、いわゆる「アマゾン」と呼ばれた120シリーズをはじめ、低いルーフが斬新だったP1800シリーズで、ファッショナブルなイメージも得ることに成功し、地位を固めた。ベースになっている4ドアの100シリーズ(144と164など)、つづく200シリーズ(244と264など)。そのあともスクエアボディを売り物にしたラインナップを守りつづけた。
ボルボの魅力とは、シンプルで堅牢。ときとして退屈だが、ドイツ車につうじる論理性と機能性を、あまり堅苦しくないデザインで包みこんだところにあったといえる。1950年代からはやくもステーションワゴンに力を入れたのも、幅広い層に受け入れられる結果となった。
1980年代には北西戦略なるマーケティングプランを採用。価格をふくめて高級車路線を採択することで、ドイツのメルセデス・ベンツやBMWといったメーカーとおなじ土俵へと上がることに成功した。少なくとも日本ではそれゆえ大いにもてはやされた。2002年にはフォードの傘下、ランドローバーやアストンマーティン、ジャガーといった高級ブランドで組織されるプレミアオートモティブグループに組み入れられた。
ボルボはある意味マーケケティングに長けた会社で、いちはやく乗員の受動的安全性に注目していた。そのためどこよりも早く3点式セイフティベルトを採用したことをはじめ、事故調査チームを結成して交通事故の現場を調査して車体の安全性を検証している企業の姿勢も喧伝した。強固な車体構造も、変形して乗員を守るクラッシャブルボディが広まるまでは、ボルボの安全神話に大いに寄与した。
現在も車両安全性はボルボにおける重要なキーワードととらえられている。たとえば、時速30km以下では車両が自動的にブレーキをかけ先行車との衝突を未然に回避する「シティ セーフティ」(低速用追突回避・軽減オートブレーキシステム)がXC60に採用されているのは好個の例といえる。
日本市場におけるラインナップは、アウディA3などの対抗馬である2ドアハッチバックC30、ゴルフクラスのセダンC40とステーションワゴンV50、アッパーミドルセダンS80とステーションワゴンV70からなる。同時に、クロスカントリーというあたらしいジャンルでも、XC60、XC70、XC80とラインナップが充実している。格納式ハードトップを備えたC70も先頃モデルチェンジした。
現在のボルボの特徴としてニッチ(すきま)マーケットを重視した製品戦略を展開していることがあげられる。一時期のスクエアボディから、装飾を多用したエモーショナルな方向にデザインの舵が切られた。一方、エンジン排気量や装備などでメルセデスやBMWといったドイツの高級車よりお買い得感を出しているのもニッチ戦略といえる。
2009年にはPAGが事実上解散、2010年にボルボは中国の吉利に買収された。欧州の生産拠点を維持しつつ、中国でも生産を開始すると発表されている。