パフォーマンスと高級感を向上させた3代目CTS|Cadillac
Cadillac CTS|キャデラック CTS
パフォーマンスと高級感を向上させた3代目CTS
ゼネラルモーターズ・ジャパン(GMJ)は、シボレーブランドのフラッグシップスポーツカー「コルベット」と同時にキャデラック「CTS」を発表。来春より日本での発売をスタートさせる。今回登場したCTSの新型モデルは、第3世代に当たるもので、進化した「アート&サイエンス」を採用したエクステリアデザインと、ぜいを尽くした質感の高いインテリアが特徴だ。
Text by SAKURAI Kenichi
欧州のライバルたちにも勝る高い評価
第7世代の新型「コルベット」と同時発表され、2014年4月から販売を開始するキャデラックの新型ミドルサイズセダン「CTS」 は、599万円の「CTS ラグジュアリー」と、699万円の「CTS エレガンス」という2グレードをラインナップする。両車のおもなちがいは装備で、パワートレーンやボディバリエーションなどは実質同一である。
今回登場した第3世代にあたるCTSは、キャデラックの創立111年を迎えた今年3月のニューヨーク モーターショーでワールドプレミア。アメリカではすでに販売をおこなっており、米国自動車メディア「モータートレンド」誌の「2014カー オブ ザ イヤー」を受賞するなど、評価も高いモデルだ。
この賞は、その年に登場した新型車が対象となるアワードで、今回は22台がエントリーし、ファイナルステージには、キャデラックCTSのほか、BMW「4シリーズ」、ジャガー「Fタイプ」、メルセデス・ベンツ「Sクラス」など欧州メジャーブランドを中心とした強力なライバルをふくむ7台が進出。最終的に3つのことなるコースでハードなテストをおこない、CTSがみごとイヤーカーの栄誉を勝ち取った。
キャデラックは、モータートレンドのカー オブ ザ イヤーを1949年に初受賞していらい、これまで1952年、1992年のキャデラック「セビル」、さらに2008年のキャデラック「CTS」(第2世代)が、このカー オブ ザ イヤーに輝いている。キャデラックCTSとしての受賞は、通算2度目の快挙であるという。
Cadillac CTS|キャデラック CTS
パフォーマンスと高級感を向上させた3代目CTS (2)
よりダイナミックさを強調するシルエット
これまでの「CTS」をモチーフにしながらも、進化した「アート&サイエンス」のデザインで、より個性を際立たせた新型キャデラックCTS。全長は100mm長くなったが、ルーフラインやフードライン、ウィンドシールド部は、つまりボディ上半身では、約25mm低くなった。これによりロングノーズのプロポーションが強調され、よりダイナミックな印象を受けることになった。
ボディサイズは全長4,970×全幅1,840×全高1,465mmで、ホイールベースは30mm延長され、2,910mmと、ついに2,900mmの大台を超えた。
新世代のキャデラックを象徴する特徴的な縦型フロントヘッドランプには、LEDをふんだんに使用。左右それぞれのヘッドランプの外側に間接発光のLEDをそなえ、これがバンパーに設けられたLEDのドライビングライト兼ウインカーに連続する。フロントマスクはキャデラックのエンブレムを配した大型のグリルを中心に、彫刻的な造形で個性をアピールしている。
ボディサイドを流れるキャラクターラインも、彫刻的なメリハリのある造形だ。キャデラックを象徴する伝統的なフィンを想起させるテールライトは、内部が立体的な3層構造を採用。高級ある輝きをはなつ。ライト上部にキャデラックの文字が刻まれているのも、高級車としてのこだわりだろう。
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パフォーマンスと高級感を向上させた3代目CTS (3)
キャデラックの名にふさわしい質感高い内装
インテリアは、ドライバーオリエンテッドな非対称デザインを採用した。機能的なインフォテイメントシステム“CUE(キャデラック ユーザー エクスペリエンス)”をそなえたタッチスクリーン式の8ディスプレイをセンターコンソールの中心に置き、本物の素材、洗練されたデザインで上質な空間を構築。
インテリアトリムは、サペリウッド(CTS ラグジュアリー)とカーボンファイバー(CTSエレガンス)が使用されている。シートヒーターとベンチレーションが標準装備された本革シートは、専門職人によるハンドクラフト。ステアリングヒーター付の本革巻ステアリングホイールもタッチ、デザインともにラグジュアリーブランド“キャデラック”にみあった質感だ。
キャデラック「ATS」ですでに採用されているインフォテイメントシステム「CUE(キャデラック ユーザー エクスペリエンス)」は、スマートフォンのような直感的な操作を可能とした総合インターフェースで、ハンズフリー電話を含む最大10回線のBluetooth通信デバイスを接続できるほか、USB、SDカード、MP3プレーヤーなどの接続やコントロールが簡単におこなえる。
また、キャデラックではお馴染みとなった「BOSEプレミアムサウンドシステム」もCUEに組み合わせられている。キャデラックは、1983年のセビルで初めてBOSE純正サウンドシステムを導入。当時は「クルマの中をコンサートホールに」というキャッチフレーズが画期的だった。
新型キャデラックCTSに搭載される、進化した「BOSEプレミアムサウンドシステム」は、13個のスピーカーによって構築され、迫力あるサウンドを提供。さらにBOSE社と共同開発したアクティブ ノイズ キャンセレーション(ANC)も装備し、高級車にふさわしい静かで快適なキャビン環境をもたらす。
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パフォーマンスと高級感を向上させた3代目CTS (4)
ライバルはドイツ御三家のEセグメントモデル
いっぽうの走りは、従来モデル比で7パーセントの軽量化に成功したボディと、理想的な前後50:50の静止重量配分が、精密なハンドリングと快適な乗り心地を実現しているという。
あらたにドアやボンネットはアルミ製となり、さらにマグネシウムや軽量高張力鋼板などの先端素材も多用。CTSラグジュアリーにおけるボディ重量は、Cセグメントモデル並の1,680kgに抑えられている。
ボディに接合部には、構造用接着剤を使用。荷重を受ける構造材と部材を強固に結合し、接着剤がもつダンピング効果により、ボディに伝わるバイブレーションを低減しながら、従来のモデルにくらべボディ剛性は約40パーセント向上した。
前後にマルチリンクを採用したサスペンションには、進化した「マグネティック ライドコントロール」(磁性流体減衰力制御システム)を標準装備した。この可変ダンピングシステムは、1/1,000秒ごとに路面状況をモニタリングし、5/1,000秒でダンピング量を変化させ、快適な乗り心地と、ステアリングレスポンスを向上させるスポーティな走りの両立を実現している。
ちなみにブレーキは、ブレンボ製(フロント)で、上級グレードのCTSエレガンスでは、オート ドライ ブレーキ機能も搭載している。
エンジンは、現在主流となったダウンサイジングのコンセプトから、従来のV6エンジンにかわり、軽量で高効率な2リッター直列4気筒直噴ターボエンジンを採用。9.5:1の圧縮比から、最高出力203kW(276ps)と、3,000-4,500rpmにわたってフラットな最大トルク400Nm(40.8kgm)を生み出す。
これまでの延長線上にありながら、確実に進化をとげたあたらしいキャデラック「CTS」。日本で絶大な人気をほこる、ドイツのラグジュアリーブランド御三家にひけを取らない魅力の持ち主であることはまちがいないはずだ。気になる走りのポテンシャルは、また機会を改めてご報告することにしたい。メルセデス・ベンツ「Eクラス」やBMW「5シリーズ」、そしてアウディ「A6」など、強力なライバルたちにたいしてどのような戦いを見せるのか、今後も注目していきたいとおもう。