新型アウディA8、A7が日本上陸|Audi
Audi A8|アウディA8
Audi A7 Sportback|アウディ A7 スポーツバック
新型アウディA8、A7が日本上陸|Audi
アウディ ジャパンは同社のフラッグシップセダンで8年ぶりにフルモデルチェンジした「A8」と、同じく7年ぶりにフルモデルチェンジしたプレミアム4ドアクーペ「A7スポーツバック(以下A7」)を“アウディA8 / A7スポーツバックプレスカンファレンス”にて同時発表した。A8は10月15日より、A7は9月6日より販売を開始する。
Text & Photographs by UCHIDA Shunichi
マイルドハイブリッド技術を初採用
アウディのセダンのラインナップにおける頂点である「A8」。日本に導入されるモデルは大きく3つ。「55TFSIクワトロ」は3リッターV型6気筒直噴ターボエンジンを搭載し、340ps/500Nmを発生する。価格は1,140万円。
そして、「60TFSIクワトロ」とそのロングホイールベースバージョンの「L60TFSIクワトロ」は4リッターV型8気筒直噴ツインターボエンジンを搭載。460ps/660Nmを発生し、価格は1,510万円と1,640万円である。いずれのモデルもトランスミッションは8段ティプトロニック、最新の四輪駆動システムのクワトロが標準で装備される。
今回この2つのエンジンにはマイルド ハイブリッドシステムが組み合わされる。これはアウディ初となる技術で、48Vリチウムイオンバッテリーと、クランク軸にベルトを介して連結されるBAS(ベルト オルタネーター スターター)により、燃費を改善する。
回生ブレーキによる発電、あるいは22km/h以下でのアイドリングストップ機能が備わり、また55〜160km/hの範囲でスロットルペダルをオフにすると、エンジンを停止してのコースティング(惰性)走行を可能にする。また、BASは最大60Nmのトルクを発生。アイドルストップから再始動時のショックもなく、スムーズはスタートが可能になった。
なお、アウディジャパンマーケティング本部部長の石田英明氏によると、このマイルドハイブリッド技術は、今後展開されるアウディのV6エンジン以上に採用して行く予定だという。
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最新のドライバーアシスタンスを搭載
A8には量産車初となるレーザースキャナーをフロントグリルにを装備。それに加えて5つのカメラセンサー、5つのミリ波レーダー、それから12個の超音波センサーを採用し、合計23個のセンサーを全方位で囲むように設置している。このレーザースキャナーは、赤外線照射タイプとなり前方約80メートル、角度は約145度検知することが可能だ。
これらセンサーからの膨大な情報を統合的に分析して高度な周辺環境モデルを構築する、セントラル ドライバー アシスタンス コントローラー(zFAS)の採用も特徴で、これにより人間の感覚に近い、遅れの少ない自然な制御を実現するという。このレーザースキャナーとセントラル ドライバーズ アシスタンスの機能は将来導入されるであろう自動運転レベル3の技術としては必須のアイテムになるという。
このレーザースキャナーの効果について、0km/hから250km/hまでの範囲で作動可能なアダプティブ ドライブ アシストを例に挙げると、作動中に急に横から割り込んできたクルマがいた場合にも瞬時に反応することができ、反応も非常にスムーズなブレーキングを行うことができるようになった。
コネクティビティも大幅進化
今回コネクティビティも大きく進化した。まずMMIタッチレスポンスと呼ばれ、2つのタッチパネルが採用されている。上部が10.1インチの大型画面、下部は8.6インチの2つのタッチパネルで、上部はナビゲーションや各種設定などのインフォテイメントを担当し、下部は主にエアコンディショナーの操作や、手書き入力が可能だ。これらの操作はスマートフォンに似た直感的なコントロールと、ハプティック フィードバックを採用したことで、スクリーンを押すと触覚によるフィードバックが返されることにより、より確実な操作感を実現している。
コネクト機能としては従来あったインターネット接続、あるいは車内wi-fiに加え、ボイスコマンドでのクラウドによる目的地検索が可能になったほか、ナビゲーターにつなぐことにより、オペレーターから目的地をクルマに送信してもらうこともできるようにもなった。さらに、ユーザーがマイアウディに登録することで、自分のスマートフォンで目的地を設定したものをクルマに送ることができるなど、目的地検索方法が充実している。
また、離れたところからでももスマートフォンでドアのロックアンロックの確認、開錠施錠もできるなど利便性もアップしている。
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小回り性と高速安定性の両立
走りの面においてもA8はさまざまな進化を遂げた。オプション設定としてAWS(四輪操舵)を採用。これは約65km/h以下ではリアをフロントとは最大5度まで逆相違にすることで、最小回転半径を約0.5メートル小さくした。一方、70km/h以上の場合にリアとフロントを最大2度同相にし、操縦安定性をアップさせる。
また可変制御ダンパー付きアダプティブ エアサスペンションを標準装備。エアサスペンションの設定はアウディ ドライブ セレクトによってコンフォート、オート、ダイナミックなど任意でモード変更が可能だ。
2019年以降に導入予定のテクノロジーとしては、AIアクティブサスペンションがある。これは前述したレーザースキャナーやカメラセンサーを用い、路面の凹凸を先読みすることで、サスペンション ストロークをアクティブ制御するものだ。四輪それぞれに最大1,100Nmを発生する電動式アクチュエーターとコントロールアームが連結されており、48Vバッテリーを電源として直接的にサスペンションストロークを操作、その結果としてロールやピッチをアクティブに制御し、ラグジュアリーセダンにふさわしいなめらかでフラットな乗り心地から、スポーティセダンのようなキビキビした身のこなしまでを実現するという。
またアクティブセーフティ機能も持ち、側面衝突が避けられないとセンサーシステムが判断した場合、ボディ片側を80mm持ち上げることで、衝撃を強固なサイドシルで受け止めることができ、キャビン変形と乗員への負荷を大幅に軽減する。
新たなシングルフレームグリルを採用
A8のデザインについて、今回の発表に合わせて来日したアウディA.G.エクステリアデザイナーのアマール・フィア氏によると、「我々はこのニューモデルをアウディの歴史的な資質を受け継ぎながらさらに一歩前進させる必要があると考え、洗練、エレガンス、先進性、そしてスポーティさを表現することを目指しました」と述べる。また、「威風堂々としたデザインを実現し、ラグジュアリーセグメントにおける新たな基準を設定したいと考えたのです」という。
その特徴としては、シングルフレームグリルを挙げ、「これはアウディのアイデンティティであり、今回A8ではそのプロポーションを変更することによって幅広さを強調し、力強さを表現しています。それによって100メートル離れたところから見てもそれがアウディの新しい顔であることが明確にわかるでしょう」とコメント。
またこのクルマのプロポーションについては、「フロントから見ると自信に溢れ、リアから見るとヨットを連想させるようなテールデザインによって今にも走り出しそうな印象を与えています。さらにリアのヘッドスペースを損なうことなくなめらかなルーフラインを描き、クーペのような印象でしょう」とその特徴を語る。
また、「ホイールハウス上のブリスターがパワーと力強さを追加し、彫りの深いショルダーラインが重心を大幅に引き下げることによって路面をしっかりつかむ視覚的印象を生み出しています。我々はこのデザインによってA8の魅力をさらに引き上げ、クルマが備えている先進的な機能を完璧に表現することができたと確信しています」と述べた。このホイールハウス上のブリスターは、往年の名車、アウディクワトロのデザインDNAをモチーフとしており、今後のアウディのデザイン言語として採用されていくものだという。
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低くスポーティで表現力豊かなプロポーション
アウディA7は何といってもデザインがポイントだ。フィア氏は、「低くスポーティで表現力豊かなプロポーションによって、2014年に発表されたコンセプトカー、アウディ プロローグをより忠実に再現しています」と話す。クワトロブリスターはより大きく、また、アウディデザインの伝統に則って、ルーフラインは大きく傾斜している。
サイドビューは、ウィンドウエリアが上部の1/3を、ボディが下部の2/3を占めており、「これはアスリートのようにダイナミックな美しさを生み出すために我々が理想とするプロポーションです。しかし使い勝手の良いリアシートと大きな開口部を備えたハッチバックを組み合わせることによって実用性は一切損なわれていません」と、デザインと居住性を両立していることを強調する。
なお、アウディ「プロローグ」は、A8やA7と同時進行したコンセプトカーで、随所に今後登場するアウディの各モデルのデザインモチーフがちりばめられているという。
アウディのアイコンともいえるシングルフレームグリルは、A8のものよりも低く幅広いものとされ、細いヘッドライト、大胆な縁取りがなされたエアインレット、低く伸びたボンネットなどにより、一目でグランツーリスモとしてのスポーティな性格を表現。
ヘッドライトの上部モジュールには縦に12個並んだLEDライトがデイタイム ランニング ライト、およびポジションライトを構成し、「この12のライトセグメントが狭いスペースで区切られながら縦方向に配置されることにより、ゼロとイチによって表現されるデジタル世界との関連性を想起させ、これがA7のデジタルの目として機能しているのです」と、フィア氏は説明する。
未来のラウンジのような雰囲気
リアエンドは、先代同様、ヨットのようにすぼまっており、長いハッチゲートの後端はリップ状に少し突き出した形状で、120km/h以上の高速では、ここに内蔵されたスポイラーが自動的に伸長してリアのダウンフォースを高める。また、それぞれ13個の縦型ライトセグメントで構成された両側のテールライトモジュールは、横に伸びるライトストリップでつながれ、ドアを開錠もしくは施錠したときには、ヘッドライトとリヤライトにより、光のアニメーションが展開される。
インテリアは、先進性、スポーティネス、直感的な操作性、洗練性という4つの価値を重視してデザインされ簡潔でクリーンな未来のラウンジのような雰囲気を醸し出したという。水平ラインと細いインストルメントパネルにより広々感が演出されており、ドライバーに向けて少し角度が付けられたセンターコンソールが、グランツーリスモとしてのスポーティなキャラクターを強調している。
インストルメントパネルに設置された10.1インチのアッパースクリーンにも、ドライバーに向けて少し角度が付けられている。ブラックの光学パネルにグラファイト グレー アルミの飾りフレームを用いたこのディスプレイは、電源をオフにするとダッシュボードに完全に溶け込む。パネルディスプレイのインターフェイスアイコンは、クルマのドアを開けるとすぐに現れ、インテリアデザインとマッチするよう簡潔なデザインになっている。また、A8と同様下部にもタッチスクリーンが配されている。
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A7にもマイルドハイブリッドシステムを搭載
A7のラインナップは、V型6気筒3リッターガソリンエンジンを搭載した「55TFSIクワトロ デビューパッケージ」と「55TFSIクワトロS-ライン」で、価格はそれぞれ988万円と1,066万円となる。それと同時にエクステンデッド レザーのインテリア、バング&オルフセン サウンドシステム、ダイナミック オールホイール ステアリング(四輪操舵システム)、ダンピング コントロール サスペンションなどを装備を満載した2種類の限定車、「55TFSIクワトロ1st edition」と「55TFSIクワトロS-ライン 1st edition」がそれぞれ1,058万円、1,161万円で、合計250台発売される。
今回搭載されるエンジンにもA8と同様48V電装システムを主電源とするマイルドハイブリッド仕様で、100kmあたり0.7リッターの燃料消費を低減している。
ユーザーインターフェイスやコネクティビティ、ドライバー アシスタンス システム、AWSなどの機能の多くは新型A8に準じている。
この9月より新たにアウディジャパン代表取締役に就任したフィリップ・ノアック氏は、A8とA7について、「アウディブランドを象徴するモデルで、それはすなわち、クリーンで洗練されたデザイン、最高の品質とクラフツマンシップ、そして先進技術に裏打ちされた優れた性能と快適性です」と紹介。そして、「アウディは長年の経験からお客様がアウディブランドに何を期待しているかを心得ています。アウディブランドが提供するのはこの特徴ある製品だけではなく、その製品とサービスを通じた先進性やプログレッシブネスの体験です。特に今回の新型A8とA7は、お客様に未来を感じてもらえるような体験を提供するでしょう」と語る。
9月に初の電気自動車を発表
同時にこの2台は、「都市化、デジタル化、そして持続可能性という現代社会ガ直面する変化に対応したものでもあります。アウディは数年前に先進技術によってプレミアム モビリティ プロバイダーになるという2025年に向けたビジョンを打ち出しました。そしてそのビジョンの実現のベースとなるのが我々のプレミアムなクルマであり、とりわけこの新型A8とA7はビジョンの実現に向けて我々がたどる道のりを示しているといえるでしょう」という。
特にA8に関しては、「世界で初めてレベル3の条件付き自動運転システムを可能にすべく開発されました。このクルマは合計23個ものセンサーやカメラを搭載して、生産車としては世界初となるレーザースキャナーのような高度なセンサーも含まれています。レベル3の機能であるトラフィック ジャム パイロットは国際的な技術認証や道路交通法の改正の関係でまだいずれの市場でも導入されてはいません。それでも、今回日本で発売するA8は洗練されたレベル2の運転支援システムを提供しています。例えばアウディ ドライブ アシストは発進から高速走行まで加速、減速、レーンキープにおいて連続的にドライバーをサポートし、より高い安心感と快適性を実現しているのです」とし、アウディが持つ高度な運転支援技術を備えていることを強調。
電動化についても、「9月に初の電気自動車となるe-Tronを発表します。そしてこの先数年以内にさらに3つのEVモデルを投入する予定です。同時に内燃機関のクルマもマイルドハイブリッド化することで、電動化のレベルを今後も高めていきます。こうした取り組みはCO2排出量の削減を図り自動車による環境への負荷を減らすためには必要とされているのですから」と今後の見通しを述べた。
アウディ コミュニケーションセンター
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