新型Eクラス クーペとAMG E 63を発表|Mercedes-Benz
Mercedes-Benz E Class Coupe|メルセデス・ベンツ Eクラス クーペ
Mercedes-AMG E 63 S 4MATIC+|メルセデスAMG E 63 S 4マティック+
新型Eクラス クーペとAMG E 63を発表
メルセデス・ベンツ日本は同社の中核モデルの「Eクラス」に3つ目のボディタイプとなるクーペと、Eクラス史上最速のE 63 S 4MATIC+を追加した。クーペの価格は682万円から、E 63 S 4MATIC+は1774万円である。
Text & Photographs by UCHIDA Shunichi
4人が快適に乗車できるEクラス クーペ
新型「Eクラス クーペ」の最大の魅力はエクステリアデザインといっても過言ではないだろう。Eクラス クーペに伝統的に用いられてきた、Bピラーレスやサッシュレスウインドウは新型でも踏襲。そのうえで、ベルトラインを高くし、細く流麗なルーフラインによりエレガントさとともにスポーティさが強調された。
サイドデザインでの大きなポイントは、これまで全長が長いスポーツモデルに用いられてきたフロントフェンダーからなだらかに下がる“ドロッピングライン”が廃され、リア ショルダーは曲線のみで表現されたことだ。また、ベルトラインも控えめにすることで、シンプルでありながら光と影が強いコントラストを生み出し、彫刻的な造形を実現していると説明される。
リア周りは水平にトランクリッドにまで伸びる2分割構造のLEDリアコンビネーションランプが特徴だ。すでにセダンとステーションワゴンに搭載されている、夜間にリモコンキーで開錠すると、車幅灯が約3秒間青く点灯することで乗員を迎える“カミング ホーム ファンクション”に加え、新型Eクラス クーペには、リアにも同様の機能が加えられた。ドアを開錠すると、リアコンビネーションランプのLEDが車体中央側から 外側に向けて順に点灯。施錠時には反対方向に点灯するものである。
インテリアで最初に目につくのが2つの高精細 12.3インチワイドディスプレイだ。この2つのディスプレイを一枚のガラスカバーで融合したコックピットディスプレイは、 空中に浮かんでいるように見え、インテリアデザインの水平方向の流れを強調する中心的要素となっている。
また、タッチコントロール機能がステアリングホイールに備えられた。これは、スマートフォンなどと同様にタッチセンス機能を内蔵したボタンで、縦方向および横方向のスワイプに反応する。メニュー項目の選択はスワイプ、確定はそのままボタンを押し込むことで、ドライバーはインフォテイメントの各機能の操作をステアリングから手を離すことなく簡単かつ機能的に操作することが可能になった。
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ラインナップは4種類
そして、先代モデルに比べてボディサイズが大型化したことで、室内空間と快適性が向上。 特に後席では、レッグルームで+74mm、ショルダールームが+34mm、そしてヘッドルーム も+15mm拡大している。
メルセデス・ベンツ日本営業企画部商品企画1課マネージャーの木下潤一氏は、「クーペを購入するユーザーは、自分自身が運転される方が多く 、パートナーや友人が助手席に乗ることがほとんどで、後席は荷物を置くことが一般的だと聞きます。しかし、一度クーペを所有すると、旅行の際に荷物を置くとき、ゴルフバックを積むとき、友人を乗せる時など、後席がもう少し広ければと考えることが多いそうです」と述べ、その点を踏まえ後席の居住性向上が図られたと語った。
日本に導入されるラインナップは、2リッター4気筒ターボエンジンの「E 200 クーペ」、その内外装をスポーティにした「E 200 クーペ スポーツ」、同じ2リッター4気筒ターボながら245psエンジンを搭載した「E 300 クーペ スポーツ」、そして唯一V6エンジンとエア ボディ コントロール搭載する「E 400 4MATIC クーペ スポーツ」の計4モデルとなる。
メルセデス・ベンツ日本代表取締役社長兼CEOの上野金太郎氏は、昨年発表した「E クラス セダン」と「E クラス ステーションワゴン」について「先月末までに合わせて1万台を販売しました。同時期におけるメルセデスベンツの販売台数の16パーセントを占めています」と述べ、新型においてもE クラスが同社の基幹車種のひとつであることを強調した。
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E クラス史上最速のメルセデスAMG E 63 S 4MATIC+
E クラス クーペと同時に発表された、メルセデスAMG「E 63 S 4MATIC+」。搭載されるエンジンは、メルセデスAMG社が完全自社開発したスポーツカー、メルセデスAMG「GT」と基本設計を共通とするAMG製4.0リッターV8直噴ツインターボエンジンのM177型となる。2基のターボチャージャーはV型シリンダーバンクの外側ではなく内側に配置する“ホットインサイドV”レイアウトとし、エンジンを可能な限りコンパクト化。ターボチャージャーへの吸排気経路の最適化とツインスクロールとすることで、低回転域から優れたレスポンスを実現している。
実力は、排気量が先代よりも1.5リッター少なくなったにも関わらず、最高出力612ps(先代比+27ps)、 最大トルク850Nm(先代比+50Nm)を発生。0-100km/h加速3.4秒(先代比-0.2秒)を実現し、E クラス史上最速モデルとなった。
またこのエンジンは、V8ターボエンジンとして初めてシリンダーカットオフ機能を備えている。これは、常に8個のピストンを動かすのではなく、Comfortモードで走行中、エンジン回転数が1,000-3,250回転で低負荷の際に、2番、3番、5番、8番の4つのシリンダーを休めることで、 CO2排出量を抑えることができ、燃費と環境性能を同時に高めている。
AMG E 63 S 4MATIC+にはドリフトモードが設定された。これは読んで字のごとくドリフトが可能になるモードで、トルク配分をリア100に設定するものだ。これまでのAMG 63シリーズの4MATICのトルク配分は固定式だったのだが、AMG E 63 S 4MATIC+では、このドリフトモード以外でも状況に応じて自動的にトルク配分を変えることで、ハイパワーを路面に最適に配分するという。つまり、+は可変トルク配分を指しているのだ。
ドリフトモードの手順は、AMGダイナミックセレクトでレースモードを採用し、ESPスイッチを長押ししてオフにする。マニュアルトランスミッションモードを選択して、パドルシフトでメニューを確定するとドリフトモードが適用される。
また、ローンチコントロール機能であるレーススタートが簡単に起動できるようにもなった。まずダイナミックセレクトで、スポーツ、スポーツプラス、レースモードを選び、左足でブレーキを強く踏む。右足でアクセルを全開にして左足を外すだけでレーススタートが可能だ。
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AMG63初の9段MCTを搭載
トランスミッションには9段のAMGスピードシフトMCTをAMG 63シリーズとして初めて搭載。トルコンに変えて湿式多板クラッチを採用することで、通常のオートマティックトランスミッションに見られる損失を低減し、軽量化も相まって燃費とレスポンスを向上させている。
さらに、高速走行時などにアクセルから足を離すと エンジンとトランスミッションを切り離して燃料消費を抑えるセーリング機能の採用によって燃費を優先する“C(Comfort)”や、よりスポーティなドライビングが楽しめる“S(Sport)”、“S+(Sport Plus)”、さまざまなパラメーターを個別に設定できる“I(Individual)”の 4 つのモードを搭載。“RACE”モードでは、サーキット走行のためにすべてのパラメーターが変更される。また、シフトダウン時に一速飛ばしたギアを選択したり、自動ダブルクラッチ機能など効率良くギアチェンジが行われる。
AMG E 63 S 4MATIC+には磁性流体のエンジンマウント、ダイナミックエンジンマウントをEクラスで初めて搭載。各種センサーからの情報により、ドライビングの状況を検知して、マウントの硬さを自動で調整する。例えば、通常走行時は柔らかいマウントによって、ドライブトレインからのノイズや振動を効果的に遮断し、快適性を高め、ダイナミックなドライビング時には、マウントを硬くすることでドライブトレインのロールモーションを減少し、クイックなコーナリングを実現させる。
エクステリアデザインは、Aピラーより前方を専用デザインとし、メルセデスAMGセダンとして初めてボンネットをフェンダーとバンパーの内側にはめ込む、クーペ的なデザインを採用。また、通常のEクラスよりもワイドなフェンダーを採用し、フロントのトレッド拡大とホイール大型化に対応している。そして、新しいフロントグリルは、、AMGのロゴをあしらったシルバークロームのツインルーバーと縦向きのブラックフィンが用いられ、ジェット機の翼のデザインをモチーフにしたという幅広いフロントエプロンは、ブラックのフリックと大型フロントスプリッターを備えることで、AMG E 63 S 4MATIC+が発揮するパワーを表現すると同時に、高い冷却機能を備えているという。
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長く続けられている社会貢献活動
さて、メルセデス・ベンツ日本の親会社であるダイムラー社では、さまざまな社会貢献活動を実施している。それに伴い日本においても多彩な活動を展開。今回のEクラス クーペ等の発表に伴い、上野社長より直近、日本で実施する計画が紹介された。
ひとつは「スマート シティ プロジェクト」だ。「スマート」は最小限のボディサイズに最大限の利便性、快適性、安全性、環境適合性を凝縮したシティコンパクトだ。1997年の登場以来、革新的なコンセプトと遊び心溢れるデザインから、昨年までに全世界で累計販売台数が200万台、日本でも累計で3万6,000台を販売したという。ダイムラー本社がグローバルで推進しているスマート シティ プロジェクトは、「世界各地で各都市の文化や風土にあったユニークな活動を通じて、スマートをより多くの方に知ってもらう取り組みで、現在、14箇所、41都市で展開しています」と上野氏は紹介。
昨年より京都府のPR活動、“もうひとつの京都”にメルセデス・ベンツ日本も参加している縁もあり、「日本ではこの活動を京都で行うことになりました」と話す。すでに京都府には、「お茶の京都、 半農半芸プロジェクト活動のためのPR車両の提供、MBSラジオ番組“もうひとつの京都”への協賛などを実施しており、今後さらに京都府と連携を深めていきます」とコメントした。
さらに日本で初めてのスマート専売拠点、“smart center 京都、the garden”を6月17日に京都岡崎にオープンすることも合わせて発表された。
2つ目は文化芸術支援活動だ。ダイムラー社は社会貢献活動の一環として、歴史的に現代アートに関わる取り組みを実施している。こうした背景から日本では独自の文化芸術支援活動のプログラムとして「メルセデス・ベンツ アート スコープ」を1991年から実施(ちなみに上野社長も担当していた時期があった由)。アートスコープは現代芸術の若いアーティストを日本とドイツのあいだで相互に派遣、招聘し、異文化での生活体験、創作活動を通して交流を図るというプログラムだ。
本年27年目を迎え、「その歴史のなかで著名アーティストを多数輩出していることから、アート業界からも高い評価をもらっています」と上野氏。そして、東京は品川御殿山の原美術館にて、8月27日までの3ヵ月間、2015年に排出した若手作家2名に加え、プログラムのOBである佐藤時啓氏によるグループ展を実施している。
これら以外にも社会貢献活動のひとつ“ローレウス”にも協力。スポーツの力を活用して社会問題に立ち向かっていこうという活動で、ダイムラー社はその設立に関わり、2000年の設立以来すでに世界34ヵ国、150以上の社会プロジェクトで150万人以上の子どもたちを支援してきた。
この世界各国でのローレウスの活動を支えるのが、ローレウス アンバサダーだ。現在世界中のトップアスリート、約160名がアンバサダーを務めており、先日、サッカーの香川真司選手が日本人として初めてローレウス アンバサダーに就任。それを受け、メルセデス・ベンツ日本は、香川選手が主催する社会貢献活動、SHINJI HOUSEをサポートすることを決定した。SHINJI HOUSEは、「香川選手は、子どもたちが家族と一緒にスポーツをする時間を持ってほしいという思いから立ち上げたプロジェクトで、この活動を通して子どもたちに夢を持ってもらいたいと願っています」と語った。