第5世代Eクラス登場|Mercedes-Benz
Mercedes-Benz E-Class |メルセデス・ベンツ Eクラス
第5世代Eクラス登場
メルセデス・ベンツは、北米国際自動車ショー=NAIAS(通称デトロイト モーターショー)において、現地時間1月11日にフルモデルチェンジを果たした新型「Eクラス」を初公開した。注目は、先に登場したフラッグシップセダン「Sクラス」やDセグメントモデル「Cクラス」と同じ最新のデザイン言語を使用してデザインされたエクステリアと、より高級感を向上させたインテリア、そして自動的に車線変更をする機能などを盛り込んだ、より進化した安全運転支援システム「DRIVE PILOT」の搭載などである。
Text by SAKURAI Kenichi
SクラスやCクラスと統一感のとれたデザインへ
予想以上ともいえる多くのニューモデルやコンセプトカーの登場で沸き上がった今回のデトロイト モーターショーの中でも、主役ともいうべき全世界注目のモデルが、フルモデルチェンジされた新型「Eクラス」であったことに異を唱える者はいないだろう。今回のショーで一般公開を果たした新型Eクラスは、正しく紹介するならば、ショー開幕の前日に行われたニューイヤーレセプションでワールドプレミアの瞬間を迎えた。
コードネームは“W213”、1995年に登場した初代モデルから数え第5世代に進化した新型Eクラスは、いうまでもなく「Cクラス」と「Sクラス」のちょうど中間ともいうべきEセグメントに属するモデル。主力モデル3台がSクラスに端を発した最新デザイン言語でのフォルムに統一されたことにより、かつて「ミディアムクラス」と呼ばれていた同車のポジショニングが、自ずと思いおこされた。
新型と聞いて誰もが気になるそのデザインは、前述のとおりCクラスとSクラス両車の流れを汲んだクーペのような流麗さを持ち、ひと目でメルセデスだと分かるキャッチーなアピアランスを備える。立体的なフロントグリルから続くヘッドライトやボンネット、そしてボディサイドまでの曲面は、より一体感を増し、彫刻的なソリッド感をもたらす。テールライトデザインはCクラス同様、トランクリッド左右にコンパクトに収まる。CクラスやSクラスとの統一感も、大きな開発テーマであったに違いない。
このスポーティなデザインのボディサイズは全長が43mm延長され、従来モデルの4,880mmから4,923mmとなり、ホイールベースも2,874mmから65mm伸ばされ2,939mmとなったた。スタイリッシュでダイナミックなショートオーバーハング、ロングホイールベース、そして大きなホイールを収める張り出したフェンダーなど、CクラスやSクラスのエクステリアデザインをさらに洗練させた印象をもたらす。
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第5世代Eクラス登場 (2)
よりラグジュアリーな印象のインテリア
ベースバージョンは、ボンネットにスリーポインテッドスターを持つ古典的なメルセデスのラジエーターグリルを備え、いっぽう「アバンギャルド」と「AMG ライン」のモデルは、ラジエーターグリルの中心により大型のスリーポインテッドスターとスポーツラジエーターグリルを持ち、この両者は簡単に識別可能だ。
車両のワールドプレミアに先駆け公開されたインテリアからは、より高級感を増したSクラスへの近似性をイメージさせたが、実車の造形は公開時の画像よりもいっそうラグジュアリーな印象をもたらす。
上下に分割されたラウンドデザインのダッシュボードにはオプションではあるが(本国仕様の場合)、第2世代の高解像度12.3インチ ワイドスクリーン ディスプレイを装備。視覚的にもインテリアデザインのワイドな水平方向を強調する中心的な要素になっている。インテリアが緻密でありながら広く感じられるのはそのためだと判断してもよさそうだ。「クラシック」「スポーツ」「プログレッシブ」と、3つの異なるデザインを選択することが可能になっている。
また、ステアリングホイール上に設けられたタッチ センシティブ コントロール ボタンは、この新型Eクラスで初採用されたもので、スマートフォンのインタフェイスと同様に、ドライバーがステアリングホイールから手を離すことなく、指のスワイプを使用して全体のインフォテインメントシステムを制御することができる。これは、ドライバーの操作性を向上させるとともに、視線移動を最小限に抑えるなど、安全運転にも寄与するデバイスであるとメルセデスは説明する。
インフォテインメントシステムには従来どおり、センターコンソール手前に手書き認識することができるタッチパッドとコントローラー、さらには音声制御システムも装備。ナビやオーディオ、エアコンの調整などのインターフェイスも運転支援システムの一貫としてより進化している。もちろん、直感的にこれらを操作できるスイッチも別に設けられているため、スマートフォンライクな操作性が苦手というオーナーも安心できるはずだ。
さらにインテリア照明は、耐久性、省エネ性に優れたLEDを用い、64色のパーソナライゼーションを実現。センターコンソール上のトリム、中央の表示部分、前面収納部やドアポケット、フロントとリアの足元、オーバーヘッドコンソール、さらにはスピーカーのツイータ部分にもLEDの照明が用意されている。
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第5世代Eクラス登場 (3)
自動運転の実現が近づく
今回発表された新型「Eクラス」のパワートレインは、ガソリンとディーゼルの直列4気筒エンジンが各1モデルずつ、V6エンジンも同じくガソリンとディーゼルエンジンが1モデルずつ、そしてプラグインハイブリッド1モデルというラインナップになっている。
詳しく紹介すると、ガソリンエンジンモデルは、最高出力135kW(184ps)、最大トルク300Nm(30.5kgm)を発生する2.0リッター直列4気筒ターボエンジンを搭載する後輪駆動の「E 200」と、最高出力245kW(333ps)、最大トルク480Nm(48.9kgm)を発生する 3.0リッターV型6気筒エンジンを搭載する4輪駆動の「E 400 4MATIC」。ディーゼルモデルは、最高出力143kW(195ps)、最大トルク400Nm(40.7kgm)を発生する2.0リッター直列4気筒エンジンを搭載する「E 220 d」、最高出力190kW(258ps)、最大トルク620Nm(63.2kgm)を発生する3.0リッターV型6気筒エンジンを搭載する「E 350 d」という構成。
これらに加え、最高出力155kW(211ps)、最大トルク350Nm(35.6kgm)を発揮する直列4気筒2.0リッター ガソリンエンジンと、最高出力65kW(88ps)、最大トルク440Nm(44.8kgm)を発生するモーターを組み合わせ、システム合計最高出力210kW(286ps)、最大トルク550Nm(56.0kgm)を実現するプラグインハイブリッドモデルの「E 350 e」も当初からラインナップに加わる。前述のいずれのモデルも、トランスミッションは最新型となる9段AT「9G-TRONIC」を採用した。
いっぽうメルセデスが目下開発に一番力を入れている安全運転支援システムは、次世代運転支援システム「ドライブパイロット」に進化。このシステムでは、アダプティブ クルーズコントロール「ディストロニック」が210km/hの速度まで作動、前車の後方で自動的に適正な距離を保ち追従する。さらに130km/hの速度までは、センターラインが不明瞭または存在しなくても、周囲の車両との間隔を考慮して、クルーズコントロールを作動させる。このシステムは、特に交通渋滞や混雑時にドライバーの負担軽減効果を発揮するという。
さらにドライブパイロットでは、初めて自動的に車線変更をする「アクティブ レーンチェンジ アシスタント」も盛り込まれた。レーダーセンサーとカメラが多車線道路において、追い越し完了時に隣接車線に他車がいないことを確認すると、自動で運転者により選択された車線へ戻る際のステアリングを支援する。これはもちろん、メルセデスが実証実験を積み重ね、実用間近となった完全自動運転の技術の応用である。
新型Eクラスは、単にニューモデルとしてフルモデルチェンジされただけではなく、メルセデスが推し進める次なるクルマの進化のステップである完全自律走行に向けたブリッジモデルの役割も担っている。デザインや安全性、快適性、そして環境性能も大幅に進化した新型「Eクラス」は、クルマの未来を担う大きな役割を持っているともいえそうだ。