CO2をいっさい排出しないソーラー水素ステーションが誕生|HONDA
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2014年12月12日

CO2をいっさい排出しないソーラー水素ステーションが誕生|HONDA

ホンダ|HONDA

“究極のエコカー”、実用化へ一歩前進となるか!?

CO2をいっさい排出しないソーラー水素ステーションが誕生

クリーンエネルギーを補給したクルマで長時間ドライブへ──。そんな未来を予感させるできごとがあった。去る3月27日、日本初の「ソーラー水素ステーション」が埼玉県庁の敷地内に設置されたのだ。

Text by TANAKA Junko(OPENERS)

“究極のエコカー”として期待を一身に集める燃料電池車

“究極のクリーン性能を持つクルマ”として、ホンダが積極的に開発を続ける燃料電池車「FCXクラリティ」。水素をエネルギー源に、“自車発電”しながらモーターを駆動させて走る次世代型のクルマだ。2008年にリース販売を開始して以来、実用化が期待されている。その最大の魅力は、EV(電気自動車)と同様、走行中に二酸化炭素をいっさい排出しないこと。また、長時間を要するEVの充電に対して、たった5分程度で水素を充填(チャージ)できること。さらには、1回の充填でガソリン車並みの走行距離(620km)を得られることだ。

燃料電池車はおもに、水素から電気を発生させる「燃料電池スタック」、水素を蓄えておく「高圧水素タンク」、電気を蓄えておく「リチウムイオンバッテリー」、電気を動力に換えてクルマを動かす「駆動モーター」、電気の流れを制御する「PDU(パワードライブユニット)」で構成されている。これらの連携によって、必要なときに必要なだけ電気を発電できるだけでなく、つくった電気を蓄えられる性質を利用して、外部の電気機器に電気を供給することができる。最大出力量は9kWで、これは一般家庭のおよそ6日分の使用電力をまかなえる計算だ。

ソーラー水素ステーション|02

ソーラー水素ステーション|03

水素は地球上に単独では存在しないが、さまざまな物質に含まれていて、そのなかから取り出すことができる。現時点では、主に天然ガスなどから取り出す方法がとられているが、理論上は太陽光や風力、水力などの自然エネルギーと水だけで水素を作ることも可能だという。自然エネルギーで発電した電力を利用して、水を電気分解させ、水のなかから水素を取り出すしくみだ。もしこの方法が実現すれば、化石燃料に頼らない、クリーンエネルギーを燃料とする文字通り“究極のエコカー”が誕生することになる。

そして水素を製造する、ガソリン車でいうところのガソリンスタンドにあたる場所が、水素ステーションだ。ホンダは今回、水素の製造から貯蔵、供給までのすべてのプロセスにおいて、二酸化炭素をいっさい排出しない、日本初のソーラー水素ステーションを設置することに成功。つまり、このステーションを利用すれば、燃料もクルマも二酸化炭素を排出しないということになる。

ソーラー水素ステーション|04

低炭素社会の実現に向けて、埼玉県と官民一体で取り組んできたホンダ。公用車として納品したFCXクラリティと併せて、実際の環境下での実用性を検証し、将来的には家庭用「ホーム・エネルギー・ステーション」の普及を目指す。

このソーラー水素ステーションは太陽光と商用電源を併用し、24時間で、FCXクラリティが約150km走行できる量に相当する1.5kgの水素を製造することができる。ホンダ独自の「高圧水電解システム」を採用することで、装置の小型化・低騒音化を実現した。数億円といわれる建設コスト、水素の値段など、実用化に向けてまだ課題が残されているのは事実。だが、2001年から実験稼動を続けてきたソーラー水素ステーションがようやく形になったことで、燃料電池車の実用化に向けて歩を進めるきっかけとなるか、その検証結果に注目したい。

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