ジュネーブモーターショーの現場から:フォルクスワーゲン篇|Volkswagen
Volkswagen|フォルクスワーゲン
Geneva International Motor Show 2015
ジュネーブモーターショーの現場から:フォルクスワーゲン篇
アウディ、ポルシェにつづいてお届けするジュネーブモーターショーレポートは、フルモデルチェンジした「トゥーラン」をはじめ、フェイスリフトをおこなった「シャラン」、そしてコンセプトカー「スポーツ コンセプト クーペ GTE」を発表したフォルクスワーゲン。現地から大谷達也氏がお届けする。
Text by OTANI Tatsuya
“電動化”をさらに進めるフォルクスワーゲン
フォルクスワーゲンのブースでは、大きく分けて4つのテーマが表現されていた。
その第1はMPVへの取り組み。今回はフルモデルチェンジした「トゥーラン」とフェイスリフトを実施した「シャラン」を展示(商用車部門はキャディを発表)。フォルクスワーゲンらしい作りのよさに日本車的な“おもてなし”の精神を盛り込んだファミリーカーを市場に投入した。
第2は同社のモジュラー戦略である「MQB」モデルの拡大。前述のトゥーランにもあらたにMQBが採用されたほか、今回のジュネーブショー直前にヨーロッパ カーオブザイヤーに選ばれた新型「パサート(日本未導入)」もMQB化されている。
さらに、フォルクスワーゲンの技術担当取締役であるハイツ・ヤコブ・ノイザー氏は「今後『ポロ』や『ティグアン』にも採用してMQBのスケールメリットをさらに打ち出すとともに、そこで得られたコストダウンの効果を生かし、値段を据え置いたまま装備を充実させる」と言明した。
その証拠に、前述のトゥーランはインターネットに接続できる“コネクティビティ”やエレクトロニクスを活用したアクティブ・セーフティ・システムがあらたに盛り込まれたにもかかわらず、ヨーロッパでの価格は基本的に従来モデルと同等とされているようだ。
3つめのテーマは「パワートレインの電動化」である。日本でもすでにEVの「e-Golf」と「e-up!」が発表されているが、今回は「ゴルフ」や新型パサートのプラグインハイブリッドがGTEのモデル名で展示。後述するデザインスタディ「スポーツ コンセプト クーペ GTE」も、その名からわかるとおりプラグインハイブリッドモデルとされている。
前述のノイサー取締役も、今後フォルクスワーゲンはEVやプラグインハイブリッドモデルを中心とする“電動化”をさらに進めていくことを強調していた。
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ジュネーブモーターショーの現場から:フォルクスワーゲン篇 (2)
フォルクスワーゲンの今後
そして4つめは新デザイン言語の展開。今回、発表されたスポーツ コンセプト クーペ GTEは、モジュラー戦略「MQB」を採用しただけでなく、フロントとリアに計2基搭載した電気モーターとV6 TSIエンジンを組み合わせたプラグインハイブリッドとされたことでも注目を集めているが、本当のポイントは「フォルクスワーゲンの次世代デザイン言語」を表現したスタイリングにある。
ボディのフラットな面とシャープなエッジにより高品質感と先進性を表現したという面では既存のフォルクスワーゲン モデルと変わらないものの、スポーツ コンセプト クーペ GTEはベルトのように伸びたフロントグリルをヘッドライトと一体化したようなデザインが採用されており、力強さと高級感が一層増したようにおもえる。
新デザイン言語といえば、アウディもLAショーでデザインスタディ「プロローグ」を発表しているが、おなじグループに属する両ブランドがデザイン面でどのような棲み分けを図っていくのかも注目されるところだ。
このほか、新型パサートをベースにした4WDモデルの「パサート オールトラック」がワールドプレミアを飾ったが、ジュネーブショーで提示された4つのメッセージは、決して今回のためだけに用意されたものではなく、フォルクスワーゲンの今後に大きく関わることばかり。その意味では、同社にとって極めて重要なショーだったといえるだろう。