up!の電気自動車e-up!を体験する|Volkswagen
CAR / IMPRESSION
2015年3月13日

up!の電気自動車e-up!を体験する|Volkswagen

Volkswagen e-up!|フォルクスワーゲン eアップ!

EVを主張しないEV

up!の電気自動車e-up!を体験する

昨年の東京モーターショーで発表されたとおり、フォルクスワーゲンのもっとも小さいモデル「up!」にモーターを搭載した電気自動車「e-up!」が、まもなく日本へ上陸する。6年ぶりに開催されたファンミーティング「フォルクスワーゲン フェスト」にあわせておこなわれた試乗会に臨んだ小川フミオ氏が、ブランド初上陸となるEVをインプレッション。

Text by OGAWA FumioPhotographs by HANAMURA Hidenori

フツウの感覚で乗れることが重要

電気自動車の動きが活発化してきた。日本は日産「リーフ」や三菱「i-MiEV」など、比較的早くから実用化が進んでいたところにもってきて、外国からも続々魅力的なモデルが導入されはじめた。フォルクスワーゲンが今年後半に日本発売を予定している「e-up!」(イーアップ!)も、注目の1台だ。

e-up!は、前輪を駆動する電気モーターにリチウムイオンバッテリーを組みあせた純粋電気自動車。注目の点とは、フツウの感覚で乗れるところ。「もはや電気自動車が特別扱いされる時代ではない。ガソリンエンジンからの乗り換えがスムーズにできるほど日常的な存在感が大きくなる」と主張するフォルクスワーゲンの考えにのっとって、操作も動作も、誰でも違和感なく乗れるところが大きな魅力である。

e-up!は、2013年11月に本国で発表され、すでにドイツでは販売が開始されている。たしかに乗った感覚は、万人に受け入れられるものだ。

そもそも始動は内燃機関搭載車と同じようにキーを差し込んでひねる。ドライブモードセレクターはやはり変速機と変わらぬデザインで、こちらもDレンジに入れて走りだすのは従来のクルマとまったく同様だ。

走行感覚もきわめてスムーズ。BMW「i3」のような驚くほどの加速感はないものの、それでも静止から60km/hまでに要する時間は4.9秒、100km/hまでも12.4秒だから、きわめて加速性がよい。変速ショックも皆無だから、加速していくときの感覚は、大排気量エンジンを搭載した高級車に匹敵する気持ちよさだ。

サスペンションシステムの設定はソフト方向。スプリングもやわらかめに感じる。しかしピッチングなどは丁寧におさえこまれ、市街地での中速から100km/hを超える高速での走行にいたるほぼすべての速度域で乗り心地は快適だ。風切り音も劇的に大きくなることはないし、タイヤ音をはじめ路面からの音も耳障りなものはない。

Volkswagen e-up!|フォルクスワーゲン eアップ!

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フツウの外観のなかに、追求されているドライバビリティ

e-up!は全長わずか3.5メートルしかないコンパクトハッチバックだが、快適性は高級車なみだ。

そもそも電気自動車のよさは、とりわけ女性に好まれる静粛性とかクリーンさにあると思うが、e-up!はそれをけれん味なく万人に受け入れられるかたちで提供してくれている。電気自動車などは存在感を強調したいがために自動車メーカーはどうしても新奇さに走りがちだが、外観はほとんどそのまま、最も大事な中身だけ大胆に替えてしまったフォルクスワーゲンのコンセプトに好感をもつひとは多いはずだ。

ハンドリングは、前後50対50の重量配分にするなどクルマとしてのドライバビリティが追求されている。結果、従来からの自動車ファンに受け入れられる乗り味がある。

ただし、フロントのスプリングの設定がソフトなせいか、速い速度でカーブを曲がるとき、切りこむタイミングが少し遅れるとラインが乱れがちになる。慣れれば、気持ちよいコーナリングができるが、スポーツカーのようなハンドリングをうりにするクルマが多い昨今では、最初のうちは違和感をもつひともいるかもしれない。

コーナリングにかんしていうと、もうひとつ、e-up!には特徴がある。Dレンジにくわえて、エネルギー回生システムをブレーキに使ったポジションが用意されているのだ。

Dレンジにいれたセレクターを左に倒すと、D1、そこから下に引くと、D2、D3というモードを選べる。これは回生ブレーキの強弱と関連しており、たとえばコーナー進入時の手前で、まるでマニュアル変速機のクルマでシフトダウンするように、DからD1、つぎにD2と選んでいくことで減速効果が得られる。強く減速したいときはDレンジの下のBを選ぶ。

といっても、e-up!はi3ほど強力に回生ブレーキを制動に活かしてはいない。回生ブレーキ作動時の減速効果はあくまでもマイルド。i3はアクセルペダルに載せている足の力を抜いただけで、強烈な制動がかかる設定だが、e-up!ではブレーキペダルを使う機会が多い。

i3のシステムは慣れるとブレーキペダルを省略するずぼらなドライブができる利点があるが、e-up!のメリットは、ガソリンやディーゼルを燃料にする従来のエンジン車にちかい感覚であることだ。

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環境さえ許せば購入を前向きに考えたくなる

満充電後の航続距離は、EUのテストで160kmとフォルクスワーゲンでは発表している。たしかにエアコンをフルに作動させながら速いペースで走っても、バッテリー残量計の針の動きはいたってゆるやかだ。

さらに、ECOとECO+というモードもあり、こちらは加速が鈍くなり出力が制限されエアコンが停止するなどして、電力の消費を極力抑える。でもまあ、気持ちよく走るには標準モードがおすすめだ。

e-up!のよさは、いちど乗ると、そのあと毎日乗っていてもいいと思わせるところにある。いってみれば、ミネラルウォーターのような存在で、飽きがきにくそうだし、クルマからの押しつけも少ない。

本国ではe-up!の情報取得やある種のコマンドをスマートフォン端末経由でおこなえる。日本でも同様になるかもしれない。大きなメリットのひとつ(と個人的に思っていること)は、クーラーあるいはヒーターの作動を端末で遠隔操作できるところだ。これによって、暑い夏や寒い冬に乗りこんだときに車内がすでに適温になっている。充電中に外部電源を使ってエアコンを作動させれば、走行中の負担がうんと減るのもメリットだ。電気自動車ならではの使い方だ。

日本での価格は未定で、欧州での2.7万ユーロ(約375万円)が目安になる、とフォルクスワーゲングループ・ジャパンの広報担当者は話す。

自治体からの補助金が出れば、200万円台で買えるかもしれない。純粋電気自動車は自宅か職場に充電器がないと維持に手がかかるが、逆に充電器を設置できる環境にいたら、前向きに購入を考えたくなる。

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Volkswagen e-up!|フォルクスワーゲン e-アップ!
ボディサイズ│全長 3,540 × 全幅 1,645 × 全高 1,477 mm
ホイールベース│2,420 mm
エンジン|電気モーター
最高出力│60 kW(82 ps)
最大トルク│210 Nm
バッテリー重量|230 kg
バッテリー容量|18.7 kWh
トランスミッション│1段
0-80km/h加速|9.1 秒
0-100km/h加速|12.4 秒
最高速度|130 kmh/
航続距離(NEDC)|160 km
タイヤ│165/65R15

フォルクスワーゲン カスタマーセンター
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