2つのサブブランドで拡大するメルセデス|Mercedes-Benz
L.A. Autoshow Report|Mercedes
2つのサブブランドで拡大するメルセデス
ロサンゼルスオートショーのメルセデスブースでセンターを飾ったのは、サブブランドネームまでもたらした特別なラグジュアリーモデル「マイバッハ S クラス」と、おなじくサブブランドを冠したメルセデスAMG「GT」および「C 63」。現地へ赴き、実車を目の当たりにした、大谷達也氏によるリポート。
Text & Event Photographs by OTANI Tatsuya
“ドライビング パフォーマンス”の象徴、AMGモデル
ロサンゼルス オートショーにおけるメルセデス・ベンツは、「ドライビング パフォーマンス」と「エクスクルーシビティ(特別な高級感)」のふたつをテーマとしていた。
このうち、「ドライビング パフォーマンス」を体現しているのがメルセデスのサブブランドとして名高いAMG。今回は、すでにワールドプレミアムを果たしている「AMG GT」がここロサンゼルスで北米デビューを飾ったほか、こちらも北米初となる「C 63」が発表された。
先代「Cクラス」といえば、名機の誉れ高いV8 6.3リッターNAエンジンを積む「C 63 AMG」が深く印象に残っているが、今回発表されたのはその後継モデル。もっとも、モデル名はおなじでも、エンジンはほかのAMGモデル同様、ついにツインターボ版へと置き換わっている。
しかも、おなじ“63”を名乗りながら、排気量は「Sクラス」や「Eクラス」と共通の5.5リッターではなく、AMG GTと基本がおなじ4.0リッターとされた。このため最高出力も「S 63」や「E 63」より少しずつ劣っていて、スタンダードのC 63で476ps、より高性能なC 63 Sで510psと発表されている(E 63は557ps、E 63 SとS 63は585ps)。
もっとも、先代C 63 AMGは大排気量自然吸気エンジンだけでなく、スポーツカーそのものといったキレ味鋭いシャシー性能も大いに魅力的だったので、新型ではその辺がどう変わったのか、もしくは変わらなかったのかも注目されるところだ。
L.A. Autoshow Report|Mercedes
2つのサブブランドで拡大するメルセデス (2)
“特別な高級感”を体現するマイバッハ S 600
もうひとつの「エクスクルーシビティ(特別な高級感)」を象徴するものとしてLAショーに登場したのは、メルセデスにとってAMGにつづく第二のサブブランドとして誕生した「マイバッハ」だった。
戦前に存在した超高級車ブランドのマイバッハが2000年にメルセデスの手で再興したストーリーはすでにOPENERSでも紹介済みだが、メルセデスとは完全に独立した独自モデルを生産していた“第2世代マイバッハ”とはことなり、“第3世代マイバッハ”は“特別なメルセデス”との位置づけに軌道修正された。
そして、この“特別な”の方向性が、AMGの「ドライビング パフォーマンス」に対して、マイバッハは「エクスクルーシビティ(特別な高級感)」と設定されたのである。ふたつのサブブランドのポジショニングは非常にわかりやすいといえるだろう。
ショー会場に展示されたメルセデス・マイバッハ「S 600」は、Sクラスのロングボディよりさらにホイールベースが200mm延長されたことが信じられないくらい、まとまりのいいデザインに仕上がっていた。
ストレッチリムジンにありがちな、妙に細長く見える縦横比のちぐはぐさもないし、リアドア周りの間延び感も見当たらない。このあたは、チーフデザイナーのゴードンワーグナーが考案した2本のキャラクターラインが、長大なボディサイドに適度な緊張感を生み出すのに役立っているのだろう。
インテリアは、ダッシュボード周りの印象が通常のSクラスと大きく変わらないものの、これはメルセデス・マイバッハがショーファードリブンカーとして誕生したことと無関係ではあるまい。
いっぽうのリアシートは左右独立式のセパレートタイプとされているほか、まるで長距離便のビジネスクラスのように大きくリクラインできることが特徴的。さらに、手触りの柔らかなレザーにはAMGでお馴染みのダイヤモンドステッチが施されるなど、まさに現行メルセデスの集大成ともいえる豪華さを誇っていた。