極スタイリスト的クルマ生活――スタイリスト 櫻井賢之の5選
極スタイリスト的クルマ生活
東京モーターショー5選――スタイリストの場合
撮影、打ち合わせ、洋服の受け渡しにと、都内をかけずりまわるスタイリストにとって、クルマは必需品だ。
たんなる足グルマでもなく、カッコいいだけのクルマでもない。
日々ステアリングを握るスタイリスト、櫻井賢之さんは、東京モーターショーの会場でこんな5台を選んだ。
文=櫻井賢之
スーパーカーブーム再燃!?
いやぁ、久しぶりに行ってきました。モーターショーは晴海でやってたころに親父に連れて行ってもらったのが最後だから、実に25年ぶりぐらいになるのかな? べつに免許がないからでも、クルマ離れしていたわけでもないのだけれど……大人になってからは、なにも足を運んでわざわざ見に行かなくても、と軽く思ってました。
声を大にして改めます。とにかく大コーフンでした。急に新しいクルマが欲しくなりました。しかもウルトラ級のスーパーカーが。
「アウディR8」にはじまり、「アルファ・ロメオ 8Cコンペティツィオーネ」「日産GT-R」など、ついこないだまでコンセプトカーだったクルマが堂々と市販車になっている。デザインの進化のはやさにひたすら驚かされました。
最初にいっておきますが、元来『サーキットの狼』世代なので、クルマにはそこそこ興味があります。ただし最近のメカやクルマ事情のことはあまりわかりません。あくまでもミーハーなレベルでの自称クルマ好きです。
「アルファ・ロメオ スパイダー」~「ポルシェ・カイエンS」というクルマ遍歴からもご察しのとおり、見た目9割の軟派なクルマ選びしかできません。
僕の場合、とにかく毎日クルマに乗ってます。大袈裟かもしれないけど、クルマに携わる仕事をしているひと並みに長時間クルマに乗っているんじゃないかな。すこし依存しすぎかもしれません。
事務所までの通勤に、リース(服を借りる)に、そしてロケに行くときも、休みになれば家族サービスでもっぱら一日運転手だし。
と、もはやクルマはカラダの一部分、自分の人生そのものになっています。そんな生活をしている僕にとって理想の5台は何か、ただカッコいいクルマを選んでも面白くないので、極スタイリスト的クルマ生活ということでピックアップしてみました。
櫻井賢之の東京モーターショー5選
1/5 アシスタントカーに
ルノー・カングー
軽自動車や国産車でこの手のクルマはたくさんありそうですけど、ルノーにこんなクルマがあるなんて知らなかった。
バック・ドアが観音開きで服をかけたままハンガーラックがそのまま3台ぐらい積める。小まわりもきいて運転しやすそうだし、停めるところにも困らなそう。実用だけじゃなくて見ためもなかなか洒落てるしね。ルノーならではの、小さいけど力持ちってところが気に入りました。女の子のアシスタントにぜひ乗ってほしい。
2/5 自分で運転するなら
アウディR8
とにかくクールで媚びてない。ラテン的スーパーカーのエモーショルな熱さみたいなものはないけど、インパクトでは全然負けていない。リアエンドのスリットの入り方なんか頭が良すぎて近寄りがたい雰囲気さえ漂わせている。
がんばれば手がとどきそうなスーパーカーということで1票。実際乗ったら、あんまり荷物は積めないだろうし、こんなんで現場に行ったらアシスタ ントにひっぱたかれそう。
3/5 究極のロケ車
日産 NV200
モーターホームみたいに伸び縮みするのが斬新。オープンエアでのロケで着替えをするとき、スペースも確保できるし、天気が悪いときにわざわざテントを張らなくてもいいから、デジタル派のカメラマンにもおすすめしたい。
欲をいえば、市販車になったらもう少し人数が乗れるといい。
4/5 アポ入れも優雅に
メルセデス・ベンツ F700
ラグジュアリーツーリングセダンのコンセプト。こういうクルマを見ちゃうと、メルセデスは自分で運転するより、ゆったり後部座席に座ってるほうが いいなって思っちゃう。
秘書がわりにアシスタントをとなりにのせて、移動しながらアポ入れするなんて、夢でもなさそう? 仕事も相当はかどりそうなんだけど……。
5/5 家族みんなでお出かけ
BMWコンセプトCS
コンセプトレベルだけどこんなにカッコイイ4ドアは見たことがない。車高がわずか1.36mしかない流線型のデザインに、1950年代につくられた伝説的モデル「507」を思わせるビッグキドニーグリル。スポーツカーとしても十分楽しめそうだし、どのシートに座っていても120%満足できそう。こんなクルマが似合うオヤジに早くなりたい。
番外編でベストドレッサー賞
ジャガー
ロエベにスペシャルオーダーしたというコンパニオンのコスチューム。今年らしいボレロ風シルエットのレザージャケットにブラックのナッパレザーのタイトスカート。わかりやすいセクシーさを売りにしたコスチュームが多いなか、とてもエレガントでひと際目立ってました。っていうことで勝手にノミネート!
プロフィール
櫻井賢之(さくらい・まさゆき)
メンズからウィメンズまで、雑誌から広告、音楽、芸能まで幅広い分野で活躍するスタイリスト。オウプナーズの人気コーナー「サクライズム」では、選りすぐりのファッションアイテム「5選」を展開中。