20世紀最大のEVブランドが復活|Detroit Electric
Detroit Electric SP:01|デトロイト・エレクトリック SP:01
20世紀最大のEVブランドが中国で復活
「SP:01」という電動ミッドシップ2シータースポーツをひっさげて上海モーターショーに登場したデトロイト・エレクトリックは、あたらしいと同時に、長い歴史をもったブランドだ。その成り立ちと今後を山崎元裕氏が解説。
Text by YAMAZAKI Motohiro
デトロイト・エレクトリックの出自
アメリカのミシガン州デトロイト。ここに20世紀初頭、デトロイト・エレクトリックというEVメーカーが存在していた。
1907年に設立され、1939年までに約1万3,000台のEVをセールスした同社は、残念ながらそのビジネスを継続させることが不可能となり、歴史の中にその名を残すのみの存在となっていた。
ちなみにこの1万3,000台という数字は、20世紀にセールスされたEVの中では最大のもの。つまりデトロイト・エレクトリックは、20世紀にもっとも成功したEVメーカーなのだ。
このデトロイト・エレクトリックが、現代に復活を遂げることになった。あらたなリーダーであるアルバート・ラム(林秀山)氏は、これまでロータス・エンジニアリングのCEOや、ロータス・カーズのエグゼクティブディレクターとして手腕を奮ってきた人物で、そのルーツは中国にある。
第2のテスラとなるか?
今回オート上海をオフィシャルデビューの舞台として選んだ背景には、その復活劇が中国からの資本投下によって実現したという事情があるのは言うまでもない。
新生デトロイト・エレクトリックは、もちろんその開発や生産の拠点をデトロイトに持つ。今回オート上海で発表されたのは、そのファーストモデルとなる「SP:01」で、これはそのスタイリングからも容易に想像できるように、ロータスから供給を受ける、アルミニウム製フレームをベーシックストラクチャーとした、ミッドシップの2シータースポーツ。
2013年中には、日本を含めた世界中の市場で、999台の限定販売がスタートする計画だ。
さらに同社からは2014年には2タイプのセダンモデルが市場に投じられる予定。このあたりのプロセスは、かつてはEVベンチャーと呼ばれたものの、わずか数年間でEVメーカーの老舗ブランドと評されるまでの歴史的成功を収めた、あのテスラの戦略にも似る。
そのアーキテクチャー
駆動力を生み出すエレクトリックモーターは、最高出力が201ps/7,000-8,000rpm。これに4段ギアボックスを組み合わせ、車重が1,090kgという軽量性との相乗効果によって、0-100km/h加速で3.7秒、そして249km/hの最高速を実現するという。
またオプションでは5段ギアボックス、さらには「ツインスピード」と呼ばれる、2段オートマチックギアボックスの搭載も可能とされている。
キャビン後方のフロア部に、2個のパックに分割されて搭載されるリチウムイオン ポリマー バッテリーは、韓国のKOKAMから供給を受けるものだが、パックや温度管理のシステムはデトロイト・エレクトリックの開発によるもの。
バッテリー容量は37kWh、重量は2個のパックを合計して300kgと発表されている。またフル充電からの走行可能距離は、NEDCテストで288kmを達成している。フル充電には240V電源からで4.3時間が必要だ。
前後サスペンションのデザインは、基本的にはロータスのそれと変わらない、前後ダブルウイッシュボーン形式だが、ビルシュタイン製のダンパーや、アイバッハ製のスプリングによって、独自のセッティングが施されている。
ステアリングはパワーアシストなしのオーソドックスなものだが、それはステアリングフィールをナチュラルなものとすることを意識した結果のもの。この選択に大きな不満を感じないことは、ロータス車のカスタマーには十分に知られているところだろう。
ブレーキはフロントにAP製、リアにブレンボ製を採用し、ABSも標準装備となる。タイヤはフロントが175/55R16、リアが225/45R17と、前後異径のサイズ設定となっている。
日本にも上陸予定
ラム氏によれば、オート上海の開催初日だけで、30台以上ものオーダーを集めることに成功したというSP:01。
プライスはアメリカ市場においては13万5,000ドルだ。オプションでは、前で触れたようなギアボックスのチョイスが可能であるほか、CFRP製のハードトップや、ブルー、レッド、タンのカラーバリエーションがある、レザー製のシートやトリムなどが用意されている。
気になる日本市場でのセールスだが、すでにラム氏はそのための準備を開始しており、近いうちに正規輸入代理店の発表もできる予定だと語った。