ジュネーブ現地リポート|Bentley
Bentley Continental Flying Spur|ベントレー コンチネンタル フライングスパー
2代目 コンチネンタル フライングスパー 公開
ベントレー コンチネンタル ファミリーの4ドアサルーン「コンチネンタル フライングスパー」がモデルチェンジ。少量生産ブランドながら、ずば抜けた品質が自慢の最新ベントレーの前から大谷達也氏がリポート。
Text by OTANI Tatsuya
Photographs by MOCHIZUKI Hirohiko & Bentley Motors
>さらに高級感を高めた
2010年にモデルチェンジした「コンチネンタル GT」につづき、サルーンモデルの「フライングスパー」も2代目に生まれ変わった。
フロントフェンダーの成形にスーパーフォーミング技術を用いるなどの手法は「コンチネンタル GT」と同様。また、ボディパネルに施されたプレスラインはいずれもシャープで、エクステリアからはより引き締まった雰囲気が漂っている。特に、リアフェンダー付近でキャラクターラインが一度上昇する造形はミュルザンヌを想起させるもので、高級感はさらに高まった。
そういった印象を一層強めているのが、より長く、そして低くなったトランクルームの形状。さらに、リアのコンビネーションランプを、従来の縦型から横型に改めることで、ラグジュアリーでありながらスポーティーなイメージを手に入れている。
一見したところインテリアの印象は大きく変わらないが、新採用のパーツは600点にのぼり、従来型から引き継がれたのはサンバイザー、グラブハンドル、アームレストなどのごく一部に限られるという。
ベントレー最速のサルーン
改良の手がくわえられたのは外観だけではない。
ボンネットとフロントフェンダーをアルミ製に、そしてトランクリッドにコンポジット素材を用いることで、およそ50kgの軽量化も実現。それでいながらボディ剛性はさらに向上し(ねじり剛性は従来型を4パーセント上まわる36,500Nm/度)、衝突安全性も改善された。
6.0リッターW12ツインターボエンジンを搭載するのは従来と変わりないが、最高出力は「コンチネンタル GT スピード」と共通の625psに向上。前述した軽量化の効果とあいまって、パワーウェイトレシオは現行モデルを14パーセントも上まわり、燃費も13パーセント以上の改善をみたという。
ギアボックスにZF製8段AT、そして前後トルク配分が40:60の4輪駆動システムを備える点などは最新のコンチネンタルGTと共通のスペックである。
サスペンションはフロントで10パーセント、リアで13パーセントもスプリングレートを下げたほか、アンチロールバーやブッシュもよりソフトな設定とすることで乗り心地や静粛性の改善を実現。そのいっぽうで、連続可変式ダンピングコントロールの特性を改良することで必要なときにはすぐさま減衰力を立ち上げ、優れたハンドリングやスタビリティを確保したという。
パワートレーンや安全性などの開発費が膨らんだ結果、少量生産メーカーの多くはコストパフォーマンスの点で厳しい状況に追い込まれているが、フォルクスワーゲン・アウディ グループがバックアップするベントレーはテクノロジーとクオリティ、そして価格の面でライバルたちを引き離しつつあるようにおもえる。新型フライングスパーのステアリングを握る日がやってくるのが待ち遠しい。
Bentley Continental Flying Spur|ベントレー コンチネンタルフライングスパー
ボディサイズ|全長5,295×全幅1,976×全高1,488mm
ホイールベース|3,065 mm
トレッド 前/後|1,643 / 1,642 mm
重量|2,475 kg
エンジン|5,998cc W型12気筒 直噴DOHC ツインスクロール ツインターボ
最高出力| 460kW(625ps)/ 6,000 rpm
最大トルク|800Nm / 2,000 rpm
トランスミッション|8段オートマチック
駆動方式|4WD
タイヤ 前/後|265/45ZR20 / 265/40ZR21
Cd値|0.29
0-100km/h加速|4.6 秒
最高速度|320km/h
燃費(EU Drive Cycle Combined)|14.7 ℓ/100km
CO2排出量|343 g/km
価格|161,000ユーロ