フェラーリが次期スペシャルモデルのシャシーを初公開|Ferrari
CAR / MOTOR SHOW
2015年1月26日

フェラーリが次期スペシャルモデルのシャシーを初公開|Ferrari

Ferrari |フェラーリ

フェラーリが次期スペシャルモデルのシャシーを初公開

フェラーリは現在開催中のパリモーターショーで、「288GTO」「F40」「F50」そして「エンツォ・フェラーリ」につづく、次期スペシャルモデルで採用する新開発のカーボン製シャシーをはじめて公開した。

Text by AKIZUKI Shinichiro(OPENERS)

開発指揮は“空力の魔術師”ロリー・バーン

OPNERSでの既報の通り、次期スペチアーレとして開発が進められるニューモデルは、フェラーリ史上初となるハイブリッドシステムを採用する。パワーユニットとコンポーネントにかんしてはすでに「599GTB」をベースに開発が進められ、その概要も発表されていたが、今年のパリモーターショーではあらたに新開発のカーボンコンポジットシャシーが公開された。

フェラーリは、この新型ハイブリッドモデルのシャシー製造にあたり、自動車産業で一般的に採用されるRTM(樹脂転送成形)と呼ばれる工業用カーボンファイバーの生産技術の採用を見送るという、大胆な決断をおこなった。その理由は明快で、性能と機能がフェラーリの求めるレベルに達しなかったからだ。

そこで同社は、素材、設計手法、製造プロセス、工具、そしてスタッフにいたるまでを、F1マシン開発と同水準にまで引き上げることを決定した。そしてその製造を指揮するものとして、“空力の魔術師”という異名を持つ人物を招き入れた。それはフェラーリの前F1チーフデザイナーであり、シューマッハとともにF1黄金期を築きあげ、フェラーリを6年連続のコンストラクターズチャンピオン(1999~2004年)へと導いた、あのロリー・バーンだ。

Carbon Composite Chassis|Ferrari

Carbon Composite Chassis|Ferrari

F1譲りのシャシー設計

フェラーリの公式発表によれば、シャシーは4種類のことなるカーボンファイバーで構成されるという。主要構造体はT800カーボンをベースとし、高負荷な箇所にはT800UDカーボンを導入。車体下部の構造体とクロスメンバーには、車体重量を最小限に保つため、M46Jカーボンとして知られる高抗張力(HTS)カーボンファイバーが用いられ、高い衝撃吸収性と剛性を必要とする車両中央部は、F1マシンのノーズコーンで使われているT1000カーボンによって造形される。またアンダートレイは、飛び石などのダメージから守るため、カーボンファイバーとケブラーの複合材が採用された。

シャシー全体の重量は、ハイブリッドコンポーネントを収めるハウジングのほか必要パーツにより増加したにもかかわらず、エンツォ・フェラーリ比で20パーセントの軽減に成功。 さらに、ねじれ剛性は27パーセント、ビームの剛性は22パーセント向上したという。

この次期スペシャルモデルの車両総重量は1,000kg前後になると予想され、スペック的には、2007年のフェラーリ60周年イベントで発表されたコンセプトモデル「ミッレキリ」に限りなく近い形であらわれると予想される。

先に発表されたマクラーレンの次期モデル「P1」は、マークラーレン・レーシングの総帥ロン・デニス氏によって生み出された。そしてフェラーリの次期モデルは、“空力の魔術師”ロリー・バーンがその指揮を執る。

F1ファンにとって夢のような出来事が、いま新世代スーパースポーツカーの開発をめぐって繰り広げられている──

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