現地のタクシー運転手、利用者らの声を反映した次世代タクシー

リバティ島にたたずむ自由の女神像、巨大な看板やネオンサインが立ち並ぶタイムズスクエア、ニューヨーカーの憩いの場となっているセントラルパーク、世界の名作が集まるメトロポリタン美術館……。ニューヨークの街を象徴するものは数あれど、忘れてはいけないのが、そんな魅力的なスポットへと連れていってくれる黄色いボディーのあの子。イエローキャブの愛称で親しまれているニューヨーク市のタクシーだ。

ときにはニューヨーカーの足として、ときには観光客の案内役として活躍中のイエローキャブを、もっと快適で便利な次世代タクシーに生まれ変わらせようと、ニューヨーク市が動きはじめたのは2007年のこと。「Taxi of Tomorrow（未来のタクシー）」と名づけられたこのプロジェクトは2009年、世界中のメーカーやデザイナーがアイデアを競い合う国際コンペに発展。2年間にわたる厳しい選考を勝ち抜き、同市のタクシー・リムジン協会に選ばれたのが、日産の開発した「NV200」だ。

乗り降りしやすいスライドドア

乗客席にはさまざまな新機能が

日本をはじめ世界中で販売されている商用バン、「NV200バネット」をベースとしたNV200は、現地のタクシー運転手、タクシーオーナー、利用者らの声が反映されている。たとえば、ゆとりある室内、乗り降りしやすいスライドドアをはじめ、乗客席に備えつけられた読者灯や12Vの電源コンセント、USBプラグなど、利用する側の視点に立ったさまざまな機能が備えられているのだ。騒音に悩まされているニューヨーカーにとっては、ヘッドライトと連動してクラクション音が調整されるというのはありがたい話だろうし、滞在時間のかぎられた観光客にとっては、タクシーのなかからそびえ立つ高層ビルを眺められる“透ける天井”はかなりうれしい装備だろう。

ゆとりある室内

透ける天井

2013年後半の本格導入を前に、日産は現在、自動車関連商品の世界的なリーダー、ブラウン社と提携して、車いすが乗り入れできるタクシーの開発を進めている。また今回、ニューヨーク市とタクシーオーナーを対象に、EV（電気自動車）「リーフ」6台と3基の充電施設を無償で提供。将来的にはEVをイエローキャブとして導入していきたい考えだ。

4月6日に開幕する「2012 ニューヨーク国際オートショー」に先駆けて行われた、新生イエローキャブの発表会。NV200はこの後、6日から15日まで、モーターショー会場に展示される予定で、世界の来場者にはじめてその姿を披露することになる。発表会には日産のカルロス・ゴーンCEOをはじめ、ニューヨーク市のマイケル・ブルームバーグ市長が登場。この一大プロジェクトをやり遂げた喜びを次のように語った。

カルロス・ゴーンCEO
「『NV200』は、日産がこれまで商用車で培ってきたグローバル市場での経験をもとに、ニューヨーク市のタクシー運転手や利用者からのさまざまな要望を反映した、まったくあたらしいタイプのタクシーです。毎日タクシーを利用している60万人に、これまでにないレベルの革新さと快適さをもたらすことになるでしょう」

マイケル・ブルームバーグ市長
「『NV200』はこれまでで一番安全で快適、便利なタクシーです。ニューヨーク市にとって、イエローキャブはずっと欠かせない存在でしたが、このNV200がそれに新風をもたらすことになるでしょう」

外観も中身もすべてが新しい新生イエローキャブ。快適さと便利さ、それに安全性も兼ね備えたまさに次世代タクシーだ。約1年半後、ニューヨークの街をさっそうと駆け抜ける日がいまから待ち遠しい。

“Taxi of Tomorrow”特設サイト
http://www.taxioftomorrow.com/