BMW M4に試乗──日常生活とサーキットをつないでくれるハイパフォーマンスモデル|BMW
CAR / IMPRESSION
2021年12月8日

BMW M4に試乗──日常生活とサーキットをつないでくれるハイパフォーマンスモデル|BMW

BMW M4|ビーエムダブリュー M4

BMWのハイパフォーマンスクーペ M4に試乗

2020年10月にデビューし、21年1月に日本に導入されたBMWのハイパフォーマンスクーペ「M4」。サーキットがメインステージと謳われる同車に試乗した。

Text by OGAWA Fumio|Photographs by KAWANO Atsuki

スポーツモデル好きなら、ため息が出るぐらいカッコいい

BMWを運転の楽しさを提供してくれる高級ブランド、ととらえている人にとって、ピッタリなのが「M4クーペ」だ。パワフルでエレガントで、そして運転支援システムやインフォテイメントなど、安全性も快適性も高いレベル。乗れば、一発で好きになれる2ドアクーペである。
スタイリングも魅力的だ。BMWは、3シリーズのクーペバージョンといえる現行4シリーズを2020年10月に発表したときから、うんと縦型になって目を引くキドニーグリルを採用。アグレッシブな雰囲気の見かけが、M4に実によく似合う。
キドニーグリルとつながるようにデザインされた、ボンネット上のバルジ(ふくらみ)といい、バンパー一体型のエアダムの大きなエアインレットいい、さらにタイヤハウスに設けられた整流用の空気抜きといい、スポーツモデル好きなら、ため息が出るぐらいカッコいいのだ。
車名にある「M」については、読者の方はとうご存じだろう。BMWでモータースポーツ活動や、高性能車開発に従事するM社が手がけたモデルを意味する。
「(Mモデルには)2 つのカテゴリーがある。1つはサーキットでの走行を可能とした M ハイパフォーマンス モデル、もう一つはサーキットで培われた技術を余すことなく取り入れ 走行性能を高めた M パフォーマンス モデルである」
BMW自身が、上記のように定義。2021年1月に日本で発表された「M4」は、 M ハイパフォーマンス モデルに位置付けられるという。確かに今回乗ったのは車名にレースを意味する「コンペティション」を持ち、最高出力は375kW(510ps)と、超ド級だ。
最大トルクも625Nmもあり、ギアをDレンジに入れただけで、前方に突進したくて仕方ない……。私は、そんなクルマの意思が感じられる気になる。変速機は「ステップトロニック」とBMWが呼ぶ、積極的にマニュアルシフトができるもの。

右足でとてつもない大パワーを制御している感覚が味わえるのが醍醐味

左手でギアセレクターを握り、2速、3速と引っ張っていくとき、M4の真価が堪能できる。2992cc直列6気筒エンジンは8000rpmが、それ以上エンジンを回せないレッドゾーンと、かなりの高回転型なのも、とてもうれしい。
脳天に響くような乾いた中高音のまざった排気音が響き、がんがんと加速していく。エンジンの反応は繊細なので、右足でとてつもない大パワーを制御している感覚が味わえる。これが、M4コンペティションの醍醐味だ。
圧力損失を最小限にし、流体抵抗も極めて低く抑えることでレスポンスを最適化し、高効率を実現する吸気ダクトをはじめ、重量を最適化し高回転まで最大限かつ安定したパワー供給を実現する鍛造ピストン、そして、最適化されたブースト圧で迅速かつダイナミックなレスポンスを発揮し、低回転時でも高いトルクを実現するツイン・ターボチャージャー……。こういうものが、BMWの掲げるこのMエンジンの特徴である。
サスペンションシステムとステアリングシステムは、6気筒エンジンのパワーを最大限堪能できるような設定だ。車線変更もコーナリングも素晴らしく安定。速度域に関係なく、駆け抜ける喜びが味わえるだろう。
カーボンファイバー製のルーフや、やはりカーボンファイバーを使ったバケットシートなど、軽量化による低重心化を図るための素材選びも、実用上のメリットとともに、オーナーの気持ちをくすぐってくれる。速く走るためのぜいたくさ、という他になかなかない特長をもつのだ。
市街地や高速での長距離移動は、ドライブモードを標準に設定にすれば、意外なほど快適。もちろん、普通のクーペよりは心を騒がせる要素が多いものの、日常生活とサーキットをつないでくれる幅広い性能ぶりも、M4の身上なのだ。
インテリアの造型とカラースキームも見ものである。写真でご覧いただけるとおり、試乗車はブルーとグレイが混ざったような色と、ちょっとくすんだレモンイエローという、微妙というか絶妙ないい感じのコンビネーションのインテリアカラーで仕上げられている。
コンペティションといいつつ、その辺のロードカーよりはるかにオシャレではないか。派手というのでなく、クリエイティブな印象である。他車にはないセンスで、走りとは並行にして、大きく評価したいポイントだ。価格は1348万円。特別なクーペである。
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