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2021年11月22日
新型GR86 に試乗──常にドライブに高揚感を求めている人にオススメ|TOYOTA
GR 86|ジーアール ハチロク
新型GR86 に試乗──常にドライブに高揚感を求めている人にオススメ
比較的手頃な価格の、大人のスポーツカーとして人気を博しているトヨタ86がフルモデルチェンジを受け、GR86としてデビュー。姉妹車であるスバルBRZに遅れること約3カ月、満を持して発売された同車にさっそく試乗した。
Text by OGAWA Fumio|Photographs by MOCHIZUKI Hirohiko
スポーツドライビングが堪能できる2.4リッターエンジン
スポーツカーは販売台数こそ多くないものの、存在感は大きい。日本の自動車メーカーたいしたもんだ、と思うのは、ラインナップにスポーツモデルをしっかり持っていること。そのなかでいま注目が、トヨタ自動車が2021年10月28日に発売した新型「GR86」。比較的買いやすい、大人のスポーツカーだ。
トヨタ86(ハチロク)は、すでに読者はご存じのように、スバルBRZの姉妹車。2012年に発売された際は、2社の共同開発が話題になったもの。水平対向4気筒エンジンをはじめ、開発はスバルが手掛けていた。
新型は、しかし、トヨタ自動車が独自のリアサスペンションを設計するなど、キャラクターに差異が生まれた。同じクルマがあってもしようがないと思っていたクルマ好きがいたとしたら、これは朗報と思っていただきたい。
エンジンとトランスミッションは、86とBRZで共通。スバルが開発した2.4リッターエンジンを、従来の2リッターに代えて搭載する。メリットはトルクが増して、広いエンジン回転域で扱いやすくなったことが上げられる。
今回は、オートマチックとマニュアル、2つのギアボックスでトップグレードの「GR、86 RZ」を乗り較べてみることができた。6段マニュアル変速機搭載車の方が、最終減速比が少し落とされているせいか、250Nmといまの水準ではさほど太くない最大トルクのエンジンのキャラクターには合っている。つまり、より運転しやすい。
マニュアルのギアボックスは、ギアの間のトラベル(感覚)が短く、かつ節度感があって、気持ちよくカチカチとシフトできる。クラッチがつながるポイントはやや上のほうの設定だけれど、すぐに慣れるので、素早いギアチェンジでも、失敗することはほとんどなさそう。
エンジンは高めの回転を好み、気持ちよくドライブしようというときは、3000回転から上を使うと“ああ、いいなあ”と感じ入ってしまう。そのあたりでは、アクセルペダルの踏みこみへのエンジンの反応がよく、微妙な加減速ができるので、スポーツドライビングが堪能できるはず。
「ドライバーの意のままに操れる“手の内感”」を追求したサスペンション
GR86は、実は、発表を目前に控えていた時点で、トヨタ自動車のマスタードライバーから、「ドライバーの意のままに操れる“手の内感”」や「限界域でのリニアな応答、キビキビした走り」を実現してほしいと注文が入ったため、リアサスペンションを設計しなおしたという凝りかた。
たとえばカーブを曲がるとき。BRZより操舵感が重く感じられるステアリングホイールを切り込んでいくと、すっと車体のノーズ部分がすばやくコーナーの内側を向く。ウルトラダイレクトな感じではなく、扱いやすさを重視しているのが、私は、このクルマの魅力だと思う。
その気になれば、チューニングパーツがどっさり用意されているので、サーキットを走りたい人とか、自分の好みのチューニングができる。これがスポーツカーの本当の楽しみだということが、メーカーはよく分かっているのだ。
価格だって279万9000円からと魅力的。買いやすい価格で楽しいクルマを作ってくれることで、トヨタ自動車もSUBARUも、自動車文化に貢献していることに感心する。
GR86は、スバルBRZより、分かりやすいスポーティさがある。常にドライブに高揚感を求めている人には、GR86がいいかもしれない。
あいにく、エンジン音が耳に心地よくないのと、インテリアの作りが事務的すぎるのが、画竜点睛を欠くというか……。スポーツシートなど作りはいいのだけれど、雰囲気的に、輸入車に乗ってきたような、大人のユーザーに受け入れられるか。微妙な感じではある。
2プラス2シーターとはいえ、フェラーリ・ポルトフィーノのように後席に乗るのは、大人にはムリ。でも荷物は置ける。週末に二人でツーリングを楽しむなんていう使い方にも向いているはずなので、インテリアの質感は大事だと思う。クルマ好きな広い層に勧めたい出来なので、そこが惜しいなあと私は思う。
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