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IMPRESSION
2022年8月2日
日産「フェアレディZ」に試乗──ドライバーと一体になって走るダンスパートナー|NISSAN
レッドゾーンまで吹け上がるスポーティなエンジンの気持ちよさに感心
ドライブトレインは、刷新された。スカイライン400Rから3リッターV6エンジンをもってきて、それに手を入れて操作感を向上させた6段マニュアルと、新設計の9段オートマチック、2つの変速機が選べるようにしている。
私が感心したのは、1600rpmと低回転域から475Nmもの大トルクが出るうえ、レッドゾーンまで吹け上がるスポーティなチューニングのエンジンの気持ちよさ。これはMTだとフルに堪能できるが、スムーズなATの快適な走行感覚は、特筆ものだ。
エンジントルクを適切に使えるうえに、MTより好燃費の10.2km/Lという値を可能しているAT。ダイムラーが、乗用車ならメルセデス・ベンツEクラスなどに使っているものの図面を、日産が買い取り、Zのスペックスに合うよう徹底的に手を入れたものだ。
同時にディファレンシャルギアにも手を入れている。おかげで、ハイスピードドライビングでも耐久性が上がり、レースでも充分通用する性能に仕上がっている、と日産のエンジニアは胸を張る。
新型Zは、チーフプロダクトスペシャリストとして企画を指揮してきた日産自動車の田村宏志氏によると、「ダンスパートナー」だそう。つまり、ドライバーと一体になって走り、コーナリングなどが楽しめるスポーツカーということだろう。やはり田村氏が手がけてきたGT-Rが「モビルスーツ」と表現されるのと、対照的といえる。
スタイリングについては先に触れたとおりで、前後に大きなスポイラーをもたないし、フェンダーの張り出しもこれみよがしのものではない。「ぐっと内部から力がみなぎっている造型」(前出のデザイナーの入江氏)という表現にとどめているのが見識だと、私には感じられた。
十分な速さをもつものの、スポーツカー独自のエレガンスも大事にしたいというオーナーには、まさにふさわしい仕上がりだ。
ラインナップは大きくいって、2種類。エンジンは共通で、変速機の違いだ。ブレーキやタイヤサイズ、それに装備で、グレードがわかれる。「ベーシックグレード」(6MTと9ATとも524万1500円)、「バージョンS」(MTのみで606万3200円)、「バージョンT」(ATのみで568万7000円)、それに「バージョンST」(MT、ATともに626万2500円)だ。
あいにく、部品の供給不足のため、日産自動車では7月19日に、新型フェアレディZの受注を停止すると発表している。7月中はオーダー可能というので、興味ある人は早めの行動がいいだろう。
NISSAN FAIRLADY Z|日産フェアレデイZ(ベーシックグレード)
- ボディサイズ|全長4,380×全幅1,845×全高1,315mm
- ホイールベース|2,550mm
- 車両重量|1,570kg(6MT) 1,600kg(9AT)
- エンジン|2,997cc V型6気筒+ツインターボ
- 最高出力|298kW(405ps)/6,400rpm
- 最大トルク|475Nm(48.4kgfm) /1,600-5,600rpm
- 燃料消費率(WLTCモード)|9.5km/L
- サスペンション前|ダブルウィッシュボーン
- サスペンション後|マルチリンク
- ブレーキ前|ベンチレーテッドディスク
- ブレーキ後|ベンチレーテッドディスク
- タイヤ前|245/45R18
- タイヤ後|245/45R18
- 定員|2人
- 価格|524万1500円
問い合わせ先
日産お客さま相談室
Tel.0120-315-232(9:00-17:00、12/31-1/2を除く)
http://www.nissan.co.jp/