まさに天国に行くような気分にしてくれるスーパーカー──フェラーリ史上最強のロードカー「SF90」に試乗|Ferrari
CAR / IMPRESSION
2021年10月1日

まさに天国に行くような気分にしてくれるスーパーカー──フェラーリ史上最強のロードカー「SF90」に試乗|Ferrari

V8エンジンと3基のモーターのハイブリッドシステムは合計で1,000馬力

万人向けではないのは、走行性能だ。専用設計の3990ccV型8気筒に、前に2つ、後ろに1つで、計3基の電気モーターを組み合わせたプラグインハイブリッドシステムのおかげで、あらゆる速度域で速い。やや重めのアクセルペダルを軽く踏み込んだとたんに、猛烈なダッシュを味わわせてくれる。
ハイブリッドモードを選択していると、だいたい25kmほどモーターだけで走る。EVモードで走るのは、不思議な気分だ。エンジンがボディをまとっているようなフェラーリが、モーターと冷却系が発する高音のみで、滑るように走っていくのだ。
駆動用バッテリーが空っぽになると、エンジンが始動する。このときの音は、フェラーリにしては意外なほど控えめ。騒音規制のせいだろう。それでも回転を上げていくと、トルクがぐんぐん積み増されていく加速感で、天国に行くような気分にしてくれる。
エンジンの最高出力は574kW、モーターは217kWと数字をみてもパワフルぶりが分かる。2つの、異なるパワーソースの出力を合算して、イタリア馬力に換算すると、1000馬力(cv)というのが驚く。
日本の現地法人であるフェラーリジャパンの広報室では、任意で操作するドライブモードセレクターで、走り出しは、エンジントルクに制限が設けられる「ウェット」モードで、なんて言う。もちろんそれでも十分すぎるほど速い。
このクルマのデザインの妙は、単にアウタースキン(ボディ外皮)の問題ではない。好例がエンジンルーム。大きなエンジンが、底のほうに沈んだようにフレームに取り付けられているのが見える。低い位置に搭載したのは、重心髙を低くして操縦安定性をより高めるため。フライホイールを小型化するなどして搭載位置を低くできた、とフェラーリでは説明している。
さらにボディ後端には「シャットオフガーニー」なる画期的な空力付加物が装備された。電動で角度を変え、車体上面の空気の流れを操作して、車体を地面に押しつけ安定性を高めるダウンフォースを生む働きを持つ。
車体各所には、ハイブリッドシステムを冷却するための空気を取り入れるための孔が空いているし、ブレーキキャリパーの形状も効果的にブレーキを冷却するための空力的なものなのだそう。実際に高速での安定感は半端なく、空力ボディの恩恵がしっかり感じられるのだった。
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