Volkswagen Passat CC|フォルクスワーゲンパサートCC(後編)|こんな時代だからこそ、選びたい。(後編)
Volkswagen Passat CC|フォルクスワーゲンパサートCC
こんな時代だからこそ、選びたい。(後編)
フォルクスワーゲンが新たにリリースした4ドアクーペ、パサートCC。自動車ジャーナリスト小川フミオがその魅力を探る。
文=小川フミオ
軽やかな直4とパワフルなV6
パサートCCが街中できわだつのはスタイリングゆえだろう。全長4815mm(パサートに対してプラス30mm)、全幅1855mm(同プラス35mm)と余裕あるサイズで、いっぽう全高は1425mm(同マイナス50mm!)とぐっと低く構えている。流麗と表現したくなるルーフのカーブが美しく、類をみない個性となっている。デザイン好きは外観だけで大きく興味を惹かれるだろう。トルネードラインとフォルクスワーゲンが名づけた、車体側面のキャラクターラインが全体の印象に躍動感を与えている。
2リッター直4と3.6リッターV6。どれぐらいキャラクターが異なるのだろう。フォルクスワーゲン日本によると、「ジャーナリストの試乗会では乗るひとで好みは分かれるようです」と話していたが、なるほどたしかに乗ってみると、それぞれに個性がある。
2リッター前輪駆動は軽やかで、エンジンを回して積極的に走るのが好きなひとにはとくにいい。ガソリン直噴システムにターボを組み合わせた4気筒は200馬力を発生。このクルマには充分すぎるといえるほどのパワーだ。軽やかに感じるのは、ハンドル切ったときも加速したときもブレーキをかけたときも、素早く、もっさり感がないからだろう。
299馬力の3.6リッターV6直噴エンジンは、パサートヴァリアントR36で我が国にも導入ずみだが、トルク、つまりアクセルペダルを踏んだ量に対して力がたっぷりと出る設定で人気という。実際、パワフルな印象が強い。フルタイム4輪駆動システムは、4つの車輪を駆動することで小指一本ステアリングホイールに添えていれば安心と思えるほどの直進性を示すので、とくに長距離ドライブが好きなひとに向いている。風切り音も少なく、音で疲れることも軽減されるだろう。週末には箱根や千葉に行く東京在住者などにも、パサートCCはいい選択だろう。
流麗な外観とすぐれたパッケージングがパサートCCの妙
インテリアはこの4ドアクーペの大きな特徴のひとつ。というか、昨今の高級車はみな、居心地のよさをつくることに心を砕いている。パサートCCがまずすぐれているのは、パッケージングといって、車内の寸法どり。前席の乗員は言うにおよばず、後席もおとなが2人ゆったりと座れるのだ。低いルーフなのに意外な嬉しさだ。独立した形状のリアシートにからだをあずけると、頭部空間と、前席とのあいだの脚部空間に余裕があり、気持ちよいのだ。太い横うねが強調されたデザインのシートは観た目もよく、ひとを誘い入れたくなる。
リーマンショックがなければ、ウォール街でも爆発的な人気を博しただろうパサートCC。こんな時代だが、いや、こんな時代だから、ちょっといいものが欲しいとか、クルマに乗っているときぐらいリラックスしていたい、というひとがいたら、いい選択ではないだろうか。
フォルクスワーゲン・パサートCC 2.0TSI
ボディ|全長4815×全幅1855×全高1425mm
ホイールベース|2710mm
車両重量|1510kg
エンジン|2リッター直列4気筒DOHCターボ
最高出力|147kW[200ps]/5100-6000rpm
最大トルク|280Nm[28.6kgm]/1700-5000rpm
駆動方式|FF
トランスミッション|6段AT
価格|500万円
フォルクスワーゲン・パサートCC V6 4MOTION
ボディ|全長4815×全幅1855×全高1425mm
ホイールベース|2710mm
車両重量|1700kg
エンジン|3.6リッターV型6気筒DOHC
最高出力|220kW[299ps]/6600rpm
最大トルク|350Nm[35.7kgm]/2400-5300rpm
駆動方式|4WD
トランスミッション|6段DSG
価格|602万円
フォルクスワーゲン カスタマーセンター
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