Cや3じゃない、高級セダンやスポーツセダンたち Part 2
CAR / IMPRESSION
2019年3月28日

Cや3じゃない、高級セダンやスポーツセダンたち Part 2

Mercedes-Benz S400d 4MATIC|メルセデス・ベンツ S400d 4マチック

パーソナルユースに最適な高級セダン

毎年2月に日本輸入車組合(JAIA)がプレス向けに開催する試乗会からの一気乗りリポート。セダン編の第2弾として、2018年にメルセデス・ベンツSクラスのラインナップに追加されたディーゼルモデル「S400d 4マチック」のショートインプレッションをお届けする。

Text & Photographs by HARA Akira

復活したストレート6

言わずと知れたメルセデス・ベンツのフラッグシップサルーン「Sクラス」。2013年に登場した現行モデルは、「革新的なインテリジェントドライブ」「究極の快適性」「徹底した効率向上」をコンセプトとし、累計販売台数が世界で30万台を超えるヒット作となった。

17年のマイナーチェンジでは、インテリジェントドライブやメルセデスmeコネクトなど安全面と通信機能がさらに進化し、新時代のプレステージカーとして生まれ変わっている。

そして、18年9月に新たにラインアップされたのが、今回試乗した「S400d 4MATIC」だ。ネーミングのdの文字通り、搭載するエンジンはディーゼルで、レイアウトがV6ではなく直列の6気筒になったのが、新型のニュースなのである。

前後方向に長い直列マルチシリンダーのエンジン形式は衝突安全面で不利となることから、メルセデスでは20年ほど前から各モデルに搭載するのをストップしていた。しかし、環境や燃費のための補機類が増加した現代のエンジンではV型には2系統のものが必要で重量が増加する、技術の進化で気筒間の壁を薄くできる、補機ベルト類を排することができる、ボディの衝突安全性向上、などの理由でコンパクトな直6エンジンが設計できるようになり、こうして復活を果たしたというわけだ。

試乗したS400d 4マチックが搭載する排気量3.0リッターの「OM 656」型直列6気筒ディーゼルターボエンジンは、最高出力250kW(340ps)/3,600-4,400rpm、最大トルク700Nm/1,200-3,200rpmを発生。「S450」などが搭載するガソリンの直6「M256」と基本設計を共有するモジュラーエンジンで、シリンダーピッチ90mm、シリンダー間の厚み8mmとすることで全長をコンパクトにしたほか、シリンダーブロックをアルミ、ピストンをスチールとする異なる素材を採用し、シリンダーウォールにはナノスライド摩擦低減加工を施して対応しているという。

最新の電子制御9段ATを介して四輪にトルクを供給し、全長5,155mm、全幅1,915mm、全高1,495mm、車重2,150kgという堂々たる体躯を全くストレスなく走らせることができる。

Page02. 「いいクルマにのっているな」という実感が沸く息の長い加速

Mercedes-Benz S400d 4MATIC|メルセデス・ベンツ S400d 4マチック

パーソナルユースに最適な高級セダン(2)

「いいクルマにのっているな」という実感が沸く息の長い加速

エンジンをスタートしてみると、さすがにSクラスらしい徹底した遮音対策が施されていて、ガラガラというディーゼル音は全く気にならない。路上に乗り出すと、直列マルチシリンダーらしい調律されたなめらかなパワー感が気持ちよく、さらにディーゼルの特性である低回転域から発生する大トルクがとても頼もしい。長い上り坂が続く高速の合流で右足に力を入れると、上級V8モデルのような迫力はないものの、息の長い加速が続いて、「ああ、いいクルマにのっているな」という実感がひしひしと湧いてくる。

100km/hでタコメーターを見ると、エンジン回転数はたったの1,100回転(ギアは8速)。さらに軽油を使用することから、燃費は相当な数字になるに違いない(JC08モード燃費は13.3km/h)。ショファードリブンとしてSクラスを選択するならV8のS560やV12のS600など上級グレードが選ばれるのだろうが、パーソナルユースとしてSクラスを選択するユーザーには、経済性を含めてS400dがベストなグレードではないかと思う。

視界が良く車両感覚が掴みやすいのは、メルセデス各モデルが持つ美点で、ステアリングを握るオーナーは安心してドライブが楽しめる。

安全面では、最新のアダプティブクルーズがステアリング左スポークのボタン一つで可能になる。車線の中央をキープしながら、前走車に正確に追従しつつコーナーを自然にクリアしてくれ、静粛な車内でステアリングに手をかけていると、間も無くやってくる自動運転の世界はこんな感じかな、というちょっと先の未来を味わうことができるのだ。

インテリアは大型液晶とレザー、ウッドのまとまりが相変わらず新鮮で、安心できる居間といっていい出来栄え。ボンネット先端のスリーポインテッドスターも往年のベンツファンには嬉しい装備だ。価格は1,160万円。レザーパッケージやAMGラインのオプションが装着された試乗車は、トータルで1,453万9,200円となっている。

問い合わせ先

メルセデスコール

フリーダイヤル0120-190-610

           
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