新型メルセデス・ベンツ Aクラスに試乗|Mercedes-Benz
CAR / IMPRESSION
2018年7月9日

新型メルセデス・ベンツ Aクラスに試乗|Mercedes-Benz

Mercedes-Benz A Class|メルセデス・ベンツ Aクラス

新型メルセデス・ベンツAクラスに試乗

最新のインフォテインメントシステムを搭載して今年2月にデビューした新型メルセデス・ベンツ「Aクラス」。スタイリングはキープコンセプトながら、中身が大きく進化した同モデルに試乗した。

Text by OGAWA Fumio

大きな話題を呼んでいる「MBUX」

メルセデス・ベンツ「Aクラス」がフルモデルチェンジを受けて4代目となった。スタイルこそオーソドクスなハッチバックという感じだが、クルマとしては大きく“進化”した。

新型メルセデス・ベンツAクラスの国際試乗会は2018年4月にクロアチアはスプリット周辺で開かれた。先にジュネーブモーターショーで一般にお披露目されて以来、大きな話題となっているモデルである。

最大の注目ポイントは「MBUX」だ。“メルセデス・ベンツ・ユーザー・エクスペリエンス”という最新のインフォテイメントシステムである。もちろん、クルマとしての完成度は大きく上がっていた。まず特筆すべきは、新型Aクラスの運転しての楽しさだろう。

クロアチアで乗るチャンスが与えられたのは2車種。新開発の1,332cc搭載の「A 200」と、パワフルな1,991ccの「A 250」だ。

Die neue A-Klasse Kroatien 2018 // The new A-Class Croatia 2018

Die neue A-Klasse Kroatien 2018 // The new A-Class Croatia 2018

2車の共通点は、7段ツインクラッチ式変速機と、前輪駆動方式だ。もっともA200には本国ではマニュアル変速機も用意されるし、後に4輪駆動の4MATICがラインナップに加わる。

A200の1.33リッター(メルセデス・ベンツはこう書く)ユニットは、120kW(163ps)/5,500rpmの最高出力と、250Nm/1,620rpmの最大トルクを持つ。現行のA180搭載の1,595ccユニットに代わるもので、出力(90kW/122ps)とトルク(200Nm)ともに上回っている。

燃費効率の向上もこのエンジンの特徴である。低負荷時は2気筒が休止するシステムを、メルセデス・ベンツの4気筒としては初めて採用している。

新設計のシャシーは強化され剛性があがるとともに、ボディを含めて軽量部材を採用し、モデルによるが現行型比で20kgほど軽くなっている。また、遮音材の効果的な使用などで静粛性も上がっている。全体のクオリティアップを一から見直しているのも、新型Aクラスの特筆点なのだ、と試乗会で会った開発者は強調した。

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新型メルセデス・ベンツAクラスに試乗 (2)

Cクラスを思わせるハンドリングに感心した

開発者の言葉にウソはないと感じたのは、路上に走り出した瞬間だ。A 200は低回転域から力があり、加速していっても息つぎ感がない。乗り心地もよく、多少路面が悪かろうが、凹凸は丁寧に吸収。高速では安定した走りで快適である。かつ、気持ちがいい。

なにより感心したのは、ステアリングフィールを含めたハンドリングだ。これまでのメルセデス・ベンツの前輪駆動モデルとは明らかに一線を画したような上質感を持つ。ステアリングホイールを切り込んだときの独特の重さと、切り込み量に対する車両の反応の仕方が、Cクラスのような後輪駆動モデルを思わせる。

メルセデス・ベンツ車が伝統的にすごいのは、ドライバーと対話するような、独特のステアリングフィールにあると僕は思っている。レスポンスが悪いわけではないが、かといってスポーツカーのように分かりやすい速さだけを追いかけるのではない。ステアリングスピードの設定と、サスペンションを含めたシャシーの反応速度の設定に妙がある。ロールの仕方を含めてカーブを曲がるときの動きに重厚感のようなものを感じる。

新型Aクラスは、そんなメルセデス・ベンツを愛してきた人をも感心させる操縦感覚なのだ。

Die neue A-Klasse Kroatien 2018 // The New A-Class Croatia 2018

Die neue A-Klasse Kroatien 2018 // The New A-Class Croatia 2018

A250の2リッターエンジンは、165kW(224ps)/5,500rpmの最高出力と350Nm/1,800rpmの最大トルクを発生する。試乗したのはAMGラインといい扁平率40パーセントの19インチ径Pゼロタイヤ装着モデルだ。深めのエアダムが目をひく仕様である。

こちらの第一印象は、パワフル。そして乗り心地は硬め。全長4.4メートルと比較的コンパクトなボディに、350Nmもの大トルクである。アクセルペダルの踏み込みに対する反応は速い。1,500rpm程度でたっぷり力が湧き上がってくる。そこからトルクは切れ目なくクルマをぐんぐんと引っ張っていく。

どちらのクルマにもダイナミックセレクトというドライブモードセレクターがついているので、コンフォートやエコやスポーツを選択できる。スポーツは(メルセデス車の常として)気持ちがいい。A250はどちらかというと重めの操舵力だし、硬めの足回りだし、スポーツモードだとより本質的な魅力が楽しめるだろう。

シートのホールド性もよく、「Sクラスゆずり」とメルセデス・ベンツが説明するタービン型の大径エアベントを持つ空調システムなど、快適性も高い。ホイールベースは現行型より30mm伸びて2,729mmと長い。全長は4,419mm(プラス120mm)、全幅は1,796mm(同16mm)、全高は1,440mm(同6mm)だ。

Mercedes-Benz A Class|メルセデス・ベンツ Aクラス

新型メルセデス・ベンツAクラスに試乗 (3)

日本への導入は2018年内を予定

もうひとつ、新型Aクラスで特筆すべきが冒頭で触れたMBUX(メルセデス・ベンツ・ユーザー・エクスペリエンス)だ。オプションで選べるのは、10.25インチのモニターを2つつなげたタイプ。ここで車両の設定やインフォテイメントのコントロールができる。アイコンを縦方向にスクロールすると、より細かな設定ができる階層へと入る。それだけここで調整できる機能は多い。

もうひとつはスマートデバイスとの親和性。「メルセデス・ミー」と呼ばれるアプリケーションを介して、ユーザーのスマートデバイスの機能が大幅に拡張されている。

「デジタルアクセスキー」とは、スマートデバイスをキー代わりに使える機能だ。登録されたスマートデバイスを持っている人ならば、クルマにアクセスして運転することができる。シェアリング可能なのだ。

Die neue A-Klasse Kroatien 2018 // The new A-Class Croatia 2018

Die neue A-Klasse Kroatien 2018 // The New A-Class Croatia 2018

さらに3つめは、ボイスコントロール機能である。「ヘイ、メルセデス」と呼びかけると、AppleのSiriのようにクルマが「How may I help you?」と応えてくれる。エアコンの設定、ナビゲーションの目的地入力、電話、シートヒーターやグラスルーフのブラインド開閉など、多くのことが音声で行える。

音声に対する反応が鈍い部分もあるが、開発担当者によると「学習機能があるので、使えば使うほど機能は上がっていくはずです」とのことだ。クロアチアで試した車両では英語とドイツ語のみの対応だったが、世界各国で自国言語で使えるようにするという。日本でも現在、システム開発をしているそうだ。

新型Aクラス、日本への導入は、できることなら2018年内を目指したい、とメルセデス・ベンツ日本ではしている。

問い合わせ先

メルセデスコール

0120-190-610

           
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