新型レクサス LS500hに試乗|Lexus
Lexus LS500h|レクサス LS500h
新型レクサス LS500に試乗
至れり尽くせりのフラッグシップ
レクサスの新世代のフラッグシップセダンとして2017年10月に発売された新型「LS」。ガソリンターボエンジン搭載の「LS500」に先行してリリースされたハイブリッドモデル「LS500h」に試乗した。
Text by OGAWA Fumio
3.5リッターV型6気筒ガソリンエンジンに電気モーターの組み合わせ
レクサスのフラッグシップ「LS」がフルモデルチェンジして2017年10月19日に発売されたのはご存じのとおり。ハイブリッドの「LS500h」に試乗した。
レクサス LS500hは3.5リッターV型6気筒ガソリンエンジンに電気モーターの組み合わせ。220kW(299ps)の最高出力と356Nmの最大トルクを持つエンジンに、300Nmの電気モーターと数値からみてもパワフルだ。
新しい点はいくつもある。本来、無段変速であるレクサスのハイブリッドなのだが、10段変速制御を採用。従来はエンジン最高出力を使用できる車速領域が120km/h以上だったが、このシステムにより60km/hで使えるようになったのも注目点だ。
回転開始と同時に最大トルクを生み出すモーターのアシストと合わせて、低速域からアクセル操作に連動した力強い駆動力を発揮するとレクサスでは謳っている。
LSのラインナップは大きくいうと2つ。ハイブリッドのLS500hと、3.5リッターV6ガソリンエンジンのLS500だ。
キャラクターがいくつか分かれており、ベースモデルを別としても、安全装備がやや簡略化されている「Iパッケージ」、スポーティな「Fスポーツ」、ラグジュアリー傾向の強い「Lパッケージ」、後席重視の「エグゼクティブ」という具合である。
僕がまず乗ったのはなんとエグゼクティブ。ステアリングホイールを握ったのである。新型LSに共通するのは、三次元的な造型のコクピットで、ドアとセンターコンソールにはレザーをはじめ、個性的な加飾が施されている。それはどのモデルでも共通だ。
やはり全車で基本的に共通なのだが、デジタル液晶の摘要範囲が大きく広がったのも新型の特徴だろう。
面白いのは、ドライバーの前には小ぶりなTFT液晶モニター一つ。そこに速度とエンジン回転に加え、ナビゲーションや車両情報がコンパクトに表示される。ステッチの付いたバイナクルで覆われ、なかなかスポーティでいい雰囲気だ。
その上に24インチという大型サイズのカラーヘッドアップディスプレイが出るのも新型LSで新採用された(ベースモデルとIパッケージは除く)。先に触れた速度計などのディスプレイと機能を切り分けているので視認性が高い。
さらにダッシュボード中央には12.3インチのTFT液晶ディスプレイが設けられている。ナビゲーションシステムの地図表示やインフォテイメントシステムの表示用だ。ここは助手席のパセンジャーと共用だ。
繰り返しになるけれど座る席に応じて提供される情報が選択されているのと、できる操作も分けられているのが注目すべき設計思想といえるだろう。ドライブモード切り換えスイッチも運転者しか扱えないところに設けられている。
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至れり尽くせりのフラッグシップ (2)
EVモードでも意外なほど走れる
新型LSは従来モデルより全長は25mm伸びて5,235mmになった。全幅は25mm拡大して1,900mmに、いっぽうで全高は15mm落とされて1,450mmだ。ホイールベースは35mmも延長されて3,125mmとなっている。
低重心化と居住性をともに高いレベルに保つ。そのため開発者は運転席の高さを従来より30mm下げ「スポーティさを追究」(広報資料より)している。いっぽうでエアサスペンションに乗降モードを設けて乗り降りの際は車両が上がるようにしている。
はたして実際の走りはというと、「L-GA」という新しいプラットフォームを使っていることもあるだろうか、走行安定性に優れるのが第一印象だ。
現在、LS500hもLS500も、すべてのモデルがエアサスペンション搭載だ。後輪駆動車を選ぶと後輪操舵システムを加わる。
たしかに電気モーターがカバーする領域も増えているようで、充電状態がよければ、EVモードでも意外なほど走れる。負荷がかかったときのエンジンの始動は(従来どおり)ほとんど体感できない。エンジン回転計がなかったら分からないだろう。
ステアリングホイールは速度域にかかわらず中立付近でしっかりしている。切り込んだときの車体の反応は速い。しかもそのときのサスペンションの動きはよく、じわっと車体が傾く感じはよくしつけられていると思った。
速度域にかかわらず姿勢は安定し、かつてのように(空力のために)車高が低くなると同時に乗り心地が極端に悪化することもない。改善されると技術者から聞いていたが、たしかに大きな進歩である。
もう一つ感心したのは「LEXUS CoDrive」とよばれるレーンチェンジを含む操舵支援システムだ。レーントレーシングアシストやカーブ速度抑制機能が含まれている。
もう一つレーンチェンジ アシストも備わる。自動車専用道路でウィンカーを操作すると、車両がレーンチェンジの操舵支援を行ってくれるというもの。実際にたいへんスムーズで感心させられた。
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自分でステアリングホイールを握っているのがいい
じつはこのあと、後席にも座る機会があった。まことに広く居心地のいい空間だ。でも新型LSは自分でステアリングホイールを握っているのがいい。運転を楽しませてくれるクルマである。
クローズドの場所ではガソリンエンジンのLS500に乗るチャンスも与えられた。公道は走れなかったので限られた印象だが、僕はFスポーツのAWD(全輪駆動)が気に入った。
安定してしかも速い。ただしFスポーツの後輪駆動仕様を選ぶと、先に触れた後輪操舵システムに、さらにロール方向を制御するアクティブスタビライザーも加わる。
これによりフラットな姿勢を維持するのが開発陣の狙いである。この評価は次回きちんと公道で乗れるときの楽しみにとっておこう。
スタイリングは一言でいうと迫力がある。写真で観ていたときはウィンドウのピラーをブラックアウトして前後に長い窓枠のアウトラインを際立たせるとともに、やや短めのトランクでクーペ的なスタイルに目がいっていた。
実車でなにより印象深かったのは面の作り込みだ。複雑な三次元的カーブを取り入れたことで光線の映り込みの見事さが、理由が分からない人でも虜にしそうだ。
車体色と内装の仕上げのバリエーションの数が多いのも高級車らしくてよい。EXECUTIVEには「Lアニリン」(フルアニリンのこと)とよばれるたいそうソフトな感触の仕上げのレザー張りのシートも用意される。
さらに一歩進んで、欧州の高級車のようにほとんど自由に車体色や内装の仕上げを選べるようにしたらどうだろう。人は限られたものの中からでないと、なかなか選べないと聞いたことがある。自分だけのLSに乗れることこそ、オーナーに与えられる最上級の楽しみではないか。
至れり尽くせりのLSに乗って、さらに望みがふくらむのだった。価格は980万円からで、トップモデルのLS500h EXECUTIVEは1,680万円となる。