ジャガー新時代を切りひらくダウンサイジングエンジンに乗る|Jaguar
CAR / IMPRESSION
2014年12月9日

ジャガー新時代を切りひらくダウンサイジングエンジンに乗る|Jaguar

Jaguar XJ|ジャガー XJ

ダウンサイジングエンジン搭載のXJに試乗!

かつては12気筒エンジンを搭載したクルマをラインナップし、7.4リッターエンジンを搭載したレーシングカーでル・マンを制したジャガー。「大排気量車を得意とするメーカー」というイメージをもつひとも多いかとおもう。そんな「ジャガー」もついにマイナーチェンジでダウンサイジングエンジンを採用、搭載する至った。大柄なボディをもつサルーンに2リッター4気筒エンジンを搭載するというニュースは往年のジャガーファンたちにとっては衝撃的なものだっただろう。そんなジャガーがあらたに選んだダウンサイジングエンジンは、実際のところはどうなのか? 島下泰久氏が斬る!

Text by SHIMASHITA Yasuhisa

「XJ」に4気筒エンジンという組みあわせは「衝撃的」

ジャガーというブランドとダウンサイジングという言葉は、あるいは人によっては想像しにくい組みあわせかもしれない。しかし考えてみればジャガーは、すでに10年も前から革新的なオールアルミボディの採用によって環境負荷の低減に取り組んでいるし、スーパーチャージャーによる過給エンジンの経験はさらに長い。つまり高効率性こそは、このブランドが追い求めてきたことにほかならないのだ。

それでも、彼らが用意したあたらしい2種類のエンジンが、驚きをもたらさないわけにはいかないだろう。そのふたつとは、3リッターV型6気筒直噴スーパーチャージドエンジン、そして2リッター直列4気筒直噴ターボエンジン。いずれも「XF」、そして「XJ」に搭載されることになる。とりわけ「XJ」に4気筒という組みあわせは、衝撃的といえるだろう。

Jaguar XJ|ジャガー XJ

Jaguar XJ|ジャガー XJ

ロンドン近郊にて行なわれたテストドライブ。まずステアリングを握ったのは、その2リッターターボユニットを積む「XJ」だ。オールアルミ製のこのエンジンは最高出力240ps/5,500rpm、最大トルク340Nm/1,800-4,000rpmを発生する。このスペックは、最大トルクの面で10年前の3.2リッターV型8気筒エンジンをも凌駕するとジャガーは胸を張る。

トランスミッションは8段AT。「XJ」との組みあわせでは0-100km/h加速が7.5秒、最高速が241km/hと、いずれも十分なレベルを達成する一方、燃費はEU複合モードで9.3ℓ/100km(約10.8km/ℓ)、CO2排出量は216g/kmに抑えられる。

そんなのは些細なこと

ラージクラスサルーンの「XJ」に2リッター直列4気筒ターボエンジンの組みあわせが、果たしてどんな走りっぷりをみせるのか。

興味津々で走り出すと、まずは出足がとてもスムーズなことに感心させられた。低速域からしっかりトルクがたちあがるエンジン特性を、8段ATがうまく引き出しているのだろう。

特に、2,000-3,000rpm辺りのスーッと力が涌き出してくる感触が気持ち良く、巡航時もこれで十分と感じさせる。

Jaguar XJ|ジャガー XJ

力強さとともに気になるサウンドについても、まあ確かに4気筒らしい音ではあるのだが、ツインバランサーシャフトの採用で粒がそろっていて滑らかだし、アクティブエンジンマウントも振動の抑制に貢献していて、絶対的なボリュームも大きくないので、特に引っ掛かるようなことはないはずだ。排気消音効果のあるターボということも有利にはたらいているのかもしれない。

いっぽうで、前がひらけたからと一気にアクセルを踏み込んでも、加速レスポンスはけっして鋭いとはいえないし、6,000rpm超まで引っ張ったとしても、絶対的な加速感は驚くほどではないのは事実。しかしながら不満をいうとすれば、そうした「XJ」にとっては日常的とはいえないだろう条件下でのふるまいぐらい。むしろ138kgという絶対的なエンジン重量の軽さがもたらす、より一層軽快感を増したフットワークの前では、些細なこととすらおもえたというのが本音だ。

Jaguar XJ|ジャガー XJ

ダウンサイジングエンジン搭載のXJに試乗!(2)

V8エンジンに匹敵する新型V6エンジン

つづいては、やはり「XJ」の3リッターV型6気筒直噴スーパーチャージドエンジンを試す。

最新のスプレーガイド式直噴システムを採用し、Vバンク内にルーツ式スーパーチャージャーを搭載するこのエンジンのスペックは、最高出力340ps/6,500rpm、最大トルク450Nm/3,500-5,000rpm。トランスミッションはやはり8段ATを組みあわせる。

こちらの0-100km/h加速は5.9秒、最高速はリミッターの効く250km/hに到達するいっぽう、燃費は9.4ℓ/100km(10.6km/ℓ)、CO2排出量は224g/kmとなる。

この好燃費には5リッターV型8気筒直噴スーパーチャージドエンジンの9.5:1に対して、10.5:1まで高められた圧縮比はもちろん、インテリジェント・ストップ・スタート、要するにアイドリングストップシステムの搭載も貢献している。これだけで最大7パーセントの燃費向上に繋がるという。

Jaguar XJ|ジャガー XJ

Jaguar XJ|ジャガー XJ

乗りかえて走り出した途端、その力強いトルクに圧倒されてしまった。従来の3リッターV型6気筒エンジンとは較べるべくもなく、むしろ5リッターV型8気筒エンジン並みの力感といっていい。

こちらの気持ちよりも先を行くほどの刺激はないが、低回転域ではおもいのままの反応をしめし、高回転域まで引っ張ってもリニアリティの高いパワー感をしめす。とても扱いやすく、余裕のあるエンジン特性に仕上がっている。

ツインソレノイドスターターをもちいたアイドリングストップシステムも上出来で、再始動時のタイムラグに煩わされることはない。このあたりは後発の強み。市場にて他車種に挙がっている不満の声を、よく研究しているのだろう。

Jaguar XJ|ジャガー XJ

ダウンサイジングエンジン搭載のXJに試乗!(3)

スマートでインテリジェント

参考までに、市街地と、街と街を結ぶ一般道の組み合わせだった試乗コースでの車載燃費計の示す数値は、2リッターターボエンジンが29.2mpg(約12.4km/ℓ)、3リッタースーパーチャージドエンジンが24.2mpg(約10.3km/ℓ)であった。

いずれも市街地の酷い渋滞は考慮していないとはいえ、燃費走行に徹しなくても、公表値を上まわるこの数値が出るのだから十分といっていいはずだ。

Jaguar XJ|ジャガー XJ

Jaguar XJ|ジャガー XJ

この新エンジンの登場で、「XJ」、「XF」ともに2リッター直列4気筒直噴ターボエンジンは、従来の3リッターV型6気筒自然吸気エンジンから、そして3リッター直噴スーパーチャージドエンジンは、5リッターV型8気筒直噴エンジンから、それぞれ置きかえられるかたちとなる。いずれも頂点に5リッターV型8気筒直噴スーパーチャージドエンジンが設定されるのは、これまで通りである。

個人的には、特に直列4気筒2リッター直噴ターボエンジンが気に入った。走りはスマートでインテリジェントな匂いもするし、「XJに2リッター」という記号性としてのインパクトも大きい。現状の日本のこのセグメントの客層に、それがどこまで響くのかはクエスチョンマークつきではあるが、それでも今、これを導入するという英断にエールを送りたいとおもう。きっとその存在は今後のブランドイメージの変革に、小さくない影響を及ぼすはずだと信じて。

spec

Jaguar XJ 2.0 i4 Ti|ジャガー XJ 2.0 i4 Ti
ボディサイズ|全長 5,127 × 全幅 1,899 × 全高 1,456 mm
ホイールベース|3,032 mm
トレッド 前/後|1,626 / 1,604 mm
最小回転半径|5.95 メートル
エンジン|2.0 リッター 直列4気筒ターボチャージド
最高出力|240 ps / 5,500 rpm
最大トルク|340 Nm/2,000-4,000 rpm
最高速度|241 km/h
0-100km/h加速|7.9 秒
燃費|8.9 ℓ/100km
CO2排出量|207 g/km

Jaguar XJ 3.0 V6 S/C|ジャガー XJ 3.0 V6 S/C
ボディサイズ|全長 5,127 × 全幅 1,899 × 全高 1,456 mm
ホイールベース|3,032 mm
トレッド 前/後|1,626 / 1,604 mm
最小回転半径|5.95 メートル
エンジン|3.0 リッター V型6気筒スーパーチャージド
最高出力|340 ps / 6,500 rpm
最大トルク|450 Nm/3,500-5,000 rpm
最高速度|250 km/h (リミッター作動)
0-100km/h加速|5.9 秒
燃費|9.4 ℓ/100km
CO2排出量|224 g/km

           
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