マイナーチェンジを受けた新型レクサス ISに試乗|LEXUS
LEXUS IS|レクサス IS
マイナーチェンジを受けた新型レクサス ISに試乗
足まわりとデザインが大きく進化
レクサスの走りを象徴するFRスポーツサルーン「IS」。2016年10月にマイナーチェンジを受けたその最新モデルに、サーキットと一般道で試乗した。
Text by OGAWA FumioPhotographs by ARAKAWA Masayuki
よりアグレッシブなスタイリングに
レクサスの走りを象徴するFRスポーツセダンと謳われる「IS」がマイナーチェンジを受けた。2016年10月20日に発表された“新”ISの特徴はレクサスの言葉を借りると「運転の楽しさのさらなる熟成」「デザインの進化」「安全運転支援の強化」だ。
ISのラインナップは不変。「IS350」、「IS300h」、そして「IS200t」と3モデルで構成される。今回のマイナーチェンジはすべてのモデルが対象だ。
スタイリング的にも「運転の楽しさ」を強調するためだろうか、印象的にはアグレッシブさが増している。スピンドルグリルと呼ばれるフロントグリルの輪郭に手が入れられ下部がより広がった。
「低重心でスポーティな印象を与える」(レクサス プレスリリース)と意匠変更の目的が説明されている。これに大きな両サイドのエアダムが組み合わされる。たしかにかなり“やる気”を感じさせ、高速道路でバックミラーに映ったら、けっこう焦りそうだ。
全体としては側面やリアビューを含めてラインが整理されていて、エレガンスも同時に感じる。BMWでいうと5シリーズを連想させるパワフルさとうまくバランスのとれたスタイリングで魅力的だ。
かつてレクサスでは2つの異なった価値観をうまくバランスして取り込むことだ大事と主張していた記憶がある。ISでそれを思い出した。
走行性能を強化するため、サスペンションに手が入れられているのが今回の眼目のひとつだ。レクサスの説明を借りて端的にいうと「操縦安定性と乗り心地をより高次元で両立」させるのが目的だという。
ひとつは改良型ダンパーの採用。サスペンションのストローク速度が低い低速域から充分な減衰力でもって乗り心地をよくしている。いっぽうでフロントのダブルウィッシュボーンを形成するロワーアームの材質をアルミニウム製に変更したのは剛性アップと軽量化のためだそうだ。
はたして効果が発揮されているようだ。
LEXUS IS|レクサス IS
マイナーチェンジを受けた新型レクサス ISに試乗
足まわりとデザインが大きく進化 (2)
エンジンが最大の魅力──IS350
レクサスの新型ISは、サスペンションに手が入れられ快適性と操縦安定性をともに向上させようとしている。さらにブッシュ類の特性に加え、電動パワーステアリングシステムやナビ協調によるダンパー制御システムも見なおされているという。
結果は走りですぐ分かるように感じた。今回試乗したのはIS350とIS300hの2モデルだ。前者は234kW(348ps)の最高出力と380Nmの最大トルクを発生する3456ccのV型6気筒エンジンを搭載。8段オートマチック変速機を介して後輪を駆動する。
最大トルクが4800rpmで、最高出力も6400rpmでという設定だけあって、IS350のV6ユニットは回して楽しい。いまでは貴重ともいうべきノンターボゆえの気持ちのいい回転マナーを存分に味わえる。
踏めば踏むほど力が湧いてくるという印象のエンジンはIS350の最大の魅力だ。加えてサスペンションの改良の恩恵は走り出せばほどなく分かる。
ステアリングホイールを操舵したときの車体の動きは反応がよい。スポーツカーのようなダイレクトな感覚とも少し異なり、ステアリングホイールを回す速度と車両の動きの連動が、じつに繊細に調整されている印象だ。
「エコ」「ノーマル」「スポーツ」というドライブモードセレクトも、走りを楽しみたい時に強い味方になる。エンジン回転の上のほうを使うスポーツモードはエンジンの存在感が強いIS350を味わいつくせるのだ。
今回からスポーティなグレード「Fスポーツ」には「カスタマイズ」モードも備わった。シフトアップのタイミング、ダンピング、さらに空調(燃費優先モードの設定は走りとは関係ないかも)の各制御を任意で組み合わせられる。
IS300hの印象も総じて良好だ。
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マイナーチェンジを受けた新型レクサス ISに試乗
足まわりとデザインが大きく進化 (3)
2つの顔を持っている──IS300h
IS300hは2493cの4気筒エンジンに電気モーターが組み合わされたハイブリッドシステムを搭載。しっかりした足回りと剛性感の高いボディによる“いいもの感”はIS350と共通だ。
エンジンは131kW(178ps)の最高出力と221Nmの最大トルクを発生。これに300Nmの電気モーターが組み合わせられる。メーカー発表による燃費が23.2km/ℓ(JC08モード)といいのも注目点だけれど、走りでも遜色はない。
走り出しは電気モーターで、少し負荷がかかるとエンジンが始動する。そのタイミングは早めだが、ハイブリッドでそれなりに俊足をという狙いがあるかぎり、2つのパワートレインを同時に使うのは避けられないことかもしれない。
レクサスのハイブリッドシステムを体験した読者は先刻ご承知のとおり、移行はきわめてスムーズ。つまりエンジンの始動を体感することは難しい。ただアクセルペダルの踏み込み量に応じてぐいぐいと加速していくときの力強さで、分かるかもしれない。
静粛性が高く、市街地では開発陣の狙いどおり、しなやかな乗り味なので、後席空間もそれなりに余裕あるセダンとして得点が高い。
それだけでないのは、ステアリングホイールを切ったときの気持ちのいい動きである。実際に潜在的能力が高いのは、サーキットでの試乗でよく分かった。4つのタイヤによる接地性をしっかりキープしてそれなりに高い速度でコーナーを回っていく性能は、エレガントで燃費のいいセダンというIS300hの一般的な“顔”とはまた別のものである。
先進的安全装備も揃っている。歩行者検知機能つき衝突回避支援システム「プリクラッシュセイフティ」がまず1つ。加えて、ステアリング制御機能つき車線逸脱予防「レーンデパーチャーアラート」。夜間歩行者の早期発見に寄与することを狙った「オートマチックハイビーム」。そしてブレーキ制御つき「レーダークルーズコントロール」。これらを「Lexus Safety System+」としてパッケージ化して標準設定している。
Lexus IS350|レクサス IS350
ボディサイズ|全長 4,680 × 全幅 1,810 × 全高 1,430 mm
ホイールベース|2,800 mm
トレッド 前/後|1,535 / 1,550 mm(F SPORTは 1,535 / 1,540 mm)
重量|1,640 kg(F SPORTは 1,650 kg)
エンジン|3,456 cc V型6気筒
ボア×ストローク|94.0 × 83.0 mm
圧縮比|11.8 : 1
最高出力| 234 kW(318 ps)/ 6,400 rpm
最大トルク|380 Nm(38.7 kgm)/ 4,800 rpm
トランスミッション|8段AT(8-Speed SPDS)
駆動方式|FR
サスペンション 前|ダブルウイッシュボーン
サスペンション 後|マルチリンク
ブレーキ 前|ベンチレーテッドディスク
ブレーキ 後|ベンチレーテッドディスク
タイヤ 前/後|225/45R17(F SPORTは225/40R18 / 255/35R18)
燃費(JC08モード)|10.0 km/ℓ
価格│(F SPORT)630万3,000円
Lexus IS300h|レクサス IS300h
ボディサイズ|全長 4,680 × 全幅 1,810 × 全高 1,430 mm
ホイールベース|2,800 mm
トレッド 前/後|1,535 / 1,550 mm(F SPORTは 1,535 / 1,540 mm)
重量|(FR)1,680 kg (AWD)1,770 kg
エンジン|2,493 cc 直列4気筒 DOHC
エンジンボア×ストローク|90.0 × 98.0 mm
エンジン圧縮比|13.0 : 1
エンジン最高出力| 131 kW(178 ps)/ 6,000 rpm
エンジン最大トルク|221 Nm(22.5 kgm)/ 4,200-4,800 rpm
モーター|交流同期発電機
モーター最高出力|105 kW(143 ps)
モーター最大トルク|300 Nm(30.6 kgm)
統合最高出力|165 kW(220 ps)
トランスミッション|CVT(電気式無段変速機)
駆動方式|FR、4WD
サスペンション 前|ダブルウイッシュボーン
サスペンション 後|マルチリンク
ブレーキ 前|ベンチレーテッドディスク
ブレーキ 後|ディスク
タイヤ 前/後|(標準)205/55R16 (F SPORT)225/40R18 / 255/35R18 (version L)225/45R17
燃費(JC08モード)|(FR)23.2 km/ℓ (4WD)20.4 km/ℓ
価格│(FR/F SPORT)568万円
レクサスインフォメーションデスク
0800-500-5577(9:00-18:00、365日年中無休)