日本に上陸した新型A4に試乗|Audi
Audi A4|アウディ A4
日本に上陸した新型A4に試乗
明らかに進化したアウディのベストセラーカー
前身モデルとなる初代アウディ「80」からかぞえて9代目、「A4」としては4代目となる新型A4が、いよいよ日本に上陸した。日本市場におけるアウディの中核モデルたる同車にさっそく試乗した。
Text by OGAWA FumioPhotographs by ARAKAWA Masayuki
最新のプラットフォーム「MLBエボ」を採用
アウディのベストセラー、「A4」が2016年2月にフルモデルチェンジして日本発売された。今回は大きくいうと、前輪駆動の「A4 2.0TFSI」と、フルタイム4WDの「A4 2.0 TFSIクワトロ」の2本立て。それぞれに、スポーツサスペンションを組み込むなどした「スポーツ」というサブグレードが設定されている。
新型A4は、最新のエンジン縦置き用プラットフォームを採用しているのが特徴だ。おかげでサスペンションシステムも前後ともに5リンクと、新設計された。MLBエボと呼ばれる新プラットフォームは、軽量化と剛性アップを目指した新型A4の要で、同時にハンドリング性能の向上も謳われている。
はたして操縦すると、明らかにA4は進化している。初代にあたるアウディ80が1974年に発表されていらい、その時どきの最新の技術を採用して設計されてきたA4。新型は開発者の目論見どおり(おそらく)、見事な出来である。
見事な出来というのは、ひとつには燃費がよくなったこと。もうひとつは安全技術が数多く採用されたこと。さらに加えて、スポーティな操縦性が向上したことも特筆すべきことだ。
乗ったのは、前輪駆動のA4 2.0TFSI(518万円)と、フルタイム4WDのA4 2.0TFSIクワトロ・スポーツ(624万円)。ひとことで言うと、ともに軽快で楽しい。前輪駆動版を、ナチュラルなドライブフィールと称賛する向きもあるが、俊足のクワトロもまた別の魅力に満ちている。
スタイリングは、鋭角的になったシングルフレームグリルに、やはりシャープな印象のヘッドランプ、そしてサイドのキャラクターラインと、アップデートされている。従来のスタイリングコンセプトの発展的なものということもできるが、それだけでこのクルマを評価してしまってはもったいない。
Audi A4|アウディ A4
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明らかに進化したアウディのベストセラーカー (2)
A4を買うならクワトロを勧めたい
新型アウディA4のエンジンは2つ。基本は2リッター4気筒で、前輪駆動版には140kW(190ps)の最高出力と320Nmの最大トルクを持ったもの。いっぽうクワトロには185kW(252ps)、370Nmとよりパワフルな仕様が搭載される。トランスミッションは、従来の無段変速機にかわり、ツインクラッチ式の「Sトロニック」が全車に備わる。
新しいエンジンは、吸気バルブの開け閉めのタイミングをコントロールできるミラーサイクル。それによって、回転モードによって最適の性能を得ることをめざす。加えて、デュアルインジェクションが組み合わされており、低負荷時はインテークマニフォルドに混合気を噴射。高負荷時は直接噴射となって、最適の燃焼が得られるようにしているのだ。
エンジンのキャラクターは、新型A4のドライブフィールと密接に関連しているように感じられた。前輪駆動版はややおとなしめだが、ドライブセレクトでダイナミックを選ぶと、トルクバンドを有効に使って、かなり活発になる。ふだんはエフィシエンシーモードを使って燃費をかせぎ、ワインディングロードや高速などではダイナミックモードで楽しむというのも、よさそうだ。
驚いたのは、クワトロの活発な走りだ。2リッターエンジンとは思えないパワフルさである。1600rpmから最大トルクを発生しはじめる設定であるが、同時に回転を上げていくときの、盛り上がるようなパワー感は実に気持ちよい。やや低音よりに作られた排気音が背後から響き、クルマの、まるで飛ぶような加速性をさまざまな面で楽しむことができる。
クワトロのハンドリングはとてもよい。アクセルペダルに載せた足を微妙に動かして速度をコントロールしつつ、カーブを曲がるときのリニアリティの高さには、たいへん印象深いものがある。はっきり言うと、A4を買うなら、このクルマの魅力をより濃厚に持っているクワトロを、と勧めたくなるほどである。
Audi A4|アウディ A4
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明らかに進化したアウディのベストセラーカー (3)
安全面の充実ぶりも新型の特徴
新型A4はインテリアの作りも、とてもよい。ボディサイズは従来型より全長で15mm長くなり、ホイールベースもやはり15mmも延びている。その恩恵で、後席レッグルームは従来型より23mm長くなっている。実際に後席に身を置くと、足元も頭もとても広いのに感心する。着座位置も低すぎず、使い勝手がとてもよい。
快適性でいえば、サスペンションはしなやかで、たとえスポーツでも不快な凹凸はいっさいない。ダンピング性能もみごとなのだ。高級な乗り味である。これも大きく進化した点といえるだろう。静粛性も高く、オプションのバング&オルフセンのオーディオによるクオリティの高い音が堪能できそうだ。
安全面の充実ぶりも新型A4の特徴にあげられる。ひとつが「アウディプレセンス」と呼ばれる予防安全システムだ。前方衝突防止の自動ブレーキシステム。車線逸脱を防止システム。死角からくるクルマとの衝突を防ぐ自動ブレーキシステム。後退時に死角から近づいてくる車両などの存在を警告するシステム。ドアを開ける時後方から接近する車両や自転車の存在を警告するシステム。枚挙にいとまないほどだ。
先行車両を追従し加減速を自動で行うアダプティブクルーズコントロールも進化。時速0kmから65kmの範囲で、渋滞時の自動運転システム「トラフィックジャムアシスト」が統合されている。先行車に追随し加速および減速を自動で行ううえ、車線逸脱を防ぐためステアリングホイール操作を行うのだ。アウディではこの技術を燃費向上のためのものでもある、としている。燃費と安全が結びつくところが、現在の自動運転のメリットであるというのが面白い。
Audi A4 2.0TFSI|アウディ A4 2.0TFSI
ボディサイズ|全長 4,735 × 全幅 1,840 × 全高1,430(sportは1,410) mm
ホイールベース|2,825 mm
トレッド 前/後|1,570 / 1,555(sportは1,565 / 1,550) mm
重量|1,540 kg
最低地上高|140 mm(sportは120 mm)
エンジン|1,984 cc 直列4気筒 直噴DOHC インタークーラー付ターボ
ボア×ストローク|82.5 × 92.8 mm
圧縮比|11.8
最高出力| 140 kW(190 ps)/ 4,200-6,000 rpm
最大トルク|320 Nm(32.6 kgm)/ 1,450-4,200 rpm
トランスミッション|7段Sトロニック(DSG)
駆動方式|FF
ブレーキ 前/後|ベンチレーテッドディスク / ディスク
サスペンション 前/後|ウィッシュボーン式 / ウィッシュボーン式
タイヤ 前/後|205/60R16(sportは225/50R17)
最小回転半径|5.5 m
トランク容量|480-962 ℓ
燃費(JC08モード)|18.4 km/ℓ
CO2排出量|126 g/km
ハンドル位置|右
価格|518万(sportは556万円)
Audi A4 2.0TFSI quattro|アウディ A4 2.0TFSI クワトロ
ボディサイズ|全長 4,735 × 全幅 1,840 × 全高1,430(sportは1,410) mm
ホイールベース|2,825 mm
トレッド 前/後|1,565 / 1,550 mm
重量|1,660 kg
最低地上高|140 mm(sportは120 mm)
エンジン|1,984 cc 直列4気筒 直噴DOHC インタークーラー付ターボ
ボア×ストローク|82.5 × 92.8 mm
圧縮比|9.6
最高出力| 185 kW(252 ps)/ 5,000-6,000 rpm
最大トルク|370 Nm(37.7 kgm)/ 1,600-4,500 rpm
トランスミッション|7段Sトロニック(DSG)
駆動方式|4WD
ブレーキ 前/後|ベンチレーテッドディスク / ディスク
サスペンション 前/後|ウィッシュボーン式 / ウィッシュボーン式
タイヤ 前/後|225/50R17
最小回転半径|5.5 m
トランク容量|480-962 ℓ
燃費(JC08モード)|15.5 km/ℓ
CO2排出量|150 g/km
ハンドル位置|右
価格|597万(sportは624万円)
アウディ コミュニケーション センター
0120-598-106
http://www.audi.co.jp