ジャガーとランドローバー各モデルに雪上で試乗|Jaguar & Land Rover
Land Rover Range Rover Sport|ランドローバー レンジローバー スポーツ
Land Rover Discovery|ランドローバー ディスカバリー
Jaguar F Type R AWD|ジャガーFタイプ R AWD
Jaguar XE|ジャガー XE
四季を通じて付き合えるクルマ
ジャガー・ランドローバー・ジャパンが長野県で開催した雪上試乗会に、各モデルの雪上での走行性能を確かめるべく、小川フミオ氏が参加。レンジローバー スポーツ、ディスカバリー、ジャガー Fタイプ、同XEの4台に試乗した。
Text by OGAWA FumioPhotographs by ARAKAWA Masayuki
オンオフを問わない高い走行性能──レンジローバー スポーツ
レンジローバーは、本格的にオフロードが走れる高級車だ。その事実を改めて理解できたのは、冬の長野で雪上ドライブをしたからだ。広い室内と、レザーシートやウッドパネルなど、動く高級ホテルのようだが、実は機能的にたいへん優れたモデルである。
乗ったモデルは、「レンジローバー スポーツ」とランドローバー「ディスカバリー」。それに特設コースの一部では、同じグループに属する、ジャガー「XE」と、最新のジャガー「FタイプR AWDクーペ」である。雪上で?とにわかに信じられないラインナップが加わった。
レンジローバー スポーツは、現在2代目だ。2013年秋に日本発売が開始された。レンジローバーとの違いは、ひとつにはコンパクトさにある。リアオーバーハング(後輪から後ろの車体)が短い。数値でみても、全長で150mm短く、全高で65mm低い。
この2代目は、従来型に対して、よりシャシーが軽量かつ堅牢になっている。ダイレクト感を増したパワーステアリング、連続可変ダンパーを持つ前後エアサスペンション、オンロード走行時は後輪に少し多めの58パーセントのトルクを配分するなど、走りのよさを喧伝するモデルだ。
ラインナップは、エンジンを中心にみると、大きく3つ。250kW(350ps)の最高出力を持つ3リッターV6搭載モデル、375kW(510ps)の5リッターV8搭載モデル、そして15年秋に追加された405kW(550ps)の超ド級「SVR」となる。どれもそれなりにキャラクターがたっていて、V6モデルは鼻先が軽くて軽快だし、V8モデルはトルキーで高速が快適、そしてSVRはスポーツカーのようなハンドリングを特徴としている。
黒部ダムに近く、北アルプスや白馬連峰に臨む山道で、「レンジローバー スポーツ オートバイオグラフィ」というV8搭載モデルに乗った。白い世界の中に白い車体色の組み合わせが、ゲレンデで白いスキーウェアが映えるのと同様、しゃれた雰囲気をかもしだしていた。
625Nmの大トルクを2500rpmから発生するゆえ、微少な領域での力のコントロールがやりやすいというメリットをまず感じた。21インチの大径ホイールにはウィンタータイヤが組み合わされており、圧雪が中心で、一部凍結のある路面でも絶大な安心感。荒れた路面を走ったときは、ステアリングホイールへの衝撃はうまく緩和されていて、情報だけが手に伝わってくる。とても上質なフィーリングだ。
レンジローバー スポーツは、オンロードでの操縦性に優れるが、オフロードの走破性の高さもやはり優秀だ。「ダイナミックモード付きテレインレスポンス2」と呼ばれる自動車高調整システムがエアサスペンションと組み合わされており、V8モデルには標準で備わる。オートを選択すれば、オンロードでは車高を自動的に下げ、オフロードでは上げてくれる。
レンジローバー スポーツのオンロードにおける敏捷性を経験していると、凹凸や急勾配のオフロードで大丈夫かなと懸念が出てくるが、はたして、勾配がきつくても、下りのときに先端部が地面にひっかかったり、上りではオシリを擦ったりすることはない。4輪のうち1輪だけ接地していれば、四輪駆動システムが自動でトルクを配分し、確実に車両を前に進めていくのだ。
ディスカバリーも、また、すぐれた乗り物だった。
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四季を通じて付き合えるクルマ (2)
オフロード車のABCがすべて揃っている──ランドローバー ディスカバリー
ランドローバー ディスカバリーは、250kW(340ps)の最高出力と、450Nmの最大トルクを持つ3リッターV6エンジンに、四輪駆動システムを組み合わせ、センターデフに電子制御多板クラッチを使ったトルクスプリット機構を備える。基本的には前後50対50で、路面や走行の状況から自動で必要なだけトルク配分を変えていくシステムだ。
ディスカバリーの特徴は、高機能のアウトドア用プロダクトであるということだ。これまでにも何度も乗る機会があったため、そのことは分かっているつもりだった。しかし今回、スキー場に続く山道で乗ってみて、あらためて、走破性の高さに感心させられた。クロカン型4WDの実力ぶりを思い知ったといってもよい。
ディスカバリーの大きな長所は、悪路走破性の高さにある。それには、ロングストロークのサスペンションアームが貢献している。大きなコブが連続するような路面(スキー競技でいうとモーグル)でも、4つの車輪が路面から離れることはない。よく縮むし、よく伸びる。
オフロードでの走破性について基本的な性能がしっかり作り込まれているクルマだ。乗員も強く揺すぶられることはなく、ステアリングホイールの操作に影響が出ることはない。サイドウィンドウの下端が低いため、側面の路面の状況も把握しやすい。確実な操作性につながるポイントである。オフロード車のABCがすべて揃っているかんじなのだ。
室内は前後席ともにヘッドルームもレッグルームも十分に確保されている。3列目には2名分のシートが。子どもなら楽々座っていられそうだ。荷室も広大で、上下2分割式のテールゲートを開くと、3列目シートを畳んだ状態で1260リッターと広大な荷室空間にアクセスできる。
ステアリングホイールへのショックの吸収性などでは、より高価なレンジローバー スポーツに負ける部分がある。しかし、あちらが移動する高級ホテルだとしたら、ディスカバリーはスポーツギアに近いといえるかもしれない。走らせること自体を楽しめるモデルなのだ。
ジャガーはオンロード専用車と思っていたが、Fタイプの四輪駆動など、雪道でも意外なほどよく走った。
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四季を通じて付き合えるクルマ (3)
オールマイティなクルマ──ジャガーFタイプR AWD
ジャガーともっとも似合うところがリゾートだとしても、雪はどうだろう。リーガロイヤルホテルの系列である、「くろよんロイヤルホテル」は、けっこうぜいたくな雰囲気を持つ。クルマ寄せでも、夏ならジャガーがよく合いそうだ。それだけにはっきりいって、雪の中、このホテルの正面玄関に置かれたジャガーFタイプを見ると違和感があった。
ジャガーFタイプR AWDは、しかしながら、ジャガーがオールマイティなクルマであると教えてくれた。特にこの、最近ラインナップに追加された四輪駆動モデルは、あえて雪道でのドライブをしてみたくなる1台なのだ。
負荷の少ない道路などでは後輪へのトルク配分がほぼ100パーセントという、スポーツカー、Fタイプならではのシステムである。ボディはクーペとコンバーチブル、ともに用意されている。後輪駆動がベースで、高速走行用の4輪駆動だとたかをくくっていたら、雪道でも(スタッドレスを履いていれば)まったく違和感なく走ることができた。
ダッシュボードのスイッチでスノーモードを選択していれば、リアが滑り出すことはない。5リッターV8エンジンは405kW(550ps)の最高出力と、680Nmの最大トルクを持つ。静止から100km/hまで加速するのに4.1秒しかかからない。しかし、アクセルペダルを不用意に踏み込んでも、リアが不安定になるのは一瞬だ。トルクはきちんと制御され、車両の挙動はほぼ終始安定している。
セダンのジャガーXEでも、トルクを制御するスノーモードとスタッドレスタイヤの組み合わせなら、同様に、まったく不安のない雪道のドライブが楽しめる。広大なスペースがあればトラクションコントロールをオフにして、リアが流れる動きを楽しめるのだが、それはまた別の話である。
乗ったのは、177kW(240ps)の最高出力と、340Nmの最大トルクを持つ2リッター4気筒エンジン搭載の、ジャガー「XE25t」である。自分で操縦を楽しめるクルマである一方、実際には家族を乗せて遠出する機会も多いだろう。そういう使い方でも、四季を通じて天候に関係なく、確実なドライブができる。これは素晴らしいことである。
レンジローバーを含めてランドローバーも、ジャガーも、四季を通じて一緒に走っていられるモデルだ。そのことがよく分かった体験だった。
ランドローバーコール
0120-18-5568(土日祝除く、9:00-18:00)
ジャガーコール
0120-050-689(9:00-18:00、土日祝日を除く)