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2025年12月8日
本物を知る2人が語る、エクストレイルという選択。タフネスとエレガンスを兼ね備えた本格SUVの真価
Presented by NISSANNISSAN|日産 エクストレイル
デザイン重視のSUVが増えている昨今だが、日産エクストレイルは「SUVとしての力強い走りや実用性」と「上質さや快適性」という一見相反する価値を高次元で融合させることを目指したという。モータージャーナリスト島下泰久さんと、インテリアスタイリスト窪川勝哉さん。クルマのプロとデザインのプロの2人が、マイナーチェンジを受けたエクストレイルの真価を確かめるべく、箱根へとショートトリップを繰り広げた。
Direction & Text by YAMAGUCHI Koichi|Photographs by TAKAYANAGI Ken|Movie by KOBAYASHI Yasuhisa
タフギアからの進化
カーディナルレッドに輝くエクストレイルを前に、島下さんと窪川さんが顔を合わせる。箱根へと走らせる日の朝のことだ。
「エクストレイルというと、若い頃、スノーボードで雪山に行くときによく見かけた記憶があります」。窪川さんにとって、エクストレイルは20代、30代の記憶と結びついている。当時のエクストレイルは現行モデルにも息づく「タフギア」というコンセプトを全面に押し出し、道具感を強調した武骨なSUVだった。


「歴代はタフなギアという印象が強かったのですが、先日のマイナーチェンジで登場した最新モデルは、上質感や情緒といった部分が、より強調されている印象です。アウトドア用のギアも今、同じように機能性だけでなく、所有する満足感、モノとしてのクオリティといった部分が求められるようになっていますよね。エクストレイルのデザインも、まさにそうしたトレンドをうまく掴んでいるように思います」と島下さん。従来の本格的な走破性はそのままに、新たな価値が加わったという。
窪川さんは、このカーディナルレッドに目を奪われたようだ。「素敵なボディカラーですね。赤というと一般的にアクティブなイメージですが、エクストレイルのカーディナルレッドは深みがあって、シックな印象も受けます。落ち着いたブラウンのインテリアとも、とても相性がいいですね」
実は今、軽井沢の森の中にセカンドハウスを建てているところだという。インテリアスタイリストの窪川さんにとって、色彩は重要な要素だ。「都市は基本的に色彩がグレースケールで構成されているので、このレッドは街中で目にするといい意味で刺激的で、ハッと目をひかれます。一方で、グリーンと赤は補色の関係。軽井沢の森の中でも映える色ですね」
繊細さの中に宿るタフネス
マイナーチェンジで大きく変わったのが、フロントマスクだ。横桟調のフロントグリルは、存在感がありながらも洗練されている。前後バンパー下部やボディサイド、そしてホイールアーチに施されたグロスブラックペイントとサテン調シルバーのアクセントが、タフさとエレガンスを同時に演出する。19インチの幾何学的なホイールも印象的だ。
「フロントグリルの意匠が、とても細やかですね」



窪川さんの言葉に、島下さんが応じる。
「日産は今、『タイムレス・ジャパニーズ・フューチャリズム』というキーワードでデザインを展開しています。グリル、ホイール、そして伝統的な切り子をイメージさせるテールランプなど、すべてにその思想が反映されています。モチーフは「和」なんですが、ストレートに日本を表現するのではなく、そこに息づくタイムレスな要素を、スピード感をもった表現で落とし込むということですよね。日本で生まれ、しかしグローバルなブランドであることを控えめに、しかし力強く主張したこの考え方は、とかく重厚感や威圧感といった表現に走りがちな自動車メーカーのデザインの中では他に類を見ない、異色のものだと思います。タフさと繊細さの同居、両立って普通に考えたら、決して簡単じゃない。エクストレイルでそれができているのは、まさに根本にそうした考え方があるからではないでしょうか。タイムレスと謳うだけに、時間を経ても古びた感じにならない、というのも自分が所有することを考えると嬉しいポイントかなという気がします」


「パッと見はタフな印象ですが、近づくほどに、ディテールに施された精緻な意匠が美しいですね。窪川さんの言葉は、プロダクトデザインを見る専門家ならではの視点を感じさせる。
「名作と言われているような家具は、フォルムが奇麗なだけではなく、近くに寄るとパーツのジョイント部分などディテールも非常に美しい。いい家具であればあるほど、その傾向が強いんです。例えば、名作家具を多数手掛けてきたデンマーク人デザイナー、フィン・ユールの最高傑作といわれるチーフテンチェア。僕はこの椅子が大好きなのですが、背もたれやアームの有機的な曲面、骨格となる木材の繊細な造形など、ディテールもまるで彫刻のように優美です。エクストレイルのデザインも、全体像と細部、両方で楽しめるという意味では同様だと思います」
車内に乗り込むと、外観と同様の洗練性が室内にも宿っていた。ナッパレザーの新色ブラウンシートと木目調フィニッシャー、そしてジャパニーズモダンを感じさせる内装が、落ち着いた空間を創出している。



「室内空間すべてが上質なマテリアルで構成されていて、妥協の痕跡が見当たりません。上品な柾目の木目やブラウンの色味など全体的に落ち着いた印象で、和のエッセンスを取り入れた、東京のラグジュアリーホテルのような雰囲気ですね」。デザインのスペシャリストである窪川さんにとって、クルマは単なる移動手段ではない。ボディの複雑な面構成から繊細なデザインディテール、そしてインテリア各所の意匠からマテリアルのセレクトまで、プロダクトデザインの集大成として、クルマを捉えているのだ。




シートのステッチも、窪川さんの目に留まった。「とても丁寧な仕上げですね。ステッチを施すことによってレザー表面が立体的になるので、陰影による表情が生まれるのが印象的ですし、実際に座り心地も良い。意匠としてだけでなく、座った時の感触まで考えられたディテールだと感じます」
「マテリアルの質感には、特に目が行きます。このナッパレザーは、クルマの内装に求められる耐久性を担保しながら、高級ソファのようになめらかな手触りや深みのある色味を実現しているのが素晴らしい」 。インテリアのスペシャリストとしての窪川さんの評価が、エクストレイルの室内空間の上質さを物語っている。
街中で感じる、滑らかさ
島下さんがステアリングを握り、箱根ターンパイクを目指す。首都高速に乗るまでの道すがら、信号でのストップ&ゴーを繰り返す。
「加速も減速も、とてもスムーズですね」と窪川さん。エクストレイルの心臓ともいえるe-POWERは、エンジンを発電機として使い、その電力でモーターを駆動する。エンジンは効率の良い回転域で静かに作動し、電気モーターは低回転域から強力なトルクを発揮する。アクセルを踏んだ瞬間から力強く加速するのに、エンジン音を感じさせない。


「この滑らかさは、エクストレイルのe-4ORCEによるものなんです。前後2つのモーターで4輪を緻密にコントロールして、ピッチングを抑えているんですよ」と島下さん。ピッチングとは、加速や減速時に車体が前後に傾く現象のこと。これを抑制することで、乗員の頭が前後に揺られることなく、快適性が大きく向上する。「だから、クルマに無駄な動きがなく、助手席でも心地いいんですね」と窪川さんが微笑む。
静寂が生む、上質な時間
首都高速から東名高速に至るとクルマの流れが徐々に速まるが、速度が高まっても車内は相変わらず静寂が保たれている。
「とても静かですね。普段、僕はクルマではあまりオーディオを使わないのですが、これだけ静かだと音楽を楽しみたくなります。試しに流してみましょうか」と窪川さん。TEI TOWAの作品を流すと、BOSE Premium Sound Systemが車内をプレミアムな音響空間に変えた。
「普段は気づかなかった微細なニュアンスまで聴き取れます。このオーディオがあれば、移動時間がより充実した時間になりますね」
「音楽を聴きながら、会話しながら、疲れずに移動できる。こういうクルマは、遠くへ行きたくなりますね」と島下さん。長距離ドライブでは、この静寂性が快適性に直結するという。







