旅するアートとは? ムラカミカイエ、DS 7でフレンチリュクスを堪能する|DS
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2023年5月12日

旅するアートとは? ムラカミカイエ、DS 7でフレンチリュクスを堪能する|DS

ポーラ美術館「部屋のみる夢」展とDS 7のインテリア

箱根で最初に訪れたのは、昨年、開館20周年を迎えたポーラ美術館。周囲の自然環境に配慮して設計された建物が印象的だ。
DS 7を駐車してから、新緑に包まれた通路を渡って、背景の山に調和したガラス屋根の美しい建物の中に入っていくという、自然に脈拍や気持ちを整えてくれるようなアプローチごと心地よい。ウェルネスと美が同居する空間といえる。
ムラカミ「箱根や伊豆はよく来ますから、ここにも1年に何度かは立ち寄っています。最後に来たのはロニ・ホーン展(2021-22年開催)のときです。コレクション作品として現在展示されている、ゲルハルト・リヒターも楽しみですね」
左)守山友一朗 《Cosmos》 2022年 作家蔵  右)佐藤翠《Rose Garden Closet》 2022年 作家蔵
まずは企画展「部屋のみる夢―ボナールからティルマンス、現代の作家まで」(7月2日まで開催)を観て巡る。
パンデミック下で移動が著しく制限されていた間、「部屋」が誰にとっても安心をもたらす空間だったことは確かだろう。「部屋」を創作のモティーフとして取り上げてきた作家は少なくない。気兼ねなく外出できるようになった今だからこそ、部屋をテーマとした作品に触れることで新たな視線や発見があるのでは、というのが趣旨だ。
高田安規子・政子 《Inside-out/Outside-in》(部分) 2023年 作家蔵
古典的な静物画の時代背景や、現代作家の綿密な描き込み、小窓や鏡を用いたインスタレーション作品など、限られた空間の奥行や世界の不可思議さに、心地よく引き込まれる。
ムラカミ「海外出張や国内旅行のたび、立ち寄れる限り美術館を訪れています。知っている作家でも知らない作家でも、作品を観るだけが目的じゃなくて、観てきたことで後から気づくような意外な発見もありますから」
併設のカフェで、企画展をイメージしたというスペシャルスイーツ「いちごとヨーグルトのムース、マスカルポーネのアイスを添えて」を味わってひと息ついた後、いよいよお待ちかねのゲルハルト・リヒターの展示室へ。薄暗く絞ったライティングの中で、大きなフォーマットの抽象画に間近で接した後、明らかに軽く興奮状態のカイエさんがいた。
ムラカミ「油彩をのせていった凸凹の跡までが、すごくよく見えるライティングのおかげで、色合いの精密さや迷いの無さまで、じっくり味わえました」
南陽「美術評論のタームでよく『マチエール(物質的な質感)がある』って、言われますよね。わりとクルマにも当てはまるような、特にDS 7のケースでは」
実際、作品の「マチエール(物質的な質感)」に刺激された後、DS 7の車内に戻ると、あらためて素材感のリッチさに気づかされる。
ムラカミ「このシート、一枚革を寄せてつくっているんですか? どうりで包み込まれるような感覚で座り心地がいいわけですね」
南陽「フランスにもマイスター制度に相当するものがあって、小さな革のブロックをつなぎ合わせるのではなく、身体を包む部分は一枚革を寄せて折って縫い込んでいますしね。DSが『サヴォア・フェール』と呼ぶ、匠の技の集成でもあります」
視覚的にはチャコールグレーのマットな質感で統一され、触覚的には適度に引っかかりのある、柔らかなトーンの内装といえる。
南陽 「あとダッシュボードクロックがエンジンを切るとグルンと回って格納されるのには笑ってしまいますけれど、センターのそれが置かれている辺りは古典的なディテールが見て取れます。
時計といえば、ギョーシェ彫りというかクルー・ド・パリ模様は、もともと文字盤の反射防止のための表面加工。外光でギラついたら乗員の目に煩わしい部分に配されている辺り、実はコスメティックでもないです」
ギラつかない高級感というか、しっとりとした諧調の豊かさを感じさせる内装こそが、DSならではの落ち着いた空間を実現させている。
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