旅するアートとは? ムラカミカイエ、DS 7でフレンチリュクスを堪能する|DS
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2023年5月12日

旅するアートとは? ムラカミカイエ、DS 7でフレンチリュクスを堪能する|DS

気鋭のクリエイティブ・ディレクターが語る、DS 7のエクステリアデザイン

三宅デザイン事務所に勤めた後に独立し、SIMONEの代表として国内外の企業やブランドに向けてデザインやビジネス、テクノロジーのクリエイティブコンサルティングを行うムラカミカイエさん。パリコレや「プルミエール・ヴィジョン」という服飾生地の見本市のため、パリへも定期的に出張している彼は、DS 7を一歩引いた距離から眺めて開口一番、こう評した。
ムラカミ「これ、ベジエ曲線の塊のようなエクステリアですね。少なくともデザイナーの目線で見ると」
ベジエ曲線とは、任意のポイントを関数で導いて結ぶことで描かれた滑らかな曲線のことで、CADやコンピュータグラフィックを扱うデザイナーが今も多々用いる技法。元をたどれば自動車のボディを描くために1960年前後、フランスで編み出された。
南陽「リアハッチ周りやフェンダーの膨らみといったボディラインもそうですけど、新たに加えられた透過光のデイライトのLEDランプも、同様ですよね。DSのデザインチーム自体はこのデザイン言語を『パラメトリック・デザイン』と呼んでいます」
DS 7のフロントマスクには、新たな意匠としてこれまでにない個性的なデイライトが採用されている。「DSライトヴェール」と呼ばれるそれは、バンパー内側から放たれる柔らかい透過光が印象的だが、もちろん周囲からの視認性も十分に確保されている。
ムラカミ「今でこそコンピュータのプログラムで描けるものですけれど、1950年代のオリジナルのDS 19のデザインを手掛けたのはフラミニオ・ベルトーニですが、あれは魚のような滑らかなデザインを意識したと聞いたことがあります。

戦後の工業デザインといえばバウハウスからイタリアンモダンなどの実用面に即した流れがありますが、そのカウンターとしてのフレンチ・アヴァンギャルドの再興がシトロエンのDNAと融合したんでしょうね」
南陽「やはりフランス人は、アヴァンギャルドが好きですよね。でも、それは奇抜なものじゃなくて、将来的に時間が進んだときに、古典となり得るものという感覚ですね」
リアコンビネーションランプの、赤い光を拡散する魚のウロコのような反射板も、よく見れば一枚として同じ大きさや形はなく、まさしく前後のライトがよりパラメトリックになって、デザイン上の完成度を高めたといえるだろう。
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