最新スタッドレスタイヤを北の大地で試す|BRIDGESTONE
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2015年4月3日

最新スタッドレスタイヤを北の大地で試す|BRIDGESTONE

BRIDGESTONE BLIZZAK VRX|ブリヂストン ブリザック VRX
ブリザック誕生から25年

最新スタッドレスタイヤを北の大地で試す

立冬が過ぎ今年も冬がやってきた。タイヤはそろそろ衣替えの時期。購入で悩んでいるユーザーも多いことだろう。今シーズン、ブリヂストンはスタッドレスタイヤ「ブリザック」の最新モデル「ブリザック VRX」の発売を開始した。1988年に誕生以来、史上最高性能を実現したというこのタイヤ。一体これまでと何がちがうのか。北海道の大地で櫻井健一がその実力を試す。

Text by SAKURAI Kenichi

史上最高のブリザック

ブリヂストンは、ブリザックの誕生から四半世紀の歴史において、史上最高性能を実現したと自らがいう「ブリザック VRX」を発売した。日本のスタッドレスタイヤブランドを代表する「ブリザック」誕生からすでに25年間。その進化とは、いかなるものなのか。北海道のテストコースからレポートをお届けしよう。

「ブリザック VRX」に投入された新技術は、「アクティブ発泡ゴム」「新非対称パタン」「新非対称サイド形状」の3つ。これまで定評のあった氷路面における“ブレーキの効き”をさらに向上させるとともに、乾燥路面や、雪が溶けて濡れた路面など、冬の道路で遭遇するさまざまなシチュエーションに総合的に対応。もちろん、今どきのスタッドレスタイヤに求められる低燃費性能もぬかりなくスペックアップしているという。

氷上ブレーキ性能は、前モデルの「ブリザック REV GZ」でも申し分ないものだったが、「ブリザック VRX」ではあらたに「アクティブ発泡ゴム」が、除水効果を向上。水路となるトレッド表面を親水性素材でコーティングし、タイヤの表面にある細かな気泡の内側の壁に沿って水を流れ込みやすくすることで、路面にある水を減らす効果が得られた。

タイヤの表面にある無数の気泡が水分を吸収することによって、水分による滑りやすさを抑制するのだが、例えるなら、従来製品では気泡(=水を蓄えるタンク)の半分までしか水分を吸収しなかったものが、「ブリザック VRX」では、気泡の容量ほぼすべてにまで、水分を蓄えられるというイメージだ。水分が路面から減るということは、タイヤが氷路面にしっかりと密着することにつながり、結果、氷上でのグリップ力が向上するのである。

BRIDGESTONE BLIZZAK VRX|ブリヂストン ブリザック VRX
ブリザック誕生から25年

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燃費を気にして製品を選べる時代

さらに「新非対称パタン」が、刻一刻と変化する路面状況や、時間帯や気温で変化する走行シーンに対応。トレッドパタンの中央寄り左右にあるブロックのデザインを進化させ、イン側とアウト側の役割ごとに最適化させるデザインを採用するとともに、ブロック剛性を確保したうえでサイズをより小さくした。

各々小さくなったジグザグに交差するV字形状のブロックと、そこに設置されたサイプがひっかき効果をより高め、氷路面の大小さまざまな、特に小さな凹凸にも各ブロックがしっかりと接地。路面状況を問わず高いグリップ力を発揮する。

また、「新非対称サイド形状」が、高い直進安定性を確保。イン側とアウト側でそれぞれ違った独特のデザインを採用し、不均一に積もった雪路や、不規則に凍りついた凍結路面による凹凸から、タイヤやクルマのふらつきを軽減してくれる。これは一般走行時の、段差や路面のうねりにも効果的なのだという。

注目の低燃費性能では、転がり抵抗を従来モデルよりも10パーセントも削減することに成功。スタッドレスタイヤでも、燃費を気にして製品を選べる時代になったといいえそうだ。

しかし、問題はこうした高性能が、日常の各場面で実感出来るかどうか、そこが新製品を選ぶポイントである。お題目が立派でも、それだけでは選ぶ価値はさほど高くはない。そう考える誰もが、一番分かりやすいのは、凍った道での制動性能の善し悪しだ。

もちろんこれだけがスタッドレスタイヤの評価のすべてではないが、スキーのために雪道を30年以上走った経験上、制動力の劣ったスタッドレスタイヤに、満足行くクオリティの製品は1本もなかったことも、また事実である。

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ブリザック誕生から25年

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クルマがぐんぐん加速する

ブリヂストンの社内テストでは、10パーセントもの性能向上を「ブリザック VRX」で確認できたというが、実際に4駆のミニバンを使用し、アイスバーンのコースで新旧ブリザックを履き比べた比較テストをおこなった。

加速後30km/hに速度を保ち、同一ポイントでブレーキング。完全停止までの距離をチェックした。テストコースはブリヂストンが持つドーム型の実験施設。コンディションを一定に保つことができるので、比較しやすい。

結果は、確かに目に見えて制動距離が短いのは、「ブリザック VRX」の方であった。驚くことに、実際にお見せできないのが残念なほど、その差は“微妙に”や“かろうじて”などではなく、“圧倒的”に違ったのである。

ブレーキングの反応も良く、これはこれで十分高性能だと思わせる「きちんと予想した所に止まる」旧モデルに対して、「予想よりもクルマ1台分手前で止まる」と表現しても大げさではない制動距離を発揮したのが「ブリザック VRX」という印象だ。ブレーキへの反応が良く、路面を掴む力強さがドライバーにも明確に伝わるのだ。

おそらく「安心してブレーキを踏め、確実に止まる」と誰もが思う、「ブリザック VRX」の制動性能には驚くばかりだが、加速時のグリップ性能にも大きな差があった。トラクションコントロールを装備しているため、ラフなアクセル操作でもわずかなホイールスピンのみでクルマがきちんと加速体制に入る旧モデルに対して、「ブリザック VRX」では、ほとんどホイールスピンなしで、クルマがぐんぐん加速するのである。

ステアリング操作にも、旧モデルは一瞬遅れて反応する印象だが、「ブリザック VRX」は、例えばサマータイヤでの運転をイメージさせるほどにレスポンスが良い。この違いは、やはり再び“圧倒的”といっても決して大げさではないだろう。

BRIDGESTONE BLIZZAK VRX|ブリヂストン ブリザック VRX
ブリザック誕生から25年

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明確な性能差

他メーカーがベンチマークとするほどの実力を持つ「ブリザック REV GZ」でも十分な性能だったという認識は、良い意味で覆させられた。「ブリザック REV GZ」から4シーズン目、つまり満を持しての投入となった「ブリザック VRX」との差は、予想以上のものだったのだ。

スタッドレスタイヤも、デジタル製品などとおなじく新旧モデルが同時に店頭にならび、旧モデルがかなり安く購入できたりするが、この圧倒的とさえ言える性能差は、iPad Airが出た今どきに、わざわざiPad2を買うようなものである。無論予算や好みもあるので、一概にあたらしい製品を選ぶ行為を正しいとはいわないが、価格差以上に両者にはそれだけ明確な性能差があるという意味だ。

デジタルガジェットならば、使いやすさやスピードの差ぐらいで済むが、スタッドレスタイヤは人の命を乗せている。購入する際に数千円を節約したいのは人情。しかし、もしも万が一の際、「ブリザック VRX」であれば、あと数m手前で止まれてクルマをぶつけずにすんだかも……と後悔するのはナンセンスではないか。

北海道をはじめとする東北地方など降雪地域の大都市圏では、実に2台に1台が「ブリザック」のユーザー。その信頼感や高性能さは、新作でも揺るぎないものである。ちなみに「ブリザック VRX」のVRXとは、VERTEX(バーテックス)から得たもので、最高点や頂点という意味を持つ言葉に由来する。乗り比べれば、確かにその意味と開発陣の意気込みが理解できるはずである。

Spec|スペック

BRIDGESTONE BLIZZAK VRX|
ブリヂストン ブリザック VRX

タイヤサイズ|135/80R12 68Q~245/40 R20 95Q(全108サイズ)

価格|オープン

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