「LEXUS DESIGN AWARD 2018」授賞式|Lexus
Lexus|レクサス
原点は、よりよい社会づくりに貢献したいという思い
第6回を数える「LEXUS DESIGN AWARD」。2018年度も世界68カ国から「過去最高」の1319点の応募があった。審査員をつとめたLexus Internationalの澤良宏プレジデントに、授賞式会場で話を聞いた。
Text by OGAWA Fumio
豊かな環境を作っていくことがデザインの本質
ミラノデザインウィーク2018で、「LEXUS DESIGN AWARD」授賞式が開催された。
2018年4月17日に、グランプリとして発表されたのは、グループユニットExtrapolation Factoryの「Testing Hypotheticals」だ。
それを機会に、会場になったレオナルド・ダ・ヴィンチ記念国立科学技術博物館内「カヴァッレリッツェ」で審査員も務めたLexus Internationalの澤良宏プレジデントに話を聞いた。
「LEXUS DESIGN AWARDの活動の原点は、ラグジュリーライフスタイルブランドを目指すレクサスがよりよい社会づくりに貢献したいと考えていることです」
第6回を数える同アワードは、多くの優れたアイデアを世に紹介してきた。2018年度は世界68カ国から「過去最高」の1319点の応募があったという。
「デザインは広義にはソリューションなので、豊かな環境を作っていくことがその本質にあるはずです」
今回のキーワードに「CO-(共)」を選んだのも、デザインと社会のつながりを強く意識してのことと言う。
「若いクリエイターとともに育ちながら、よりよい社会、我われは“LEXUS WORLD”と呼んだりしますが、それを形づくっていきたいと思っています」
そこでレクサスでは、このアワードを単に一過性のものにしない努力を重ねている。いい例が、最終候補になる4組には「メンター」がつくことだ。
指導者とも訳せるメンターの仕事は、応募作品のコンセプトをより明確化したり、工業製品の場合は量産化のためのアドバイスを与えることなのだ。
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“面倒見が異例によい”アワード
グランプリのExtrapolation Factoryには、オランダで活動するイタリア人のユニット、ストゥディオ・フォルマファンズマがメンターを務めた。
「単に賞をもらうだけでなく、プロを目指す人は先達のアドバイスも受けられます。これをレクサスのフィロソフィというなら、若いクリエイターがそのあと、それにシンパシーを持ち続けてくれることを期待しています」
こういうアワードとしては“面倒見が異例によい”と国際的に評価されているメンター制度を通し、実際に活躍をはじめているデザイナーも少なくないと澤氏は話す。
「ミラノデザインウィークは、あらゆるマテリアルを組み合わせて、実にユニークな表現を見ることができ、デザイナーにとってまたとないインスピレーションを得られる場です。企業と個人のあいだの希有なコミュニケーションから新しいものを作りあげていきたいと考えてきました」
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ユニークな発想をみせるグランプリ作品
レクサスが2018年にグランプリを与えたExtrapolation Factoryの「Testing Hypotheticals」も実にユニークな発想をみせる。
「ある既知の数値データを基にして、そのデータの範囲の外側で予想される数値を求めること」とあるイクストラポレーションをユニット名にした、アメリカ人とドイツ人の二人組。
今回の「仮設を試す」(大意)は、ニューヨーク・クイーンズの住人たちがサンプル。地域の未来をよりよいものにできないかという取り組みを実証例として見せた。
主題は未来に向けてクイーンズをよりよい街にするため、予算などに上限を設けず、なにができるかのアイデア出しだ。
はたして「コミュニティガーデンを持つ地下鉄」とか「再生したものを提供者に戻すリサイクルシステム」とか「地中の植物の根を感じられるアウトドアの瞑想スペース」などが挙がった。
こんなに面白いことやっている自動車メーカーはめずらしい。レクサスのクリエイティブな活動が世界を豊かにしてくれるとしたら、応援しないわけにはいかないだろう。