秘密の倉庫に隠された幻のポルシェたち|Porsche
Porsche Museum Secrets|ポルシェ ミュージアム シークレッツ
秘密の倉庫に隠された幻のポルシェたち
ポルシェは、YouTube上のオフィシャルチャンネルに、ポルシェ幻のコレクションを紹介する動画を公開している。現在はパート2までの、この「Porsche Museum Secrets」と題された一連の動画群。ポルシェファンならずとも、自動車ファンは注目せざるをえないシリーズとなりそうだ。
Text by SUZUKI Fumihiko(OPENERS)
911ターボの1号車は誕生日プレゼントだった
ドイツ南西部の都市、シュトゥットガルドはポルシェがその本社を置く地であり、また、彼らが運営する「ポルシェミュージアム」の所在地でもある。この「ポルシェミュージアム」は同都市の観光名所で、505台もの歴代ポルシェカーを、可能な限り良好な、基本的には走行が可能な状態で保有するというが、床面積5,600平方メートルを誇る巨大な建築とはいえ、さすがに505台を同時におさめるのには十分なスペースではない。
そこで、ミュージアムのストレージスペースとして使われているのが、1960年代に建造されたという、倉庫。場所はシュトゥットガルトの郊外にあるという以外は非公開。
その秘密の倉庫と、そこにおさめられた幻のポルシェカーを紹介しているのが、今回紹介する「Porsche Museum Secrets」と題された2本の動画だ。
撮影の日はポルシェミュージアムから20台のクルマが移されてきた日だという。
まず、Part 1の最後で紹介されるクルマが、「ポルシェ 911 ターボ」の1号車。このクルマの所有者だったのは、ポルシェの創業者であるフェルディナント・ポルシェの長女にして、ポルシェ「356」の設計者フェリー・ポルシェの兄弟、そして、アウディ「Ur-クワトロ」の技術担当責任者として、またフォルクスワーゲンに大きな影響力をもつ人物として知られるフェルディナント・ピエヒの母である、ルイーズ・ピエヒ。クルマは彼女の誕生日プレゼントに贈られたという。ルイーズが「Turbo」のバッヂをいやがったため、リヤのバッヂは「Carrera」だ。
Porsche Museum Secrets|ポルシェ ミュージアム シークレッツ
秘密の倉庫に隠された幻のポルシェたち(2)
時代を物語る928のコンバーチブルモデルやボクスターの祖先の姿も
Part2にうつると、さらに興味深いクルマがぞくぞく紹介される。
最初に登場するのが「ポルシェ 924 ワールドレコードカー」。
メルセデス・ベンツが保有していた耐久記録をやぶるためにつくられたというモデルだ。1975年に発売された2+2シーターのFRスポーツ「924」をベースに、エンジンにはインタークーラーつきターボが追加され、ボディは、空力的によりすぐれた形にするべくデザインの変更がなされている。フロントから突き出た排気筒も特徴的だ。メルセデス・ベンツがさらに高性能な後継車両を開発しているという噂をきき、1976年に開発は中止されたという。
次に登場するのが「ポルシェ 928 コンバーチブル」。「928」は1977年に発売された、同社の「911」を超える、ラグジュアリースポーツカーだが、コンバーチブルモデルの発売はなかった。このプロトタイプモデルは、これが販売されていたといわれても、まったく不思議におもえないほど、完成されたプロポーションをもつ。
つづいては「ポルシェ 984 “ポルシェジュニア”」。1984年にうまれたモデルで、986型とよばれる「ポルシェ ボクスター」の先祖だ。
2つの歴史的レースカー
「906 Ollon-Villars ヒルクライム専用モデル」。スイスで現在もヒストリックカーイベントとして開催されるOLLON-VILLARS ヒルクライムのためにうまれた「906」だ。「906」は1966年にデビューしたレーシングカーで「カレラ6」の別名をもつ。ビデオに登場するモデルは50年ほど手つかずだったということで、オリジナルコンディション。ボディの各部に入ったキズが、戦いを物語っている。
「ポルシェ 908 Targa Florio」はイタリアで1906年から1977年にかけて開催された公道自動車レース用のモデル。登場する車両は、最近発見されたとのことで、現在は修復作業中だ。今年10月のイベントで走行させる予定があるという。
オイルショックを反映したコンセプトカーと防弾911
つづく、カゴのように見える外装をもった「FLA コンセプトスタディ」は、1973年にうまれた、コンセプトモデル。オイルショックの時代のモデルとあって、20から30年使えるクルマとしてうまれた。
最後が「996 防弾仕様プロトタイプ」。一見すれば、通常の996型「911カレラ」。ところが、完全防弾仕様のこのクルマは、なんと、重量約3トンにも及び、さらにちゃんと走行可能だという。
ポルシェは同チャンネルにおいて、さらにPart3、4と動画を公開する可能性もある。はたして、今後、どんな幻のポルシェが登場してくるのか。期待せずにはいられない。