PORSCHE Cayenne|よりエコに、より力強くなったカイエンV6
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2015年2月27日

PORSCHE Cayenne|よりエコに、より力強くなったカイエンV6

PORSCHE Cayenne|ポルシェ カイエン

よりエコに、より力強くなったカイエンV6(1)

先にリポートしたパナメーラとおなじく、ドイツのケルンでおこなわれたカイエンV6の試乗会。クルマに対する現代の価値観との親和性が高い、と渡辺敏史が評する新型の真価とは?

文=渡辺敏史写真=ポルシェ・ジャパン

ポルシェの屋台骨を支える稼ぎ頭 カイエン

2002年の登場以来、プレミアムSUVの代名詞として世界的な大ヒットを記録したのはご存じの通り。「カイエン」はポルシェにとって、911、ボクスター/ケイマンと並び、屋台骨を支える第3のラインとなった。いや、もはやポルシェの屋台骨を支える稼ぎ頭といっても過言ではないだろう。

しかし、初代が売れまくっていた数年前と比べても、時代背景は確実に変わっている。リーマンショック後の先進国における経済低迷と新興国の隆盛もさることながら、SUVそのものの存在意義を否定するような環境問題は、カイエンにとってもっとも憂慮すべき事態だ。動的なパフォーマンスを高めることはポルシェにとって社是のようなもの。そこに燃費低減という要素もくわえ、さらには新興国でのシェア獲得も重視しなければならない。難しいハンドリングのなか、全グレードのうち半数がこれで占められることになるとポルシェ自身も予想するのが、もっともベーシックなV6モデルである。

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180kg減量のボディに400Nm/3,000rpmのパワー

あたらしいカイエンに搭載されるV6エンジンは、同時期に登場したパナメーラV6のそれとは異なった形式となっている。これは骨格および駆動システムのちがい、さらにはVWとの共同開発契約が発効しているという内側の事情もあってのことだ。VWと同形式の狭角V6を用いながらも専用チューニングがほどこされたカイエンV6の最高出力はパナメーラのV6とまったくおなじ300ps。8速ATの採用でギアレンジを上下にワイド化したことによりサブトランスファーを省略化。結果、ドライブトレーンまわりだけでも前型比33kgの減量に成功したうえで、ボディ構造の変更もあって最大で180kgも軽くなったというあらたな体躯には充分すぎるほどのパワーといえるだろう。

ちなみに400Nmという最大トルクもパナメーラV6とまったく同様ながら、その発生回転域は750rpmも低い3,000rpm。ロングストローク型であることも奏功しているのだろうが、オフロード走行も考慮するSUVであるがゆえの設定といえるだろう。

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よりエコに、より力強くなったカイエンV6(2)

一段と力強く、なめらかな加速力

試乗はアウトバーンとカントリーロードを中心におこなったが、カイエンV6のパフォーマンスは必要にして充分といえるものだった。軽くなった車重と改善された空力特性、ワイドレンジとなった8速AT。これらの連携により新型カイエンは、おなじ排気量のV6エンジンを積む初代後期型に対して明らかに一段力強く、なめらかな加速力を得ている。ちなみに公称の動力性能は0~100km/hで7.5秒、そして最高速は230km/h。スポーティといえるその数字は、アウトバーンでの余裕ある200km/h巡航でも実感できた。

もちろん、その程度はライバルのSUVでもこなすことができる仕事だ。が、新型カイエンの醍醐味はその課程で、いかにもポルシェのプロダクトらしい質感や精度の高さが味わえることにある。ボディ剛性の高さは言わずもがな、そこに内包されるエンジンの緻密な回転感やサスの正確な動きが、ステアリングやアクセルペダルを通じて伝わってくるこの感触は、やはり他社のそれとは一線を画するものだ。決して小さな車体ではないが、芯を食ってる感触がつねにあるあたり、やはりスポーツカーブランドのDNAは侮れないということだろうか。

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フラットかつ自然な旋回感

その、SUVらしからぬポルシェらしさはワインディングにおいてとくに顕著だ。オプション装着されるエアサスのボディコントロール性も非常に高く、速度を問わずフラットに、かつ自然なフィーリングでコーナーをクリアすることができる。旋回感という点においてことさら顕著なのはV6ならではのノーズの軽さで、タイトなコーナーでもノーズがドサッと動いていく重々しい位相感は皆無といっていい。くわえて乗り心地のよさは前型のそれから長足の進化を遂げており、それらをふくめたキャビンの環境はラグジュアリークラスにふさわしいものといえるところまで引き上げられている。

必要充分なパワーと優れた燃費、そしてほかのモデルでは得られない軽快な身のこなし。かつてならこれらは、カイエンの選択理由とはなりづらい長所だったのかもしれない。しかし大きくシフトした現代の価値観とは極めて親和性が高いものといえる。個人的にいま、カイエンのベストバイを選ぶとすれば文句なしでV6を推すだろう。

           
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