Mercedes-Benz S400 Hybrid|メルセデス・ベンツ S400ハイブリッド(前編)
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2015年4月14日

Mercedes-Benz S400 Hybrid|メルセデス・ベンツ S400ハイブリッド(前編)

Mercedes-Benz S400 Hybrid|メルセデス・ベンツ S400ハイブリッド(前編)

メルセデスの決意と自信のあらわれ

トヨタ・プリウスが18万台以上という空前のバックオーダーを記録するなど、ハイブリッドカーがますます注目をあつめる昨今。
ドイツのプレミアムブランドからもハイブリッドのニューモデルがリリースされた。
ドイツ本国で行われた試乗会より、気鋭の自動車ジャーナリスト、渡辺敏史が報告します。

文=渡辺敏史写真=メルセデス・ベンツ日本

レクサスLS600hとは逆の論法

クルマにおける次世代の環境型パワートレーンの覇権争いは、相変わらず予断をまったく許さない状況にある。が、そのなかから若干ながら抜きんでた感があるのがガソリンエンジンとモーターを組み合わせるハイブリッドシステムだ。日本ではホンダ・インサイトとトヨタ・プリウスの登場によって、完全に普及期に突入。更にプリウスは今回の新型で、充分に認知度を得たアメリカ市場に次いで、高速移動に重きを置くヨーロッパ市場での躍進を見据えた商品力を携えている。

そんな流れを受けてか、当初はハイブリッドそのものに懐疑的だったヨーロッパのメーカーも、続々と市場投入に向けての準備をはじめている。フォルクスワーゲン・アウディ連合然り、BMW然り、ひいてはフェラーリポルシェもそこを念頭においた商品展開を模索中だ。

そこに先駆けるかたちでメルセデスが踏み切ったハイブリッドシステムの実戦投入は、同社の頂点に位置するSクラスからはじまった。世界中の上顧客から絶大な信頼を寄せられる銘柄ゆえ、絶対に失敗は許されない。それゆえに意外にも思えるが、裏返せばそれはメルセデスの決意と自信とも受け取れる。

日本にはこの秋、Sクラスのビッグマイナーチェンジとともに投入される予定の「S 400ハイブリッド」は、直接のライバルとなるだろうレクサスLS600hと、いうならば逆の論法でハイブリッドシステムを成立させていた。

EU圏の同セグメントでもっとも燃費がいいサルーン

LS600hの論旨は、欧州のアッパーサルーンが走りと燃費の両立から採用するマルチシリンダーディーゼルを仮想敵とし、それに比する高速域での走りをガソリンエンジンで成立させながら、渋滞やゴー・ストップの多い市街地でそれ以上の燃費を引き出す──というものだ。それに対してS 400ハイブリッドの論旨は、速さでの勝負は他グレードに任せ、LS600hを上回る燃費をできるだけシンプルかつローコストなシステムで成立させること──というものになる。事実、S 400ハイブリッドはEU計測値においてCO2排出量はLS600hを下回り、186g/kmという数値を示す。すなわち、EU圏においてはこのセグメントでもっとも燃費のいいガソリンエンジンサルーンということになるわけだ。

S 400ハイブリッドのエンジンは3.5リッターのV6。そこに7速ATを組み合わせ、エンジンとトランスミッションのあいだに15kwの薄型モーターを挟み込む1モーターのシンプルなシステムを構築している。いわば中~高回転域の仕事はエンジンに任せ、低回転域のエンジン効率を補う役目をモーターに担わせようというもので、発想自体はインサイトのそれによく似たものだ。代わりに小型なモーターをトランスミッションと同軸とし、そのモーターを小型・軽量なリチウムイオンバッテリーでドライブすることで居住空間や荷室に一切犠牲をおよぼさない。ちなみにそのバッテリーは通常の12Vバッテリーとさほど変わらない大きさで、エンジンルーム内に綺麗に
ビルトインされる。

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