雪上で「X5」の実力を試す|BMW
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2015年1月15日

雪上で「X5」の実力を試す|BMW

BMW X5 xDrive35d|ビー・エム・ダブリュー X5 xDrive35d

雪上で「X5」の実力を試す

その体躯から想像するよりもずっと軽快で、FRのスポーツカーを運転しているような感覚。それが「X5 xDrive35d」のステアリングを雪上で握った偽らざる感想だ。昨年10月31日に日本でも発売を開始した3代目となる新型「X5」は、2代目よりも若干大きなボディサイズを得ているが、それを感じさせない軽快なフィーリングをもたらしてくれた。

Text by SAKURAI KenichiPhotographs by TSUKAHARA Takaaki

xDriveがもたらすのは走破性だけではない

「インテリジェント4輪駆動システム」とBMW自身が呼ぶ「X5」のxDriveは、縦置きされたエンジンからもわかるように、BMWがこだわり抜いたFRのシャシーレイアウトを基本に、トルク可変型のフルタイム4WDをあたえたシステムだ。

通常走行時は前輪に40パーセント、後輪に60パーセントのエンジントルクを配分。4WDといえども、ステアリングのレスポンスが良く、路面の情報をリニアにドライバーが感じ取れるという、誰もが想像するBMWらしいフィーリングが味わえる。しかも、今回のように圧雪路面やウェットな路面では、それを路面状況に合わせ可変させ、すぐれたトラクションを発揮することがわかる。

乾燥路面と圧雪路面が交互にあらわれる雪道をものともせず、xDriveは勾配のあるワインディングロードをぐいぐいとのぼってゆく。ほかの4WDモデルは、雪上走行時にステアリングが想像以上に軽くなりがちだが、xDriveではもちろんそうした雪道特有の傾向をもちながらも、進むにつれ変化する路面の情報をしっかりとステアリングから感じ取ることができる。

4輪の力強いグリップを意識なら走るこのフィーリングは、慣れないはじめての雪道でも、じつに頼もしく感じられる。ストレートでのブレーキングがじゅうぶんでなく、うっかりオーバースピード気味で入ったカーブでも、DSCが車体を制御し、スピンモードに陥ることはなかった。最終的にクルマが助けてくれるとわかっていても、しかし、雪道ではセオリー通りの走りが必要。低ミュー路では、スムーズなステアリング操作と、注意深い加減速が肝心だ。

一般道では安全のためDSC(ダイナミック スタビリティ コントロール)を常にオンにして走行するが、今回は広いクローズドコースであえてDSCをオフにし、4WDのパフォーマンスをためすことにした。

DSCを効かせた通常の走りでは、タイヤのスリップを感知してスロットルが自然と絞られるのと同時に、ABSが介入し、X5自身がタイヤのグリップを回復させてくれる。刻一刻と路面状況が変わる雪道などではじつに頼もしく、これが一般道での安心に繋がることは明白だ。

BMW X5 xDrive35d|ビー・エム・ダブリュー X5 xDrive35d

雪上で「X5」の実力を試す (2)

クルマ選びの基準を変えるxDriveの魅力

DSCをオフにした状態では、4輪すべてがアクセルに忠実に反応。ためしに容赦なくアクセルを踏み込むと、ターボディーゼルの持つ540Nm(55.1kgm)という絶大なトルクが、クルマを前方へと猛烈に押し出そうとするのがわかる。

ただしタイヤは、いかにスタッドレスタイヤといえどもじゅうぶんなグリップを確保できず、ホイールスピンをはじめる。それを感じた瞬間に、前輪にトラクションがかかり、X5はスムーズに加速をはじめるのだ。

言葉にするとまどろっこしいが、xDriveはこれを瞬時にやってのける。X5では前後のトルクの振り分けをおこなうセンターディファレンシャル部分に、これまでの油圧式クラッチでなく、あらたに電気モーターを使用。電子制御で、トルク配分をコントロールしている。したがって、いままで以上にレスポンス良く、トラクションが確保されるのである。

そしていったん加速しはじめタイヤのグリップが速度とリンクすると、X5では2.2トンのウェイトをものともしない定常円でのカウンタードリフト走行が自在におこなえる。この走破性とコントローラブルなハンドリングは、FRモデルにはないxDriveだけの魅力である。

タイヤのグリップ力を見極めながら車体をコントロールする時に感じる心地よさは、X5がまぎれもなくBMWであることを印象づける。この(雪上ドリフトの)たのしさは、一度味わうと病みつきになる。もちろん、どんな状況下にあっても、一般道でDSCをオフにすることは決してお薦めはしないので、それだけはお忘れなく。

こうしたパフォーマンスをもつ、X5をはじめとするxDriveモデルを雪上でためしてみたいとおもう向きに、じつは朗報がある。

BMWでは長野県の白馬八方尾根スキー場で、「BMW xDrive雪上試乗会」と題した一般ユーザー向けのイベントを2月16日(日)まで開催中だ。「BMW 320i xDrive」「X3 xDrive20i」「X3 xDrive20d」「X1 xDrive20i」そして今回OPENERSが試乗したX5 xDrive35dが用意されており、無料で試乗することができる(全車右ハンドル仕様)。

ウィンタースポーツをたのしみにゲレンデにいく予定があれば、ぜひ白馬八方尾根スキー場まで足を伸ばし、xDriveの走りを確かめて欲しい。一般公道と雪上の特設コースでxDriveをためせる貴重な体験は、ひょっとしたらクルマ選びの基準を変えてくれるかも知れないほど、インパクト大である。

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BMW X5 xDrive35d|ビー・エム・ダブリュー X5 xDrive35d
ボディサイズ|全長 4,910 × 全幅 1,940 × 全高 1,760 mm
ホイールベース|2,935 mm
重量|2,210 kg(M Sport)
エンジン|2,992 cc 直列6気筒 ターボ ディーゼル
最高出力| 190 kW(258 ps)/ 4,000 rpm
最大トルク|560 Nm / 1,500-3,000 rpm
トランスミッション|8段オートマチック
ブレーキ|ベンチレーテッドディスク
駆動方式|4WD
タイヤ|255/50R19
燃費(JC08モード)|13.8 km/ℓ
価格|880万円(M Sport)

BMW xDrive雪上試乗会
場所|長野県 白馬 八方尾根スキー場 名木山ゲレンデ下 特設会場
開催日|2014年2月16日まで(火・水曜日を除く毎日、但し祝日は開催)
時間|10:00~12:00、および、13:00~15:30(受付 9:30~)
試乗コース|一般公道、および、特設コース
受付場所|八方尾根スキー場 名木山ゲレンデ下 特設会場
受付方法|受付場所にて前日・当日受付
試乗車|BMW 320i xDrive、X3 xDrive20i、X3 xDrive20d、X1 xDrive20i、および、 X5 xDrive35d(すべて右ハンドル仕様)

BMW カスタマー・インタラクション・センター
free150120-269-437(受付時間 9:00-20:00 年中無休)

           
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