フルモデルチェンジした「Sクラス」の実力(後編)|Mercedes-Benz
Mercedes-Benz S 400 Hybrid|メルセデス・ベンツ S 400 ハイブリッド
Mercedes-Benz S 550 long|メルセデス・ベンツ S 550 ロング
現時点における最高の安全性と環境性能を装備
フルモデルチェンジした「Sクラス」の実力(後編)
登場以来、メルセデス・ベンツのフラッグシップモデルとして君臨する「Sクラス」が、今年5月にフルモデルチェンジし、6代目(W222)としてデビューを飾った。最新かつ最高峰テクノロジーとともに、彼らは、自信の哲学である「最善か無か」をいかにして実現したのか。王者にふさわしい快適装備を一切惜しむことなく搭載した新型モデルを櫻井健一氏がリポート。今回はその後編(前編はこちら
Text by SAKURAI Kenichi
Phorographs by TSUKAHARA Takaaki
メルセデス・ベンツのお家芸とも言える安全性
堂々としたエクステリアデザインとサイズ、プレステージ性あふれるインテリアや贅を尽くした快適装備の採用は、メルセデス・ベンツのフラッグシップモデルらしく申し分ないものだが、こうした見た目や仕立ての良さがだけが「Sクラス」のすべてではない。
時代の最先端を行く「エフィシェントテクノロジー=効率と環境性能」、「インテリジェントドライブ=知能を備えた革新的テクノロジー」もまた、Sクラスを語る上で外せないファクターである。
ボディ重量2tを超える最上級モデルに相応しい動力性能と、現代のクルマには欠かすことのできないローエミッションや燃費向上といった環境性能の両立も、Sクラスのセールスポイントだ。
従来モデル比で約100kgもの大幅な軽量化を達成したアルミニウムハイブリッドボディシェルの採用や、セグメントトップとなるエアロダイナミクスを実現し、エントリーモデルのS 400 ハイブリッドでは、リッターあたり15.9kmという今どきの2リッタークラス並の低燃費性能を実現した。
S 400 ハイブリッドは、価格もポジションも「レクサス LS460」とガチの勝負となるが、しかし、一歩先を走るのがメルセデス・ベンツのお家芸とも言える安全性である。
Mercedes-Benz S 400 Hybrid|メルセデス・ベンツ S 400 ハイブリッド
Mercedes-Benz S 550 long|メルセデス・ベンツ S 550 ロング
現時点における最高の安全性と環境性能を装備
フルモデルチェンジした「Sクラス」の実力(後編) (2)
Sクラスを買うということ
「安全なクルマは?」と聞かれて、多くの人がその筆頭に挙げるはずのメルセデス・ベンツは、最新技術満載のセーフティテクノロジー「インテリジェントドライブ」で、ほかのラグジュアリーモデルに大きく差をつけてきた。「知能をそなえた」とメルセデス・ベンツがいうほど、これは進化を果たしている。
今年8月、ドイツのマンハイムからプフォルツハイムまでの全長約100kmのルートで、メルセデス・ベンツは「S 500 インテリジェントドライブ リサーチカー」を用いて完全自動運転の実験に成功した。今回のテストルートは、いまから125年前、メルセデス・ベンツ創業者であるカール・ベンツの妻ベルタ・ベンツが「世界初の長距離自動車ドライブ」を敢行した際と同一のルートだった。
ただし、「世界初の……」ということでもお分かりのように、自動車黎明期の当時はいまと違い、ほかに走る自動車も信号もほとんどない道路状況だったことは想像に易しい。ロータリー式の交差点や信号、横断歩道、自転車や歩行者、さらには路上駐車の車両など、混沌とした21世紀の道で、テストカーが無事、自動運転に成功したのは、大きな進歩といえるだろう。
そこで注目したいのは、この自動運転をおこなったテストカーの搭載していた技術が決して特別なものなどではなく、Sクラスにも採用されている「インテリジェントドライブ」をベースにしていたという事実である。つまり、「インテリジェントドライブ」は、自動運転をも可能にする極めて先進的な基盤技術なのだ。
「インテリジェントドライブ」にそなわる、最新の安全運転支援システムである「レーダーセーフティパッケージ」は、従来の短距離/中長距離ミリ波レーダーにくわえ、ステレオマルチパーパスカメラとマルチモードミリ波レーダー(後方)を追加。これまでのように障害物だけでなく、歩行者の検知も可能になった。
さらに、「ディストロニック・プラス」、「BAS(ブレーキアシスト)プラス」、「プレセーフブレーキ」もそれぞれ進化を果たし、より広く遠い領域と、現実世界で遭遇が想定されるほとんどのシチュエーションをカバー。
くわえて、自車の衝突防止だけでなく、後方から衝突を受けた際、先行車両への玉突き衝突するような二次被害を軽減する「リアCPA(被害軽減ブレーキ付後方衝突警告システム)」も装備にくわえられている。
スペースの関係で機能説明は別項に譲るが、もちろん、「アクティブブラインドスポットアシスト」や「アクティブレーンキーピングアシスト」といった他車にも搭載されている機能はもちろん、「ナイトビューアシストプラス」など、夜間走行の安全性を向上させるメルセデス・ベンツに搭載済みの機能なども、「インテリジェントドライブ」の一部である。すべてのセーフティデバイスを紹介すると、それだけで雑誌の特集が組めてしまうほど、内容は盛りだくさんである。
重要なのは、現状メルセデス・ベンツが持つ市販車に搭載可能な安全装備や、最新の環境テクノロジー、そしてフラッグシップモデルにふさわしい快適装備が、一切惜しみなくこのSクラスに実装されているということだ。つまりSクラスを買うということは、いま手に入れられる世界の最新・最高峰テクノロジーを手に入れるのとおなじなのだ。
Mercedes-Benz S 400 Hybrid|メルセデス・ベンツ S 400 ハイブリッド
Mercedes-Benz S 550 long|メルセデス・ベンツ S 550 ロング
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フルモデルチェンジした「Sクラス」の実力(後編) (3)
エントリーモデルにしてハイブリッド
セーフティデバイスの持つハイテクばかりに目が行ってしまったが、クルマの基本性能である、「走る」「曲がる」「止まる」のポテンシャルも、相当なものだ。
エントリーモデルにしてハイブリッドという、最高出力225kW(306ps)3.5リッターV6直噴エンジンに最高出力20kW(27ps)の第2世代ハイブリッドシステムを組みあわせた「S 400 ハイブリッド」は、モーターのトルクが250Nm(22.5kgm)と大きく、モーターだけの発進時でも、大柄のボディをストレスなく加速させる。
エンジンにバトンタッチしても、切り替えはスムーズで、実に静かだ。特にモーターが加速をアシストするようなシチュエーションでは、ディーゼル並みの力強い走りが楽しめる。
しかし、最高出力335kW(455ps)の実力を持つ4.7リッターV型8気筒直噴DOHCツインターボチャージャーエンジンを搭載する「S 550 ロング」は、その上をいく。「これが2tを超えるクルマの走りか?」とおもわせるほど、息の長い驚異の加速力を披露する。そのまま踏み続けていれば、200km/hオーバーなど、ほんの一瞬の出来事だろう。パワフルな加速に、目が付いていかなくなるほどだ。
加速の間、7段のATは、粛々と仕事をし、変速ショックなどをほとんど気づかせない。今回試乗してはいないが、この上に「S 63 AMG ロング」と「S 63 AMG 4マチックロング」、さらに「S 65 AMG ロング」が控えているのだから恐れ入る。
Mercedes-Benz S 400 Hybrid|メルセデス・ベンツ S 400 ハイブリッド
Mercedes-Benz S 550 long|メルセデス・ベンツ S 550 ロング
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フルモデルチェンジした「Sクラス」の実力(後編) (4)
キング・オブ・メルセデスといえる存在
今回あらたに採用された「マジックボディコントロール」は、「S 550 ロング」で50万円のエクストラチャージが必要と、決して安くはないが、ぜひとも装備したいオプションである。
最大15m前方の路面の凹凸をフロントガラス上部のステレオマルチパーパスカメラでスキャンし、その路面状態に応じて瞬時にサスペンションを調整する油圧式のアクティブサスで、ボディに伝わる衝撃を最小限にしてフラットな乗り心地を保ってくれる。これを味わえば、メルセデス・ベンツがなぜ「マジックボディコントロール」と名付けたのかが、きっと理解できるはず。
通常前方の段差を発見すると、誰もが乗り越える前に体を硬くしてそのショックにそなえるものだが、「マジックボディコントロール」作動下では、ごくわずかな衝撃にしか感じられなくなる。130km/hまでが「マジックボディコントロール」の動作範囲となるので、日本では、ほぼ日常使用全域でその恩恵を受けられるはずだ。
これまでの見た目が立派で、ゴージャスさをウリにしたプレステージカーの、ひとつ前を走る安全性や秀逸な乗り心地を持つSクラス。デザインの好みを除けば、完全無欠と紹介しても過言ではない、キング・オブ・メルセデスといえる存在である。
ただし、ホテルのエントランスでSクラスを撮影中、すぐにあたらしいモデルだと気づいたゴルファーは興味ありげにSクラスをのぞき込み、「さすがベンツ。こりゃスゴイ」と独りごちたように、走らず、わざわざ最先端の安全装備を説明せずとも、見た目だけで王者であることが、誰しもに伝わる。
ただ者ではないオーラが出まくっているSクラスは、W140以来ではないかと、個人的には思ったりもする。予想以上のオーダーで嬉しい悲鳴だという都内のディーラーの話を聞くにつけ、その感想もあながち間違っていないのでは、と今度は自分が独りごちる番になった。
Mercedes-Benz S 400 Hybrid|メルセデス・ベンツ S 400 ハイブリッド
ボディサイズ|全長 5,116 × 全幅 1,899 × 全高 1,493 mm
ホイールベース|3,035 mm
トレッド 前/後|1,624 / 1,637 mm
最低地上高|124 mm
トランク容量(VDA値)|510 リットル
重量|- kg
エンジン|3,497 cc V型6気筒 直噴DOHC + 電気モーター
最高出力| 225 kW(306 ps)/ 6,500 rpm
最大トルク|370 Nm(37.7 kgm)/ 3,500-5,250 rpm
モーター出力|20 kW(27 ps)
モータートルク|250 Nm(25.5 kgm)
トランスミッション|7段オートマチック
駆動方式|FR
タイヤ 前/後|245/50R18
0-100km/h加速|6.8 秒(本国値)
燃費(NEDC値)|6.3 ℓ/100km(≒15.9km/ℓ)(本国値)
ハンドル位置|右
価格|1,090 万円(エクスクルーシブは1,270 万円)
Mercedes-Benz S 550 long|メルセデス・ベンツ S 550 ロング
ボディサイズ|全長 5,250 × 全幅 1,900 × 全高 1,495 mm
<全長 5,280 × 全幅 1,915 × 全高 1,495 mm>
ホイールベース|3,165 mm
トレッド 前/後|1,625 / 1,635 mm<1,630 / 1,645 mm>
最低地上高|130 mm
トランク容量(VDA値)|530 リットル
重量|2,180 kg<2,190 kg>
エンジン|4,663 cc V型8気筒 直噴DOHC ツインターボチャージャー付き
最高出力| 335 kW(455 ps)/ 5,250-5,500 rpm
最大トルク|700 Nm(71.3 kgm)/ 1,800-3,500 rpm
トランスミッション|7段オートマチック
駆動方式|FR
タイヤ 前/後|245/50R18
0-100km/h加速|4.8 秒(本国値)
燃費(NEDC値)|8.6 ℓ/100km(≒11.6km/ℓ)(本国値)
ハンドル位置|左 / 右
価格|1,545 万円
※<>内はAMGスポーツパッケージ装着時の値
Mercedes-Benz S 63 AMG long|メルセデス・ベンツ S 63 AMG ロング
ボディサイズ|全長 5,287 × 全幅 1,915 × 全高 1,499 mm
ホイールベース|3,165 mm
トレッド 前/後|1,630 / 1,644 mm
最低地上高|141 mm
トランク容量(VDA値)|510 リットル
重量|- kg
エンジン|5,461 cc V型8気筒 直噴DOHC ツインターボチャージャー付き
最高出力| 430 kW(585 ps)/ 5,500 rpm
最大トルク|900 Nm(91.7 kgm)/ 2,250-3,750 rpm
トランスミッション|7段オートマチック
駆動方式|FR
タイヤ 前/後|255/45R19 / 285/40R19
0-100km/h加速|4.4 秒(本国値)
燃費(NEDC値)|10.1 ℓ/100km(≒9.9km/ℓ)(本国値)
ハンドル位置|右
価格|2,340 万円
Mercedes-Benz S 63 AMG 4MATIC long|メルセデス・ベンツ S 63 AMG 4マチック ロング
ボディサイズ|全長 5,287 × 全幅 1,915 × 全高 1,499 mm
ホイールベース|3,165 mm
トレッド 前/後|1,643 / 1,644 mm
最低地上高|135 mm
トランク容量(VDA値)|510 リットル
重量|- kg
エンジン|5,461 cc V型8気筒 直噴DOHC ツインターボチャージャー付き
最高出力| 430 kW(585 ps)/ 5,500 rpm
最大トルク|900 Nm(91.7 kgm)/ 2,250-3,750 rpm
トランスミッション|7段オートマチック
駆動方式|4WD
タイヤ 前/後|255/45R19 / 285/40R19
0-100km/h加速|4.0 秒(本国値)
燃費(NEDC値)|10.3 ℓ/100km(≒9.7km/ℓ)(本国値)
ハンドル位置|左
価格|2,340 万円
メルセデスコール
0120-190-610