PORSCHE CAJUN|ポルシェ ケイジャン あらたなモデルレンジを計画
PORSCHE CAJUN|ポルシェ ケイジャン
あらたなモデルレンジの計画を発表
ポルシェAGは、11月29日におこなわれた監査役会議で、同社が継続的に成功と成長をしていくための基礎をなす決定をくだした。
文=松尾 大
ケイジャンを中心とするあらたな顧客の取り込み
ポルシェAGの監査役会は取締役会にたいし、あらたなモデルレンジの開発および市販化を目指すように指示したという発表があった。以前は「Roxster」という名前もささやかれた、開発名「Cajun(ケイジャン)」というコンパクトSUVが、そのあたらしいモデルであるという。
世界的にヒットし、とくに北米市場で大成功をおさめたカイエンは、ポルシェAGの業績を急回復させたモデル。その成功により、フォルクスワーゲンの筆頭株主となり子会社化したほどだった。しかし、そのあとの世界的不況のあおりをうけ、高級モデルを中心にラインナップするポルシェの経営環境は決してあかるいとはいえない。新興国市場では、いまもポルシェブランドの威力は絶大であるが、景気回復スピードが遅いままの先進各国では、よりリーズナブルなモデルをラインナップする必要があると考えたのではないだろうか。
あたらしく登場する予定のケイジャンはカイエンに比べて軽量、コンパクトで、おそらくアウディQ5とおなじプラットフォームを使用するものとみられる。優れたハンドリングとアジリティで、同クラスのSUVのなかでは突出した性能をもってあらわれることだろう。
もうひとつ、ケイジャンをリリースする目的は環境性能であろう。大型モデルが多く、CO2排出量が多いポルシェは、ヨーロッパを中心に今後、規制の強まるCO2排出量規制をクリアするために、より小型なモデルを用意する必要があるという事情も垣間見える。
また、ポルシェはこのケイジャンによって、より若く、あたらしい顧客を取り込むことを目論んでいるという。
BRAND HISTORY
ドイツを代表するスポーツカーブランドとして世界中の腕利きから圧倒的な支持を得ているのがPORSCHE(ポルシェ)である。はじまりは1931年。 20代の頃から自動車エンジニアとして頭角をあらわした奇才・フェルディナンド・ポルシェは、ダイムラー社の技術部長を経験したあと、ドイツのシュトゥットガルトに「ポルシェ設計事務所」を設立して独立。以後、自動車メーカーからさまざまなクルマの開発を託されることになる。なかでも有名なのが、ドイツの「国民車」としてモータリゼーションに大きく貢献した「フォルクスワーゲン・ビートル」だ。
自動車メーカーとして、自らの名を初めて冠したのは、1948年に登場した「356」であった。それからポルシェは「911」「924」「928」といったスポーツカーを世に送り出すとともに、モータースポーツに力を注ぐ。たとえば、世界でもっとも苛酷なレースといわれるルマン24時間で16回の優勝を手に入れたほか、F1でもエンジンサプライヤーとして3度のシリーズ優勝に貢献するなど、輝かしい戦績を収めたのだった。その技術力と走りへのこだわりがいまなお彼らの製品に息づいているのはいうまでもない。
現在は、デビューから45年が経ったいまでもスポーツカーのトップランナーとして高い評価を得る「911」をはじめ、オープンスポーツの「ボクスター」、ボクスターのクーペ版の「ケイマン」、そして、プレミアムスポーツSUVの「カイエン」と、ラインナップすべてが高い人気を誇る。