Chapter 4 Interview 井出祐昭|New BMW GRAN TURISMO@BMW Studio ONE
Chapter 4 Talks About Sustainability|Interview with IDE Hiroaki
井出祐昭|豊かな感性と美意識を
文=富山英三郎写真=石野千尋/三木匡宏
サステイナビリティはこころの問題
サステイナブルな生活を自分なりに言い換えると、どういう状態が維持されていけば自分も周りも幸せになれるのか? それは増殖していくのか? ということだと思います。つまり、具体的な行動論の前に、こころの問題として捉えてみることが必要だと考えます。そこでポイントになるのは、キレイなこころを育みつづけるような生活や、身近な空間を美しく保ちつづけていくこと。豊かな感性と美意識をもつことは、サステイナビリティの根源だと思うんですよ。
キーワードは“空気”
その点では、音楽が創り出す“空気”が大きな役割を果たすのではないでしょうか。日常生活のなかでも、音楽をかけると“空気”が変わりますよね? 雰囲気が変わるとか、気分が変わるという意味で。そういった精神空間とも、イマジネーション空間ともいえる“空気”の感覚が、今後キーワードになっていくと思います。
いのちの認識から感謝のこころが生まれる
以前、万博の会場で木が水を吸い上げる音や、小さな虫の生命の音を録音して流したんです。普段、人間が聴くことのできない植物や小さな生物の音を聴くことで、すべての生物が生きているんだと認識できる。子どもたちにとってはそれが潜在的な体験となり、いつか湧き上がってくるんじゃないかと思うんです。人間の営みのなかでは木を切ることも必要。ただ、そこに感謝のこころが生まれるかどうか。そういう気持ちが自然とサステイナビリティにつながっていくのではと考えています。
こころをくすぐられる感覚
個人の生活では、“こころをくすぐられる感覚”を維持するようにしていますね。その結果、いろいろなものが愛おしく感じられ、自然とサスティナブルな生活につながっているように思います。また、個人に留まらず、周りにもこの連鎖が起こるよう心掛けています。その具体的なものとして“音楽ウラノリ、イマジネーション散歩”という技があるのですが、それはトークショウでお話するので期待してください(笑)
「サステイナブル・ライフ・ラゲッジ」で選んだものも、“こころをくすぐられる感覚”で選んでいます。そのなかに『音の万葉集』という本がありますが、これは昔の日本人が音をどうとらえていたのかについて書かれている。読んでみると、日本人の豊かな感性に驚かされますよ。これからの時代、モノを多くもっていることよりも、豊かなこころをもっているほうがよっぽど贅たく。そんなとき、この本は日本人が感じていた美意識の記憶を教えてくれるんです。
そのほか、おもちゃのような見た目なのにいい音がする球体のスピーカーや、ホーンのついたハーモニカなど。ちょっと気になる雑貨のようなものも入れていますね。そういう遊び心こそ、豊かな感性を生み出す原点だと思います。
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