New BMW GRAN TURISMO|Chapter 3 Interview 野村友里
Chapter 3 Talks About Sustainability|Interview with NOMURA Yuri
野村友里|より良くしたい、という思い
文=三宅和歌子写真=MIHO
“水”がもたらしてくれるもの
「大事にしたい、好きという気持ちが、サステイナブルとしてつづくものだと思っています」と言う、野村友里さん。食の可能性を伝えるフードディレクターであり、暮らしを気持ちよく過ごすためのアイデアを紡ぎ出したりもする。
「それはモノに限ることではないと思います。人間関係であったり、状況であったり、どちらかといえば目に見えないもののほうが、大事にしたいと感じることが多いですね。日本は今、平和だからこそ自由に選択できたり表現できたりもする。そういった状況は幸せなことで、それが続いてほしいとか。今回の展示に水を入れたのも、そもそも水がなかったら何も生まれないし、維持できないのではないかと思うからです。そういった生活も維持できないんじゃないかと思っています。水があるだけで、みんなそれぞれハッとさせられますし、単純に都会のなかでも水の存在が感じられたらうれしいな、という気持ちで展示品にくわえさせていただきました」
食べ物は共有し、共存するもの
仕事のアイデアを考えるときはスケッチブックが活躍。スケッチブックに限らず、思いついたら、どんな紙にもすぐにスケッチをするという。そこから生まれた「食」もまた、目の前から消えていくものである。
「食事自体は残らないものですが、逆に残るものに一番反映しているかもしれないと思うことがあります。食は肉体をつくるもの。仕事や友人を通してさまざまなひとに出会いますが、そのひとたちが何かの功績を残されたり、誰かに幸せを与えていたりすると、おなじ時代を共有できたことがうれしいですし、そういう役割に何かひとつ貢献できたのかな、とも思います。食べ物ってみんなで共有するものであり、共存するものでもあるんです。目の前の現実としては残らないけれど、実感としてはいろいろな意味で残るもの、と思っています」
より良くしたいという思考やチャレンジが止まってはいけない
また、最近お茶をはじめたという野村さん。じつは以前は、どうにも苦手だったという。
「千 宗屋さんという武者小路千家の15代目の方にお会いしたのがきっかけなんです。公園で野点をしてくださったり、つねにあたらしいことにチャレンジされているんです。その形式張らない気持ちよさや考え方、それこそが伝統として受け継がれるひとつの要素だと思います。壊してはじめてあたらしいものが生まれる、という考え方で、芯はゆるぎないのだけど、形式だけを継承するのではなく、新しいことを見つけていく。それがなければ、これだけ長くはつづかないと思います」
形式にとらわれるのではなく、考え方を継承し、より良い方向を目指す。そんな伝統と同様に、野村さんは、ひとがより良くしたいとつねに思える環境がつづくことが大切だと言います。
「より良くしたいという思考やチャレンジが止まってはいけない。それができる環境があれば、どんな状況でも生き延びていける気がします」
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