NISSAN GT-R Spec V|日産 GT-R スペックV|LONG TERM TEST 第5回 01
NISSAN GT-R Spec V|日産 GT-R スペックV 第5回
はじめてのサーキット 01
これまで4回にわたって「GT-R SpecVのある生活」をテーマに日産GT-Rの魅力をお伝えしてきた長期リポート連載。第5回目となる今回は、雑誌『エンジン』が主宰するドライビングレッスンに参加すべく、筑波サーキットコース1000にSpecVをもち込んだ。GT-R本来のホームグランドとも言えるサーキットでの試乗を体験したオウプナーズ クルマ担当のふたりが、SpecVの魅力について語る。
文=オウプナーズ写真=神村 聖
いざサーキットへ
──まずはじめに、今回のメニューは?
担当A 試乗をしたのは茨城県下妻市の筑波サーキット内にある全長1000mのミニサーキット、コース1000です。じつは1周1000mという距離はサーキットとしては決して長くはないんですが、そのコースを12周し、休憩をはさむというメニューを4セットおこないました。
初代GT-Rとの比較
──Bさんはデビュー直後のGT-Rでもサーキット走行を体験したことがあるんですよね。あたらしいSpec Vは初代と較べていかがでしたか?
担当B まず最初に感じたのは、以前はイメージ通りにラインどりができにくかったり、アクセルワークを丁寧にしないとアンダーステアが出やすかったのに、今回のSpec Vはそういったことがまったくない。車両の安定性が抜群に向上していましたね。
担当A ええ、これはサーキットに標準を合わせてセッティングされた足回りによるサスペンション性能の向上、車両の軽量化、カーボンセラミックブレーキ採用によるバネ下の重量の低減とより高性能なタイヤの採用によって実現されたものだと思うんですが、最終コーナーでこれらが顕著にあらわれてましたよね。
──ブレーキが大きく変わったそうですね。
担当B そうです。ディスクの素材が、軽量かつ強度が高く耐熱性に優れたカーボンセラミックになりました。これは従来のGT-Rと較べて大きなちがいですが、残念ながらストレートエンドでも120km/h程度しか出ない今回のコース1000では、制動力のちがいを実感できたとは言えません。また、コーナーが多くストレートが短いミニサーキットではシフトチェンジを頻繁にする必要があって、オイルの温度が上がりやすいので、クールダウンのためにゆっくりと走らなければならない場面がありました。しかも当日は気温がかなり高かったんですが、そういった状況下では保護機能が働いて、ギアシフトができないよう自動制御されるんです。
担当A エンジンにかんしても1周1000mのコースではそのパワーを活かしきることができたとは言えないですね。そのあたりは今後予定している富士スピードウェイのグランプリサーキットで試したいと思います。
──なるほど、本格的なサーキット向きのクルマなんですね。
担当B 開発を指揮した日産自動車の水野和敏氏は、かつてル・マンのレーシングカーを開発した「レース屋」で、Spec Vはある意味ラップタイムを更新するために作られた、まさに「サーキットを走るためのクルマ」です。それゆえサーキットでの興奮度が非常に高いんです。
担当A そうそう。だから逆に言うと決して公道向きではない。サーキットのようにフラットな路面ではなめるように走るのに対し、一般道では細かい路面の凹凸までをもダイレクトに伝えてくるから、ネガティブな面のみが目立ってしまう。もちろん乗用にも使えますが、やはりSpec Vのホームグラウンドはサーキットだということを、今回あらためて感じることができました。